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存在を見失った悲しみは、その人を愛していることを僕に感じさせる、だからその悲しさは、どこかあたたかい。蝋燭に灯した小さな明かりのように。

    • すみません、急いでいるので、もう行きます。

      僕は今、伊丹空港に居ます。 もうすぐ、あと五分後には、僕が乗る福島行の搭乗手続きを促すアナウンスが聞こえると思います。 手荷物検査は済ませました。 福島県までは、5000円ほどでいけるのです。 5000円。 何かを買う金額を払う間際に、やめるという行為をしました。 僕はそれを「空貯金」と呼びました。 3週間半ぐらいかかったでしょうか。 目的の金額を貯めることができました。 これが昨日のことなのです。 最後に「空貯金」の対象になったのは、昨日の食事でした。 朝にトース

      • お手紙(宛先不明)

        寒い夜はしっかりと布団にくるまって暖かくしてリラックスして寝てね。 何も心配することない。僕がいます。 必ずいます。ね。 吐き出していいんだよ なにもかも 声に出して。パルマコン、声。 前はこんな事言えなかったけれど 言えるようになったんだ。 誰のおかげだと思う? 僕がいま話しかけている人たちのおかげなんだ。 僕が最初に「寒い夜は」と言ったのは、ね、からだが先だと僕が考えるからなんだ。 こころは、そのあと。 深刻な話?そんなことない。 ただただ、寝言のようなもの、か

        • +30

          京都府立植物園にて!植物こそ至高!

        存在を見失った悲しみは、その人を愛していることを僕に感じさせる、だからその悲しさは、どこかあたたかい。蝋燭に灯した小さな明かりのように。

          In the air. In the error.

           我々は、まだ発病していなかった。しかし、感染していた。ウィルスは潜伏しており、発病すると、見た目には聖人の悪魔が生まれる。これは比喩ではなく、普通をよそおって、悪の能力を行使するのだ。悪の能力とは、知る限り、人間の行為のコントロール、また他者の重症化による発病の促進だ。  しかし、発病した人間はその能力を本能に近い感覚で行使し、ある一定の時間を経て、朽ち果てる。  僕も含めて十二人、感染者たちは、天井のない貨物列車で運ばれていた。発病の促進を遅らせるチューブが我々は一人一人

          In the air. In the error.

          百円で溢れいづる富

          古書店で買った本『毎日の言葉』(柳田国男) 『闇の穴』(藤沢周平) 『自然折々・俳句折々』(太田土男) 『美について』(今道友信) 『術後集──気になることば──』(中村雄二郎) 『温かな髪』(小川国夫) 『アッシュ──大宇宙の狼』(田中光二) 『女のかたち』(吉行淳之介・著、米倉斉加年・絵) 『鞄に本だけつめこんで』(群ようこ) 『俳句開眼』(平井照敏) 『愛の砂漠』(モーリヤック) 『山椒魚』(井伏鱒二) 『幻の光』(宮本輝) 『マラマッド短編集

          百円で溢れいづる富

          何人の人を弔うことになるのか、失っていくのか、とても怖い。 損なうばかりで、私は眠る。

          何人の人を弔うことになるのか、失っていくのか、とても怖い。 損なうばかりで、私は眠る。

          友達を探したい

          友だちを探したい、何も無い俺を、今日も今日とて負け犬だった俺を いつもいつまでも、どんな時でも、いつまでも 失ってばかりの俺を、助けてください 失ってばかりの、どこまでも、何もかも失っていくばかりの 感情に任せて生きていくのにも疲れてきたみたい

          友達を探したい

          目を閉じて光を待つ

           太宰治の『待つ』と云う小説を読んだことがあるのを思い出した。 いま左耳のイヤホンでやくしまるえつこの声がカラオケを歌っている。一方で、右の耳が捉えているのは、レコードが鳴らすイルカの初めて聞く歌声だ。時々ノイズが入る。五百円だった。 壁の薄い団地に住んでいるので、音を抑えている。左右を比べると、やくしまるえつこの声が歌うカラオケが少し大きいので、スマホの音量を下げる。  私の姿勢は、布団の上であぐらをかいている状態。私は、弟と、アマチュア小説家と、家人に自作の小説を

          目を閉じて光を待つ