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自分以外が全員ベトナム人の誕生日会にお呼ばれしたときの心境

*南アフリカの航空学校での話です。

人間だれもが自分の快適ゾーンから出たいとはなかなか思わないですよね。

  • 知らない人が大勢いる飲み会でのテーブルの端っこ

  • 全然わからないというか興味がない分野の話をする人との空間

  • カフェなのになんか店外まで並んでいるお店

  • The地元という雰囲気が入口から溢れている居酒屋

そして、

自分以外が全員ベトナム人の誕生日会

現在通っている航空学校とベトナムの大手航空会社が連携を取っているようで、私と同じ時期に15名以上のベトナム人が団体入学していました。

彼らは、南アフリカで免許を取ったら就職活動をせず、そのまま会社に雇ってもらえる契約で学びに来たようです。
だから、ここにいる全員がアジア中を飛び回るエアラインパイロットの卵たち!!超エリート!!

成績や素行が悪かったら、学校が会社にチクり、内定が取り消されるらしくて意欲が高い!!

そんな彼らと授業を一緒に受けはじめて1か月が過ぎようとしていたとき、
仲間内から「お兄ちゃん」と呼ばれているクラスメイトが声をかけてきました。

「今日、おれの誕生日会をするから来ない?」

「行く行く!! お誘いありがとう!」

さすがお兄ちゃん!✨
同じクラスだったけど、そこまで親しい接点は今までない私も誘ってくれるなんて~~感激。

大半のベトナム人が18~20歳で高校卒業後に航空学校に来たのに対し、彼は26歳。

航空系の整備士としてそれまで働きお金を貯めて、2020年から将来の夢であるパイロットになるために次のステップへ行こうとしたところ、コロナで動けず。
そこから準備が整うまでの2年間、空に恋い焦がれて続けていた情熱があるお兄ちゃん。

年上だし、モチベーションも人一倍高いから、ときどき私のことを気にかけて「勉強大丈夫?」と声をかけてくれていました。
そんな彼の誕生日会!

行かない選択肢はありません!!
部屋に戻って誕生日プレゼントを探します。

留学するのがかれこれ5回目の私は、その辺も用意周到です。
百均で外国人がもらって喜びそうなものを買っていました。

今回お兄ちゃんへのプレゼントとして選んだのは、

色付きの筆ペン


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覚えることが多い航空用語のハイライトにでも使ってほしいなと思いを込めて。


集合時間はだいたい19時頃。
ベトナムと言えばフォーかな。それとも果物かな。
お酒は飲むのかな。もしかしたら、寿司の可能性もあるぞ。

寮の夜ご飯を抜いて、パーティー料理に期待します。

学校にあるカフェテラスにクラスメイトたちが集合時間に近づくにつれて集まってきました。
そこで異変に気付きます。

「あれ、みんな手ぶらやん…」

誰もプレゼントを準備していない、どころかご飯も持っていない。
戸惑いをあらわにしないようにおしゃべりしていると主役が登場です。

デデン!!
お兄ちゃん

両手にはピザとソーセージ!!

写真撮影用のフォーメーションです。撮影後に、見出しの机に移動しました。

なんで???!!
主役が自分のパーティーの準備をしているのも違和感だし、関係なくファストフードですやん。

私の戸惑いはほったらかしに、会はぬめっと始まりました。だいたい10人くらい集まっているでしょうか。
テーブルを4つ繋げて、長机にして各々着席します。

私は陰キャのベストポジションを選択。出口に一番近いコーナーの椅子。
好きなタイミングで好きな物を食べ、飲み物は自動販売機で買って、ぺちゃくちゃ話す。隣の人と話す人もいれば、わいわいしている人たちもいて。

ベトナムっぽい誕生日会とは違いましたが、これはこれで楽しい雰囲気で心地いい。

心地いい…

心地……いい

いい……

いや、自分以外、全員ベトナム人だからみんなベトナム語で話してるから何も分からん!!!

なぁぁぁぁんにもわからん。

そりゃぬめっと始まるよね、だってベトナム語で会が進行したんだもんね!知らんけど!!

私と話したい人は英語で話して、話し終わったらベトナム語に戻る。
意味がわからなくてボリュームの大きい会話は、もはやBGMでしかない。
しかも悪い方向に働いてる感じの!

私はいいよ。主役じゃないし、呼んでもらっただけでうれしいもん。
でも、私が楽しんでいないとせっかく呼んでくれたお兄ちゃんが悲しくなるよね。
それだけは避けねば!!

使命感にかられた私はおにいちゃんに質問をします。英語で!!

「この1年間をどんな1年にしたいの?」
「ベトナムでの誕生日会ってどんな感じなの?」

誕生日会っぽい会話ランキングと調べたら、ベスト5に入るような質問を繰り出すと、
なぜかシーーンとしました。

お兄ちゃんは考えます。
あんなにがやがやしてた場が急に静かになりました。ここは静かに聞くところだ、と感じとったのでしょうか。
まるで鶴の一声!

固唾をのんで、お兄ちゃんの言葉に耳を傾けます。


すいません、正直彼がなんて答えたか、もう覚えてないですっ!なぜなら、
陰キャ席から彼を誕生日会の主役にできたことへの満足感に燃え尽きたから!!

使命をやり遂げ、お腹も膨れた私は、もうこの他言語空間にいる必要がなくなったので、お兄ちゃんに

「そろそろ退出するね!お誘いありがとうね、ハッピーバースデー!」
と決め台詞を言って、会を後にしました。

そして、
次の日の朝になって、せっかく準備したプレゼントを渡してないことに気づくのでした〜

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