見出し画像

パシフィック・リム:アップライジング感想

バリバリネタバレ入れていくよー。

前作はストーリーはあるものの基本的には怪獣と巨大ロボの殴り合い!というコンセプトだったのに対して今回は陰謀を巡って錯綜する話がメインで怪獣はおまけとまではいかないものの、前作ののっけから怪獣と大バトルというコンセプトではなくなった。

ので只管脳を溶かして痛快怪獣映画が見たい!って人には序盤は少し退屈かも。最初は登場人物の一人が作る小型イェーガーと軍隊の大型イェーガーのダイナミック鬼ごっこで始まり、人類に襲い掛かる謎のイェーガーとの戦いになり、どうもそのイェーガーは怪獣脳っぽいもので操作してて、その事実が判明するとほぼ同時に世界中に配備を進めていた無人機イェーガーに同じような物が仕込まれたと判明、無人機が暴走して前作でようやく閉じた次元の裂け目を開いてしまう。無人機を停止させることには成功するが何体かは怪獣が出てきてしまったってところまで来てようやく最初で最後のイェーガーと怪獣の戦いになる。怪獣は3体だけどすぐに合体して巨大怪獣になっちゃうし巨大怪獣も適度に無双したらさっさと去って最後はビッグバンパンチで退場と、まぁほとんど戦う相手はバルディエルみたいなイェーガー。

で、このバルディエル的な怪獣もどうやら異次元産じゃなく地球産(つまり人類が作った)でその犯人探しがメインの話になってる。まぁ蓋を開ければ前作で怪獣を送り込んできていた異次元人ことプリカーサーが関わってたんだけど。

映像美に関しては日本特撮への熱いリスペクトがたっぷりと感じられるカメラワークに建物をしっちゃかめっちゃかに壊してくれるのでIMAX3Dでの爽快感はすごい。最初の民間自作イェーガー、スクラッパーのトランスフォーマーっぷりと巨大イェーガーエイジャックスとの鬼ごっこは映像的に楽しいし人類を襲うイェーガー、オブシディアン・フューリーのいかにも悪役チックなデザインも惹かれるものがある。というかフューリーのインパクトが強すぎて味方の機体のインパクトを食ってしまった感がある。

無人機暴走も暴走サイボーグでエヴァ破版第9の使徒(TVにおけるバルディエル)といったコンセプトで差別化しているし、溜めに溜めての怪獣戦はそこまでの時間から行くと相対的に薄味なのは否めないが都市で戦うシーンなので建物をそりゃもうぶっ壊してくれる。ただ怪獣による蹂躙シーンが短いのはちょっと残念な点。蹂躙シーンのカメラアングルは日本の特撮怪獣物好きなら目をしいたけに輝かせるくらい「ワカってる」アングルなだけにもっと見たかったというのが本音。


今作への評価はパシフィック・リムで何を見たいのかによって解釈が変わるかなーといったところ。ひたすら巨大ロボVS怪獣が見たいと思っていくと「あんまり怪獣出ないな」って感想になるんじゃないかと思う。ロボでも怪獣でもとにかく巨大な物が動いて辺りをぶっ壊しまくるスペクタクル映像が見たいならその点はばっちり。

前作との繋がりは薄く登場人物も設定的な関係はあったり続投した人物もいるものの別にこれから観てもほとんど問題ないくらい。逆に言えば「続編」として観るにはキャラ継承が薄い分あまり続編っぽくないとは思えるかもしれない。シリーズ物の楽しみの一つは前作の登場人物が今回は何をしてくれるんだろうみたいな期待感もあるものだが、近作で一番それを担った森マコは序盤でこの手の映画で乗ってはならない乗り物ベスト1のヘリコプターに乗っちゃったので察しのいい人はヘリコプターから外見たら何か来たって時点で察するレベル。シン・ゴジラの後だし余計に。

個人的には先にも挙げたが一番インパクトあるイェーガーがオブシディアン・フューリーで中盤で退場してしまい、味方イェーガーは最初に登場したエイジャックスが一番インパクトがある。が、エイジャックスはストーリーの関係上最初にしか出ず最終決戦でようやくまともに戦うイェーガーはどれも前作の機体ほどのインパクトが出せなかったのがややネック。

今回の味方イェーガー、一応違いはあるものの概ねカッコイイ系デザインになっててぱっと見の違いがわからない。その為の色分けかってくらいほとんど見分ける要素は武器と色だ。グラビトンハンマー持ってるやつ、ムチ持ってるやつ、剣持ってるやつ、腕から剣出すやつと覚えるほうが楽なくらい名前も微妙に覚えにくい。

ジプシー・デンジャーの時代的にはやや旧世代機でカッコイイ系に近いがやや無骨な感じがストライカー・エウレカのいかにもスタイリッシュでカッコイイ系みたいなデザインと対比になってたし、クリムゾン・タイフーンのイロモノデザインとシンプルデザインのチェルノ・アルファとでいい感じにデザインで差別化できてたんだなーと今作を見ると実感する。

今作のマイベストデザインはオブシディアン・フューリー。イェーガーのデザインをちゃんと踏襲しつつ悪役っぽい禍々しさを共存させたあのデザインは見事。ザ・メカゴジラカラーに見えたのはきっと俺だけではないハズ。


というわけで個人的には「映像美だけでIMAX3Dを3回は見たい」が総評。

あんまり難しいこと考えず映像世界にドリフトすると幸せになれる。