見出し画像

GODZILLA 決戦機動増殖都市感想

初日に観てきた。今回もネタバレ入れて行くよー。

一言で言えば「良くも悪くもタイトルに偽りなし」。ストーリーの構成は面白くできてるし話の大筋は読みやすいし展開も速い。

一部では既に言われてるのでここでははっきり言っちゃうけど

メカゴジラ出ません

厳密には「メカゴジラという概念は出るがビジュアルも出てグッズまで出たあの怪獣型メカとしてのメカゴジラは画面上に一切出ません」が正しいか。


あらすじは前回ゴジラ・アースの出現により部隊が壊滅。意識を失っていたハルオは何か人の作ったらしき小屋で目覚めてそこに人類の末裔がいることに気付くところから始まる。フツワと名乗るその種族はなんかすごい身体能力とテレパシー力があってこの種族の神はかつてゴジラに破れ、今は卵だけが残っているらしい。要はインファント。思ったより生きてた仲間と合流したハルオ一行はフツワが狩に使っていた武器がナノメタルを使用した物であることを知る。ナノメタルとはビルサルド族の発見した金属でメカゴジラの素材に使われていた自律思考金属で増殖する性質がある。ナノメタルの信号を追うとそこにはかつてメカゴジラが起動せず破棄されたラボ跡地でゴジラを倒せという命令から着地したセルヴァムを取り込んで2万年の間増殖を続けた結果形成されたメカゴジラシティがあった。このメカゴジラシティを要塞化し、ゴジラ・フィリウスで有効性が証明されたハルオの戦術を用いてゴジラ・アースを葬るプランを立てる。


途中で「この街そのものがメカゴジラを構成するパーツなんだ!」という台詞があって最後は都市全体がトランスフォームしてメカゴジラになるのだとばっかり思ってた。都市自体を武器にするというコンセプトは面白い。やることが前回と同じで飛行機体で牽制と罠に引き寄せるという流れが怪獣惑星と基本的には同じ(フィリウスに有効だったから理論上同じ手段が通じるという話なので無理はないが)なので一味アレンジが欲しかったのもある。

ところがメカゴジラシティは最後までメカゴジラシティだった。あのポスターやらグッズやらでメカゴジラの全身ビジョン出しておいて劇中で出ないんかーーーーーい!!!!と思った人は自分だけでは無いだろう。

ストーリー面ではゴジラを倒すとはどういう事かという概念的な問いかけや種族間の考え方や価値観の違いが良く出ていてそれらが全部ゴジラを中心としているというゴジラ映画の中にある価値観のぶつけ合いという要素が継承されているし終盤でゴジラを倒すため人を捨てるのか、人(ユウコ)を救うためにゴジラ妥当を捨てるかで迷った為に結果両方を失うというハルオの咎はエグいけど深みがある。あれが自分だけ犠牲になれって言われたらたぶん受け入れたんじゃないだろうか。

ネットの一端には「メカゴジラって聞いてゴジラ型の機械とビーム撃ち合いとか怪獣プロレス期待するのはVSや機龍のような画を期待した特撮脳が抜けてない人。これは立派にメカゴジラだった」という意見もあったが自分はそうは思わない。確かにコンセプトは「ゴジラを倒すための機械」という点で継承しているがそれは対G兵器の全てがそうだ。スーパーX(の厳密にはⅡが本来の意味の対G兵器)やガルーダとメカゴジラが同じかと問われれば用途は同じだが同じものとは答えない人の方が多数派だろう。その認識を隔てるのは形がゴジラを模しているかどうかだ。そういう意味ではやはりメカゴジラシティはメカゴジラではないと自分は思う。

ただ今作のタイトルは「ゴジラ対メカゴジラ」でもなく「ゴジラVSメカゴジラ」でもなく「ゴジラxメカゴジラ」でもない。あくまで「GODZILLA 決戦機動増殖都市」だ。確かにタイトル詐欺ではない。むしろタイトル通りである。ビジュアル詐欺には限りなく近いと思うが。

あの見た目から殴り合いができるとは思えないからやるとしたら撃ち合いだろうが、それでもやってほしかった。都市がパタパタと変形してメカゴジラになる画が観たかった。

キャッチにも人類最後の希望メカゴジラって書いといて都市のまま終わるのはどうしても不満が残るというのが本音だ。ただ全体の出来は良い。とても良い。それ故の「ステーキを食べに行ったらすごく旨いハンバーグが出てきた。すごく旨いので満足はしたがステーキを食べれなかった不満も共存した」という表現だ。これも自分で考えたものではなく人のを見たのだが適切な表現とはこういうものを言うのだろう。


個人的にストーリーに一点だけ不満を挙げるなら「ゴジラにまだ発見されてない上に要塞化も未完成、武器も建造中という段階でわざわざ都市の隠蔽を解除するという謎行動を曰く"完全な合理的判断ができる"と言った直後にやった事」である。これ、要塞化のリソースを割くのに隠蔽解除したって話なんだけど発見されて隠蔽する意味無くなった後ならまだしも発見されてないのにわざわざ隠蔽解除して発見にかかる時間をゼロにしちゃうから時間短縮のメリットより発見時間短縮のデメリットの方が圧倒的にでかい。脚本の都合が一番見えちゃった部分でここは納得いかなかった。


最後はお馴染みというかゴジラ映画で大敵代表といえばもうあれしかないよ規定路線だよってくらいの感じで出たギドラだがギドラ頼みになっちゃうのもそれ違う感があるしかといってギドラが来て今度は助けてゴジラしちゃうのも違う。どう話畳むのかがとても楽しみである。