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#320 「佃運輸事件」神戸地裁姫路支部

2012年10月3日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第320号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【佃運輸(以下、T社)事件・神戸地裁姫路支部判決】(2011年3月11日)

▽ <主な争点>
従業員間の暴行・傷害と会社の安全配慮義務など

1.事件の概要は?

本件は、【甲事件本訴】XがYに対し、Yの暴行により傷害を負ったとして民法709条(不法行為による損害賠償)に基づき、損害賠償5万円余(治療関係費、通院慰謝料)等の支払いを求め、【甲事件反訴・乙事件】YがXおよびT社に対し、Xの暴行により傷害を負ったとして、Xについては民法709条、T社については安全配慮義務違反または民法715条(使用者等の責任)に基づき、各自損害賠償287万円余(休業損害、慰謝料、弁護士費用)等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<XおよびYについて>

★ Xは運行管理係として、Yはタンクローリーの運転手として、T社の加古川営業所に勤務していた。

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<XのYに対する暴行等について>

▼ Yは平成21年4月17日午前9時過ぎ、加古川営業所事務所内において、自分だけ残業代が減るような差別的扱いをされたとして、配車に対する抗議をしたところ、Xとの間において、トラブルとなった。XとYはお互いに胸倉をつかんだが、配車の責任者であるAが制止したため、XとYのつかみ合いはいったん収まった(以下「Xの第1の暴行」という)。

▼ その後、事務所外の駐車場において、XとYは再び口論となり、Xが大型トレーラーの運転席を背にしてYと正対する形でつかみ合いとなり、Xが足をYの足に引っ掛ける形で、Yは転倒した(以下「Xの第2の暴行」という)。

▼ 同日午前10時過ぎ、XはYの持っていた缶コーヒーを手で払った(以下「Xの第3の暴行」という)。なお、上記Xの暴行により、Yは右前胸部打撲、頸椎捻挫等の傷害を負った。

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