アイドル部騒動の真ん中にあるものは何だったのか

はじめに

 10月7日3時前後に行われた夜桜たまの「譲れない部分は譲っちゃダメだと思った」「一緒に頑張ってくれたみんなと私の一年半を軽視されるような、言葉を、行動を、許せなかった」という何らかに対して怒りを発するツイート、および19時半頃に行われた配信によって運営とのトラブルが告発され、続く2ヵ月後に夜桜たま、猫乃木もちの契約解除が発表された。契約解除について本人たちからの告知や所謂引退配信は一切行われなかった
 全てを追えていたわけではないがアイドル部は結成当初から見ておいた一リスナーとしてショックを隠しきれなかったが、今回は10月7日に始まった騒動の中で各人が行った発言をまとめ、目に見える限りの情報から今回の騒動の真ん中にあるものが何であったのかを整理したい。
 最初に断らせていただきたいのは本記事は既に起きた出来事の俯瞰的な整理と、原因となった事の推察が目的であり今後に行われる活動方針に対する予想は目的に含まないこと、整理の対象とするのは.LIVEとアイドル部およびアイドル部から契約解除された夜桜たま、猫乃木もちの本騒動に関する発言のみでありそれ以外の発言や情報についてはその信憑性が0.1%であっても99%であっても考慮対象外とする。また、本記事内において記載する人物については全て敬称略で記載する。

出来事の整理

①10月7日、夜桜たまがトラブルを示唆するツイートを行う。同日に左記についての配信を行う。
②10月7日、花京院ちえりが①の夜桜たまへの配信中に配信内容に対するツイートを行う。同日に左記に関する配信を行う。
③10月7日、カルロ・ピノが同日に予定されていた配信の中止およびちゃんと話をしてきますとのツイートを行う。
④10月7日、①、②を受け.LIVE公式Twitterより同日に予定されていた配信中止の旨が告知される。
⑤10月7日、夜桜たまが自身が話し合いに呼ばれていない旨のツイートを行う。
⑤10月9日、.LIVE公式Twitterより情報を整理し、アイドル部との話し合いを行うことと同日に予定されていた配信中止の旨が告知される。
⑥10月~11月.LIVE公式Twitterよりアイドル部との話し合いについては進行中であること、時間を要する事などについてファンに承知していただきたいとのツイートが10月~11月の中で幾度かに渡って行われる。具体的な話し合いの内容等については発表されておらず不明。
⑦12月1日、.LIVE公式Twitterより牛巻りこの体調不良による活動休止が告知される。
⑧12月2日、カルロ・ピノが現在のアイドル部について説明の配信を行う。
⑨12月4日、.LIVE公式Twitterより夜桜たま、猫乃木もち本人たちから契約解除の申し出があり運営として受理した事による契約解除と、契約解除に至った経緯・事情については様々な理由から説明ができない旨を発表。
⑩12月5日、もこ田めめめ、神楽すず、ヤマトイオリ、金剛いろは、八重沢なとり、花京院ちえりより10月7日に端を発する一連の騒動についての文書が公開される
⑪12月7日、北上双葉より画像ツイートにて夜桜たま、猫乃木もちへのメッセージが公開される

ここまでが一連の出来事だが、補足しておきたい点として下記を挙げる
・夜桜たまは⑤の10月7日のツイートを最後に一切のツイートを行っておらず、配信・動画投稿も無かった為12月4日の発表まで事実上の活動休止状態となっていた。
・猫乃木もちは10月20日まではツイートを行っていたが配信・動画投稿については9月22日の配信以降は行っておらず、10月20日以降から12月4日の発表までは事実上の活動休止状態となっていた。猫乃木もちの契約解除理由について本騒動との関連があるかは不明。

10月7日

■1.夜桜たまの配信内容要点
1.急遽配信を行った理由は「当日10月7日に夜桜たまのソロライブ開催告知が行われる予定だったが、当企画は8月から進めていたものの運営が他業務による多忙から対応が追いつかず後回しになっていた経緯があり、この経緯を伏せたままファンに向けて告知する事は夜桜たまの本意ではなく事実を伝える目的」であり、配信を行う事については運営の許可を得た上で行っている。
2.上記概要について運営との確認の中で「後回しになっていた」という返答を受け、ソロライブを1周年記念や生誕祭のように重要なイベントと考えていた自分にとって傷つくものだった。
3.直接連絡をしていた運営担当者を糾弾する意思はなく、普段より親身に対応してくれていると認識しており、後回し発言についても悪意から来るものではなく、多忙に身を置く中で表現が悪かっただけの所謂言葉の綾と思っている
4.後回しになった経緯を知ること無く喜ぶであろうファンに対して「ライブに来てほしい」と自身を持っては言えないと考え、またファンに嘘をつきたくないという想いから後回しにされた経緯を知らせた上で自信を持って「来てください」と言いたかった。
5.業務多忙である事は認識しているが、その上であっても自分のソロライブを後回しにしたこと、その連絡すら滞っており自分から再確認してようやく返答を得られた事から自分と自分のファンを蔑ろにされていると感じられ許せなかった。
6.本件以前から運営と連絡を取りながら進めなければならない案件についても自分から聞かなければ返答が貰えず話が中々進められなかった事は以前からあり、他業務による多忙という説明についても該当するものが多く具体的に何が滞っている原因なのかわからないといった慢性的な報連相不備があった。
7.運営との間の慢性的な報連相不備については運営にもその旨は幾度も伝え改善要望を出しており、アイドル部メンバーにも報連相についてやソロライブが後回しにされた事についての相談は行っていた。
8.本配信については運営との合意で先程急遽決定したものでアイドル部メンバーに本配信を行う事は伝えていない。
9.同日のツイート内容や本配信によってファンの不安を煽る形になったのは自分本位に行動をした結果であり我侭であるとの認識は持っており、同時にファンやアイドル部メンバーを巻き込む形になった事については申し訳なく思っている。
10.上記を踏まえてメリットデメリットについては考慮したが、配信を行う価値があると判断した

■2.花京院ちえりの配信内容要点
1.夜桜たまはアイドル部に相談をしたと発言をしているが、このような内容の配信をすると聞いていれば止めていた。(ツイート)
2.ツイートで反応をした事でファンに心配をかけた事については自分も冷静になれなかったと反省している。
3.急遽配信を行った理由は「今後にリレー配信やイベント等の活動を続けることやこれまで積み重ねてきたものがざわついた気持ちのまま崩れる事は嫌であり、大切にしているファンの皆との時間を守っていきたいため」である。
4.自分のファンのみならずもこ田めめめのファンについても明日のもこ田めめめソロライブや後日に控えている自身のコンテンツ名を関したコラボイベントであるちえりーらんどのイベントを楽しんでほしいと望んでいる。
5.本配信の内容は花京院ちえりの個人的な心情であり、夜桜たまの配信内容と共にアイドル部の総意ではないという点はファンにも認識してほしい。

12月2日

■3.カルロ・ピノの配信内容要点
1.ファンに長い間心配をかけたこと、エンターテイメントの裏側を見せることになった事を申し訳なく思う。
2.配信を行った理由は「自身の本件への想いやどうしてこのような経緯になっているかを伝えたい」ため。
3.本配信の内容は自身の個人的意見として発信するものであり、自身が言えること、考えた事をアイドル部メンバーに相談した上で決めている。
4.本配信については運営から許可を貰った上で行っている。許可を求めた際に反対されたが配信を行う旨は取り下げず、発言内容についても全て自分の意思であり制限等は受けていない。
5.10月7日の夜桜たまの配信について、運営の報連相対応について至らない点があるのは自身も認識している。ただし業務や様々な事情から仕方ない場合がほとんどである。
6.運営が悪意を持って自分達に接しているといった事はなく、事情があることや相当難しい事でもない限りは意向に沿ってくれている。その為やりたい事が制限されているといった事や対応されていないといった事は無い。
7.報連相対応が追いついていない点については人員を慎重に増やしており、改善の下地ができ始めていた段階だった。
8.内部から情報漏洩の可能性があるため伝えてもらえる情報の内容やタイミングについては制限があったが、アイドル部メンバーをあらぬ疑いから守るためであり、コラボの打ち合わせの際にも運営が立ち会っていた。
9.一方で運営の目が届かないところで勝手な活動があり、それが原因で何らかの事態が起きた
10.本件について近いうちにファンへ運営より報告ができると教えられているので、ファンはそれを待ってほしい。
11.運営への要望を伝え、改善が進められ、様々な事が控える中で本騒動によってファンを巻き込む形になった事については悲しく思った。
12.花京院ちえりがツイートという目に見える形で触れた事については失態と認識しているが、ツイートで綴られた内容については少なくとも自分は同意しており花京院ちえりだけの気持ちではない。
13.相談をできる場所はあり、何も事態が動いていないわけではなかった中で裏側の事情は表に出してほしくなかった。
14.ファンが目に見える敵を目の前に出される形になった事で信じるほうに力を貸したくなる事については理解はできるが、自身は聞いた話と見てきた事が違ったため、その内容に同意できなかった
15.今までもメンバー間での不安を煽るような話をすることや、外部への情報漏洩が続いていた事からメンバー皆の場所を守りたく今回の行動を起こした。

12月4日

夜桜たま、猫乃木もちの契約解除発表。
夜桜たまについては10月7日の配信時に辞める事は無いと発言していたことからその後に運営から強制された等の憶測が出る結果となった。
猫乃木もちについては本騒動の中で行われた配信などでも言及された人物ではなく理由が完全に不明な状態となっている。

12月5日

アイドル部の活動を継続することとなったメンバーの一部から本件についての文章が公開される。
■4.もこ田めめめの文章内容要点
1.花京院ちえりのツイートと、配信内容については自分も同じ気持ち
2.花京院ちえりの発言のタイミングで自身も発言をすべきだったと後悔していた
3.仲間が頑張ってくれたのに何もできなかったという想いがずっとあった
4.先日のカルロ・ピノの配信については自身も同じ考えのところがあり、是非にとお願いした
5.ファンが知っている事は一部で、知っている事についても事実ではなく訂正したい部分があるが様々な事情からそれはできない。
6.様々な憶測はあると思うが、アイドル部や運営本人から出た事だけを信じてほしい

■5.神楽すずの文章内容要点
1.夜桜たまのツイートは運営とアイドル部の間で交わされていた約束を破るものだった
2.カルロ・ピノの配信についてもおおまかな内容を教えてもらった上でお願いした
3.誰が悪いということではなく言葉の捉え方や守りたいものなどへの価値観の違いから話が大きくなったと思っている。
4.結果として花京院ちえり、カルロ・ピノに苦しい役回りを押し付けることになったり、誰の支えになれず相談にきちんと乗れなかった事は悔やんでいる。
 
■6.ヤマトイオリの文章内容要点
1.素直な気持ちとしてとても悲しい。
2.アイドル部の皆がとても好き。

■7.金剛いろはの文章内容要点
1.ファンの皆に状況を伝える上で制限される沢山の理由があったと聞いている。
2.結果として長い間ファンを待たせた事、その上で今回の結果になった事を心苦しく思う。

■8.八重沢なとりの文章内容要点
1.10月7日に行われた夜桜たまの配信については一切知らされておらずファンと同じように見ていた。
2.夜桜たまの配信内で言及された報連相不足については、自身も入部当初は同様に感じ問い合わせた事もある。
3.報連相不足については人員増員等により徐々に解消されており、現在は日頃のサポートや些細な相談にも乗ってもらっている。全てが蔑ろにされているわけではなく日頃納得できる理由は運営が伝達をしてくれている。
4.夜桜たまの配信時に行われた花京院ちえりのツイートおよびその後の配信内容についてももこ田めめめのソロライブやちえりーらんどが控えていたこともありファンに配信やイベントを楽しんでほしいという気持ちは自分も同じ。
5.夜桜たまが同じアイドル部として相談してくれなかった事や配信することを伝えてくれなかった事は大変ショックだった
6.花京院ちえりについても夜桜たまの配信中にツイートを行った事もあり、感情的に伝えている部分はあると感じたが、配信で言った事については間違いではないと思っている。
7.納得できるまで話のすり合わせが行えていなかった事で本件が発生し、花京院ちえり・夜桜たまの双方ともファンを大事にしているからこそ意見が分かれたと考えている。

■9.花京院ちえりの文章内容要約
1.長期間に渡ってファンに心配をかけた事を申し訳なく思う
2.虚偽の発言や事実の誇張、今回表に出ている部分だけではなく会話の中で感じたことが重なり、これ以上見て見ぬふりをすることができず、守りたいものの為に行動した。
3.ファンが混乱する中でツイートですぐに触れたことや言葉のニュアンス等で更にファンを不安にさせたことは反省している。
4.どんな理由であれエンターテイメントの裏側をファンに見せる事は企業に所属している者として失格と認識している
5.この場所を守れなかったのは自分の力不足であり申し訳ないと思っている。

■10.北上双葉のメッセージ内容要約
1.夜桜たま、猫乃木もちの2人が辞めた事を残念に思う旨及び2名への感謝の意。

情報整理の進め方

出ている情報の全てが事実とは限らない。だが、どれが事実でどれが嘘かは今出ている情報から判別するのは不可能であるという点を留意する。
どれが嘘かを疑うという観点は持たず、出た情報の解釈をメインに整理を進めていく。言葉の間を埋めていく方法である以上その中には推察が含まれる事を許していただきたい。

何故運営の悪意の有無を主張していたのか?

 カルロ・ピノが12月2日の配信で「たまお姉ちゃんの配信について」という語り初めで行われた説明を大きくトピック分けすると
1.運営の悪意の有無について
2.報連相の不備について
3.運営の目の届かない所で勝手な事をした事と、その結果起きたこと
4.ファンの見解や行動と自身の見解
5.メンバー間の不安を煽った事や情報漏洩について

上記のように分かれる。
1.の運営の悪意の有無については、夜桜たまもカルロ・ピノも発言上は無いとしており、ここに相違は無い。
2.報連相の不備についてはカルロ・ピノも同じように感じる部分はあると同意をしているのでここも相違は無い。
3.の運営の目の届かないところで勝手な事をして、まぁ、ああなったわけですよという発言についてはそれまでの配信やツイート、発表内容からは具体的に何を指すのか不明の出来事であり、この配信で新たに出た内容である。10月7日の夜桜たまのツイートを指している可能性はあるが直前に触れているのは情報漏洩を懸念した事による運営との情報やり取りの制限の話であり文脈的には結び付けにくい。ここが配信の発言順序から見るとややこしいのだが、情報漏洩が続いていた為に対策として情報の内容やタイミングを制限しコラボの打ち合わせ等にも運営が立ち会うという体制が作られたと考える方が自然だ。とすると情報漏洩や運営の目の届かない所で行った行動というのは10月7日の夜桜たまの配信とは別の出来事として言及している事になる。無関係の話題をこの流れの中に混ぜる理由は無いだろう。具体的な出来事の断定はできないが上記の事柄に夜桜たまが関与していると認識した上でこれらの言及を行っていると考えるのが自然である。
4.ファンの見解や行動と自身の見解の部分だが、これはまず「ファンが目に見える敵を目の前に出される形になった事で信じるほうに力を貸したくなる事については理解はできるが、自身は聞いた話と見てきた事が違ったため、その内容に同意できなかった」という内容の発言をもう少し詳細化する。"目に見える敵"とは「運営=.LIVE」を指した表現と考えて良いだろう。そして"信じる方"とは前後の発言から「夜桜たま」を指すと考えて良いだろう。"目の前に出される形となった"はそのまま読めば夜桜たまが運営とのトラブルを表に出した事で運営を悪役と位置付けた事を指すと考えられる。続いて"聞いた話と自分が見てきた事が違ったから自身はそうは思えなかった"の部分だが"聞いた話"とは夜桜たまの配信で語られた内容、"自分が見てきた事"は言葉通りカルロ・ピノが認識していた事で、この2点が相違していたということになる。この補足を踏まえて先の文に主語を加えると「ファンが運営との敵対的な話を目の前にを出される形になった事で夜桜たまの運営への糾弾に同調したくなる事については理解できるが、自身は夜桜たまの配信での発言と自身の見てきた事が異なっていた為に同じようには考えられなかった」という意味だったと考えられる。だがこれは夜桜たまの配信上での発言だけを捉えれば先の1.2.が相違していない点も含めてあまり意味がある主張には見えない。しかし、この配信のタイミングとその後の出来事を考えれば、この配信で運営に悪意が無い点を強調しなおした事には理由があったと考えられる。

もし仮に、カルロ・ピノの配信が無いまま.LIVEの契約解除が発表されていたら?

仮に12月2日の配信が無く12月4日の契約解除が発表されていたとしたらどうだっただろう。ファンの視点から見えるのは「詳細は言えないが辞めないと言っていた夜桜たまが自身からの申し出で契約解除に至った」という部分だけである。もしこの形になっていれば運営が一方的な悪意のもと契約解除に至らせたという解釈をするファンが出てしまい運営にあらぬ非難が飛ぶ事は避けられない。カルロ・ピノがこれを懸念して予め運営に悪意が無かった事を強調したかったのだとすると12月2日の配信の狙いとして辻褄は合う。ただし、これは同時に夜桜たまと猫乃木もちについて発表日までは知らされていないものの契約解除自体は知っていた可能性が高いということになる。
だが、夜桜たまの目に見える落ち度は約束違反であったとされる10月7日のツイートのみだ。その後の配信については運営許可の下で行っているので発言内容の影響を加味しても夜桜たま個人だけを責める事はできない。契約解除という結果に対してツイート一つでは理由としては弱いのは否めない。夜桜たまが潔白の一方的被害者という認識を訂正する事で結果的に運営の一方的悪意ではないという話を立てようとしたのであれば、3.の運営の目の届かないところでの活動の話や、5.のメンバー間の不安を煽るような話をしたことや以前から続いていたという情報漏洩についての話など、騒動以前の話を引き合いに出すことで夜桜たまの行動にも問題があったという点を伝えようとしたと考えればこの配信内容にも説明は付けられる。
基本的に演者は運営あっての活動であり、カルロ・ピノ自身も運営とメンバーの関係を親子に例えて親の心子知らずという表現をしている。それに倣えば親が不当とも言える糾弾をされるのは本意ではなかったというのは真っ当な考えだが、それを回避するために支払う代償はこれまで1年半の活動を共にしてきた仲間を後ろから刺すような行為である。しかも裏側の事情を出してほしくなかったと発言をしていながら自身は裏側の話を引き出してきて言及する材料にしている。これを善意と良好な関係からできるとは考えにくく、配信で語られた内容はかなり否定的な内容に寄っている事からも以前より夜桜たまに悪印象を抱いていた可能性が示唆されている。

夜桜たまへの反感を裏付ける花京院ちえりの文章

 10月7日の配信の際には人物像に対する言及までは行っていなかったが、12月5日の文章ではかなり直接的な表現で否定的な内容が綴られている。まず2.で書かれている「虚偽の発言や事実の誇張、今回表に出ている部分だけではなく会話の中で感じたことが重なり、これ以上見て見ぬふりをすることができず」の部分だ。直後に3.で「ツイートで反応してしまった事」とあるので上記の内容が10月7日の夜桜たまの配信にかかる言及とするのが妥当である。しかし続く文章では「今回表に出ている部分だけではなく会話の中で感じたことが重なり」とあり、そのまま前文の内容を引き継いで読むのであれば「以前から表に出ていない部分で虚偽の発言や事実の誇張があった」ために「これ以上」見て見ぬふりができなかったと繋がる。つまり今回以外の出来事も含めた印象の積み重なりが背景にあり、それが10月7日の1件で爆発に至ったと考えられる。これをどのくらい意思表示していたかは不明だが虚偽の発言や事実の誇張といった表現は糾弾の意思無しに出る言葉とは考えにくく、それがこの1件のみを指すのではなく人物単位にかかる書き方をしている点から夜桜たまに対して悪印象を持っていた可能性は高く、ひいてはファンに見えない部分では騒動以前より不仲であった可能性が示唆されている。

残りのメンバーの文章要点を整理する。
・もこ田めめめ
 一連の騒動の中で自身のソロライブ前日に騒動に巻き込まれる形となったかなり直接的に近い被害者であり花京院ちえりの配信やツイートについては支持する発言をした点や、カルロ・ピノの配信の際に同じ考えのところがあったためお願いしたとあった点、夜桜たまの主張に対しては一切の言及をしなかったが花京院ちえりに対しては感謝の意を述べている点から夜桜たまに悪印象を持っている可能性は否定できないが、騒動以降については妥当な動機があり騒動以前の印象については不明
・神楽すず
 騒動については個人の見解として誰が悪いという話ではなく価値観の違いとそのすり合わせができなかった事で話が大きくなったという考えを述べているが、夜桜たまへの人物的言及は行っていない。ただし行動への言及として先述の約束違反である点には触れている。
・八重沢なとり
八重沢なとりが触れた花京院ちえりの配信やツイートへの同意についてもファンにはイベントをちゃんと楽しんでほしいというファンへのフォローの部分に対しての同意であり、夜桜たまの主張については事実として報連相不足は自身も過去に感じたという同意と、現在は改善が進められているという補足をしているに過ぎず夜桜たまへの人物的言及は行っていない
・金剛いろは
・ヤマトイオリ
・北上双葉
この3人についてはそもそも騒動について踏み込んだ言及自体が行われておらず、夜桜たまへの人物的言及は行っていない

ここまで人物的言及は行っていないとした点について、あくまで人格的な部分に触れたかどうかのみを観点としており、活動への労いや感謝等は対象外としている。
実際の所他のメンバーが夜桜たまをどのように見ていたかは分からない。明確に反感と取れる反応を示したのが花京院ちえりとカルロ・ピノというだけで他のメンバーはそもそもそういった言及をしていないから正確な印象が見えないのだ。特異なのは花京院ちえりとカルロ・ピノの二人だけが騒動以前の行動も含めて夜桜たまへの言及を行っている点であり、少なくとも夜桜たまと花京院ちえりは以前より関係が良好ではなく、カルロ・ピノから見ても反感を含む対象であったという背景があったと考えれば過去に遡った話を出してまで糾弾した事に説明が付けられる。逆に関係が良好だったのであれば公開された文章に綴られた表現には疑問が残る。もし騒動の点についてのみ言及するのであれば過去の話まで持ち出す必要は無く、事実上記以外のメンバーの言及はそういった方式で綴られている。

夜桜たま悪人説を根拠とする場合

 もし仮に、表面上には一切出さなかったがアイドル部在籍時から夜桜たまが何らかの問題行動を起こしていたとしても、.LIVE運営から説明がされているように本件は具体的な理由は不明だが契約解除に至る経緯の説明ができない状態であり、夜桜たまをとことん悪者にするのであれば表に出せない部分まで計算ずくでやったという陰謀論めいた仮説を立てる事しかできない。
 出ている言葉だけを繋ぎ合わせると「夜桜たまはこれまでも虚偽や誇張を行い、メンバーの不安を煽ったりといった問題行動を起こしており、それが今回の騒動の遠因となっている。しかし何が虚偽で誇張で不安を煽ったかは説明できない。ただ一例として配信前に行ったツイートは約束違反に当たる」となるが、主張内容に対して具体的にそれを示せるのは10月7日のツイートの件のみでそれ以外については全て裏側の事情という事になる。
 この騒動が起きる以前より報連相に対する不満が配信で触れられた事は幾度かあり.LIVE公式Twitterによる告知がギリギリになる事も幾度もあった状態からファンも報連相不足については共感をしやすい下地が存在していた。その上で改善に言及しなければ心情的に改善が全くされていなかったと思い込みやすい状況はあったと言えるが、夜桜たまが故意にその心情を煽り立てたとすると話がいきなり飛躍するのは否めない。
 仮にファンから見えないところでは全く違う印象を持つような行動を夜桜たまがとっていたとしても、普段の振る舞いという意味であればエンターテイナーとして夜桜たまの方が一枚上手だったという事になる。何よりエンターテイナーとして裏側を見せてはいけないと主張している花京院ちえりとカルロ・ピノの2人こそが夜桜たまと以前より不仲であった可能性を示唆する発言・記載をしている点が「言ってる事とやってる事が違う」という矛盾に嵌っており、これが逆説的に夜桜たま悪人説を支持しにくい理由になってしまっているというのは皮肉な話だ
一方で、夜桜たまが完全に潔白であったかとなるとその点もまた疑問はある。上記のように発言の中に矛盾があるから信頼性を落としてこそいるが、カルロ・ピノが運営への不当な非難を避けたかったと仮定しても事実無根の話を持ってきて夜桜たまに押しつけたと考えるのも無理がある。花京院ちえりも後日の配信にて「一度全部の経緯を話さないとファンが納得しないのでは」と運営に提言していたと発言している。結果としては運営から今後の活動への影響懸念として却下されているが、花京院ちえりも断片的ながらも事実に近づくための情報を出したいという意思はあったとされ、丸々嘘の話で夜桜たまを糾弾したというのは考えにくい。

猫乃木もちの契約解除

 先述しているが猫乃木もちについては契約解除に至った理由が不明であり夜桜たまと違って配信や発言などによる主張対立といった表から見える範囲での引き金になった出来事が無く、.LIVEの発表では12月5日付で2名の契約解除を発表しているが申し出が同日にあったものなのかさえもわからない。

そもそも問題の根源は別にあるとする説

夜桜たまの配信と今回の契約解除はそもそも無関係であり原因はまったく違う点にあるという説。どちらかと言えば猫乃木もちはこちらに当たる可能性を考えやすいが、そうであれば12月4日の契約解除発表に次いで12月5日に文章を公開しその中で本件と無関係である事を明記しなければ誤解を生むのは当然の流れであり、そもそも無関係なら騒動から発表まで2ヶ月を要し、その間に.LIVEが語ったアイドル部との話し合いは何だったのかという点から矛盾してしまう

本当に悪かったのは誰か?

ここまで推察した経緯と各人の発言を信じた上で組み立てると
「夜桜たまは騒動以前よりメンバーの反感を買うような行動をとってはいた。そして10月7日の件以降で2か月に渡る話し合いが行われたが元々の関係性が良好では無かった為に難航し、最終的には今後も12人で一緒に活動していくことは困難という判断から2名が契約解除を申し出た。ただし夜桜たまの行動は表から見える範囲ではわかりやすい落ち度が無く、そのまま発表しては運営が一方的な悪者として叩かれるのは目に見えており少しでも事実に近いヒントを与えようと夜桜たまにも問題があった事を示そうとした。だが、契約解除に至り表立った反論ができない状態の夜桜たまの問題点を後追いの形で公開したことはファンから見れば酷い追い討ちにしか見えず、各人物の想いや配慮が悪い形で噛み合ってしまった」
というのが騒動の顛末だったと考える。各人に悪かった点があったからこそ話が拗れ、おそらくは誰もが望んでいなかった結果になった。誰かが分かりやすい悪役であればここまで拗れる事は無かっただろう。
 しかしファンから見えない部分の事実はどうあれ、夜桜たまは少なくとも表面上は「アイドル部の皆が好き」「今回の事は自分が勝手にやっただけで他のメンバーは悪くない」と発言しており、メンバー間の対立を示唆するような事だけは決してせず最後までアイドル部のブランド価値は大事にしていた。花京院ちえりの事実を伝えたい、カルロ・ピノの運営に悪意が無いという事を理解してほしいという想いは本物だっただろう。だが、その一端に夜桜たまへの私情が見え隠れしてしまった事で残した負債は夜桜たまがもたらしたものよりも遥かに大きい。
 実際のところ元々は他人同士の12人である。全員が全員心底意気投合して仲良しでなどということは限りなく幻想だろう。だが実態を見せない限り幻想を幻想であると言える根拠も無いシュレーディンガーの猫の法則であり、この騒動で本当にまずかったのはこの箱を開けてしまった事にある。この時にこの騒動はただの運営とのトラブルを表に出した問題と、メンバー間の問題の二層が入り組んだ問題だった可能性が明るみになった。本来はこの調整役を担うのが運営のはずなのだが、結果は痛ましいものだった。本当の悪者なんていない、皆が力不足だったと言うにはこの結果は重すぎる。

アイドル部として本当に損なってはいけなかったもの

 これまでの1年半でアイドル部は「12人でアイドル部」「この12人じゃないなんて考えられなかった」「誰か欠けてもここまで来れなかったと思う」といった12人で作ったコンテンツという掲げ方をしており、これを補強するかのようにアイドル部は外部コラボが他事務所と比較すると活動暦に対して非常に少なく、配信に関しても原則として重複をさせず時間もきっちり区切るリレー方式で行ってきた。エンターテイメント上の幻想だったとしても12人の仲はアイドル部のブランド価値を担った一要素であり、これを最悪の形で損なってしまった事が今回の騒動一番の痛手である。
 表に出た事だけで見れば「契約解除に至った詳細な理由はわからないが、本人たちは何も言わないまま消えたし、残った人の中には元から悪く思ってたとしか思えない文章を書く人もいた。」が本騒動を通して出てきたものであり、内情を隠し通す事も全てを明かすこともできないという最も中途半端で後味の悪い結果だけが残ってしまった。
 個人単位では仲の良い人もいるのかもしれないが、メンバー間の仲はあくまで業務上の付き合いが基本であり、メンバー間の確執と見えるものが表に出てしまった以上は今後どのように活動を進め部内コラボを行って仲が良いように演出しても常に懐疑的に見るファンが出ることは避けられず、そういうものだと思って見るものが楽しいものにならないのは想像に難しくない。
 契約解除に至らないのが一番ではあったが、避けられないのであればエンターテイメントとしてアイドル部のブランド価値を維持するために形だけでも円満に近いように見せるように発言や表現には留意する事を徹底して内部連携をすべきだった。その点から見れば花京院ちえりとカルロ・ピノは自身らが糾弾した夜桜たまの「全体としての利よりも自身の心情を優先した」行動と全く同じことをしているのである。一度それを表に出してしまった以上は「もう過ぎた事なので忘れて前向きに切り替えて終わり」で済ましてはまた同じような事がいずれ起きるだろう。

個人として

これはファンの総意ではなく一個人の感慨として綴る。
 事情や意図があったとは言え、花京院ちえり、カルロ・ピノの2人には一度ちゃんと見える所でこの問題の本質に向き合ってほしかった。事実を伝えようとした姿勢は立派だが、その為に仲間を刺すような事をする姿の方がよっぽど見たくなかった。私情を出して居なくなったものを糾弾し、不仲を示唆した事が自身達のファンを失望させてしまった事から目を背けたような反応をしてほしくなかった。裏側を見せてはいけないというエンターテイナーの矜持を語った上で自分が表に出てなかった事を見せるようなダブスタをしてほしくなかった。個人としてか、エンターテイナーとしてか、せめてどちらかの筋を通してほしかった。ファンを騒がせた事ではなく、円満な解決をできなかった事ではなく、"筋を通せなかった事"への後悔に言及してほしかった
 実のところ花京院ちえりの立場はかなり複雑だった。本記事の内容と絡めるとややこしくなるので説明をしていないが、花京院ちえりはこの騒動以前に起きたモンペ発言騒動の中でばあちゃるに「今回コラボするのがたまたまちえりーらんどだった」というちえりーらんどのコンテンツを軽視されるような発言をされている。これもまた言葉の綾だったと考えられるが、一度身内から顔に泥を塗られた身だったのだ。そこから日も近づいたところで夜桜たまの配信によってファンの不安を煽られるという二度も顔に泥を塗られていたその心情は察するに余りある。だが、花京院ちえりはばあちゃるの発言に対して一切表立って反応を見せなかった。夜桜たまを咎めつつフォローをするにはそれを見せれば良かっただけだったと思う。
「たまちゃんが"後回しにされたソロライブ"にするならちえりは"たまたま選ばれたちえりーらんどにしようか?"」と冗談半分に意趣返ししていれば、「自分だってあんな事言われたけど表向きには一切許せなかったとか言わなかった。思うところがあるのは自分だけじゃないんだよ。」と諭していれば、あるいは結末は違ったのかもしれない。
 カルロ・ピノは12月8日の配信再開のトップバッターを務めたが、その事については「自分の責任」だからとコメントしている。明言はしていないが12月2日の配信でファンの不安を煽った責任だろう。その姿勢は立派である。だが、その前日予告どおり配信アーカイブを削除した際に夜桜たま・猫乃木もちへの労いをツイートした事について「夜桜たまを糾弾するような配信をしてどの口が今更」という声は散見され、トップバッターを務めた配信では最大同接約8000人に対し放送終了時点で高評価約4600、低評価約3500という数字を出した。カルロ・ピノの放送からリレー配信を行った神楽すずは最大同接約7500人に対し高評価約5000、低評価約750と明確に反感の差が出ている。エンターテイナーの矜持を語った身にある以上、この結果を「攻撃的なアンチが全ての原因」で片付けてはほしくないものである。
自身の信じた正義に基づいていたのだとしても、不要な事まで言ってしまった代償は小さくは無い。残る人がいる限り活動を続けたいというのは聞こえは良いが、去った者が何故去ったのかを考えずに次に行き、肯定的な意見だけをくれるファンだけを残した先にあるのは下がり続ける人気をファンも演者も乾いた笑いで見つめ続けるだけのディストピアだろう。
 花京院ちえりもツイートにて切り替える旨を発言し、カルロ・ピノも12月8日の配信にてこれ以上本件への言及はしない事を明言した。少なくとも見えるところでこれ以上はこの問題にどう向き合ったかどうかを知る術はもう得られない。

最後に

10人(内1人活動休止)で再スタートを切るアイドル部だが、数ヶ月後に別メンバーでまた似たような事が起きるなんて地獄が起きればそれこそ「大問題が起きても改善が出来ない所なんだな」と言われるだろう。そんな事にならないように外からは見えない場所であってもきっちりと今回の事を受け止め次に進めるように心意気を新たにしている事を祈る。