彼女の人生は間違いじゃない

彼女の人生は間違いじゃない観た。

2011年3月11日、忘れもしない、”今まで通り続くと思っていた”現実を変えてしまった東日本大震災を題材にした映画。
廣木隆一作2015年の小説が、自身の監督により2017年に映画化。

登場人物の一人一人が否応なしに突きつけられた現実に晒され、それから逃げる者、目を逸らす者、塞ぎ込む者、伝えようとする者、それでも前に進む者、それぞれの立場で全員のストーリーが印象づけられている作品だった。
観ていて何より苦しいのは、現実は現実として存在していて、どうやってもそこから逃れることはできないんだということ。そしてこの映画で見た現実は過去の話ではなく、『今もなお現実であり続ける』ということ。文字通り、現実が喉元に刃を突き立てているような、そんな気分になった。

この映画は、当たり前に仕事がある、自分のやりたいことがやれている、暖かい家がある、家族がいる、友人が元気にしている、その一つ一つが奇跡なんだということを思い出させてくれる。
当たり前に目の前にあるものは、本当は当たり前じゃないんだ、有難いんだ。

災害からもう10年が経とうとしている。
環境は大きく変わっているが、東日本大震災は決して忘れてはならないものの一つ。『マチネの終わりに』のテーマを持ってくるのであれば、東日本大震災という現実は、未来を生きる我々が意味を付け、次の世代にバトンを渡していく責任があるのだと思う。
他人事ではない、他人事では済まされないこの災害を私たちはどう解釈するか。これからを生きる私たちにできることは何か。そんな問いが残る映画だった。

私は、そしてこれを読んだあなたは、今も苦しみを抱えながら過ごしている被災された方々のために一体何をしますか?

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