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ホームレス支援活動に参加してみたらカオス過ぎた

2019年9月某日、都内の路上生活者の支援活動に参加してみました。今回の記事はその記録です。

(YouTubeでもこの動画上げてます)→
【ブチ切れ】渋谷でホームレス支援活動してみた

参加した経緯

去年の12月から4か月間、ジョージアから始まり東ヨーロッパをバックパッカーしてたのですが、そのときよく目にしたのが「物乞い」でした。

以前書いたマケドニアで出会った物乞いの少年もそうですが、旅の中でかなりの衝撃でした。

ぼく自身過去にホームレスを傷つける行為をしたことがありまして(人としていけないこと)、ずっとその罪を背負って生きてきました。一応、その問題は謝罪という形で解決したのですが、どうしても心のどこかに引っかかるものがありました。

そんな中、貧困者支援をしている団体を探していたところ、渋谷にて発見しましたので行くことにしました。

当日の流れ

当日の流れとしましては、まず午後の16時にとある公園で集合します。

そこから少し挨拶をしてすぐに、支援者とホームレスで一緒に料理を作る共同炊事をします。

18時頃にみんなで作った料理を配給します。この配給は、共同炊事をしていない人でも食べることが可能です。ちなみに、共同炊事も配給もすべて公園内で行われます。

そして食事が終わった午後20時頃に渋谷のホームレスに声掛けをする活動に行きました。

参加者

参加者は支援者とホームレスの2種類に分けられます。ただ、だれがホームレスかはパッと見わかりません。どうも渋谷のホームレスはこぎれいな人が多いようなのです。そのせいか、見た目では判断できないのですが、歯がなかったりするとその疑いが高いです。

みんなで食事の準備をするのですが、とてもアットホームな雰囲気で、初回の人でも馴染みやすい感じでした。みんな優しく教えてくれますし、気さくに話しかけてくれます。

ただ、どうしても変な人はいまして、ひたすらにしゃべりかけてくる人、ひたすらに独り言を言っている人、いきなり大声になる人など、非日常がそこにはひろがっていました。

元ヤ○ザのホームレスも存在してました、西成にもいったことがあったのですが、本当に元ヤ○ザの人は多いです。

支援者の中には平日は仕事をしていて、休日にこの活動をしているおばあちゃんもいました。

なぜこの活動をするのか聞いてみると「知らないことが知れて楽しい」「困っている人がいるのに助けないのは、、」など、単純に良い人が多いです。

支援者は見返りを求めずに困っている人を助けているのです。

無料食にしては凄い

ちなみにこの活動はすべて寄付で行われていて、野菜や肉などの食料を提供してくれる方がいます。この団体は非営利ながらも20年以上続いてるようです。すごい。

ちなみに調理過程の衛生面は、決してよくはないです。

作っている側も「無料で食えてるんだからいいだろ」って感じです。なんせ公園で作っているので、調理過程をみるとなかなか食べる気になりませんでした。ぼくは米担当でしたが、米の中に黒い虫がちらほら入っていました。

ただ、調理過程を見ずに出来上がったものだけをみればおいしそうでした。ぼくは食べていませんが、この日は120食以上も配給しました。

「ぶち殺すぞ」と脅される

食事が終わりパンフレットを配布する活動に参加しました。(以下の画像)


この活動は、渋谷のホームレスの安否確認をするためにも毎週しているらしいです。そのため、どこにホームレスの住処があるのかがわかっているので、そこに訪ねてパンフレットを配ります。

しかし、いってしまえばこの活動を求めていないホームレスもいるんですね。

この活動のリーダー的な人がある人にパンフレットを配りに行くと、とんでもなく怒鳴られてました。

リヤカーを引きずっているホームレスでしたが、「毎回いらねえって言ってんだろ」「お前ぶち殺すぞ」などと言われていました。
その人は「おれは乞食じゃねえんだよ」と怒鳴りながら、空き缶を集めに行きましたが、リーダーは「怒鳴っているうちは元気な証拠」といっていました。おっしゃる通りです。

この活動は、ある人にとってはその人のプライドを触発してしまう行為なのです。

なぜこの活動を続けるのか

ぼくはリーダーになぜこの活動を続けるのか聞いてみました。するとリーダーは「こういう活動を毎週続けていると、数年後、早くて数か月後にはぼくたちの活動に顔を出してくれる」といっていました。

なんでも、先ほど「ぶち殺すぞ」と怒鳴っていたホームレスも、昔は彼らの活動に顔を出していたらしいのです。しかしその時に別のホームレスに「帰れ」と言われて嫌な気持ちを抱えたことがきっかけで怒鳴るようになったそうです。

そこからこの団体には、「酒を飲まない」「人を傷つけることは言わない」「写真や動画撮影禁止」「みんなに平等に与えられるものしかしない(弁当など)、金銭を渡すなど、特定の人にしかやらないことはNG」などのルールができるようになったのでした。

まとめ:彼らの戦いは終わらない

公園や駅内で寝られると迷惑という人がいる一方で、そこにしか居場所がない人がいます(ホームレス)。

公園職員から区役所の職員なんかはホームレスに「でていけ」と言っているらしいのですが、ホームレスや支援団体は「こっちには自由がある」といって公園に住み着きます。

以前みたホームレスへの取材記事では、(*1)

「生活保護は決まりごとがうるさいから嫌だね。空き缶集めの生活の方が勝手気ままでいい。楽しみはたまにやる競馬。」2年後もこの生活を続けていきたいと強調。
「仕事しないで生活できるから、ホームレスになったのよ。もう人間関係も嫌だし。自分は他のホームレスとも話をしないし、情報交換もしない。それでも寂しくは感じない。人の世話になる生活保護は元来、好きではないし、なんだかんだで人と関わることになるから」

などと記載されていますが、実際に支援活動に参加してみても、上記のような価値観の人が多かったです。

彼らに生活保護や団地に入ることを進めても自由じゃないのがイヤらしく、それよりもホームレスのほうが自由でいいらしいです。

こういう意見を聞くと、個人的には彼らのわがままを支援する団体のようにも映りましたが、食事の給付などの活動は素晴らしいと思っていて、居場所を作る活動は賞賛されるべきだなと感じました。

ただその居場所がどこにあるのか、1人のためにみんなが迷惑する社会であっていいのか、自由とは何か。

ホームレスの支援団体と、それを求めていないホームレス。ホームレスを公共の場から排除しようとする役所と、そこが居場所になっているホームレス、さらに彼らを支援する団体。

この対立は終わりがみえない。


参考文献:隅田川沿いに暮らすホームレス「生活保護は受けたくない。こっちには自由がある」

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