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大量廃棄社会~アパレルの不都合な真実編~

みなさんこんにちは。LemoのSatokoです。

先日こちらの本を図書館で借りてきました。
以前から書店で見て気になっていたのですがまだ読めておらず、図書館で見つけて、お!と思い。

Lemoも”大量生産・大量廃棄”と環境問題には何度も言及してきておりますが
こちらは記者の方が実際にアパレル業界と食品業界を取材し書籍にまとめたもので、とてもリアリティある内容になっていてわかりやすい1冊でした。

以前食品ロスの問題については投稿していますので、

アパレル編について、一部にはなりますが
"不都合な事実"をお伝えしていきたいと思います。

日本で買われることなく廃棄される洋服は年間10億点以上

1000円で買える服を疑いたい

こちらの数字は著者の記者の方が算出した数字です。
2017年の数字にはなりますが
年間の総生産数が38億点、消費点数が20億点、差分は18億点。
再販売などされている可能性もあるので、著者は十数億点としています。

まず消費点数が20億点ってちょっとびっくりです。
日本の人口は約1億人なので、平均年間20着買う計算。
もちろん買わない人もいるので、年間30着とか買う人もいるということですよね。

まずこれが現実として実現しているのを当たり前としていいのか疑わないといけないように思います。
年間30着買うとして、それって総額いくらなんでしょう?
ファストファッションの登場によって
1000円もしない服が大量に流通しています。
ファストファッションでなくても、ショッピングモールなどを歩いてみると1000円以下の服って簡単に目につきます。
1000円の服だったら30枚買っても30000円ですから、たしかに現実的な消費額です。

この本でも安価な服の生産背景には詳しく触れられていますが
例として1000円で買える服があるとして
それを売って利益を出すには原価がおそらく300~400円くらいのはずです。

その原価の中には生地などの原料だけでなく生産時の人件費も含まれています。
もちろん機械は使いますが、人の手によってつくられます。おそろしいです。

大量廃棄の現実

話がさっそく少しずれましたが、
アパレル業界は環境負荷の大きい産業ランキング第2位とされていますが(1位は石油関連)
売れ残りを大量廃棄していることも理由のひとつです。

アパレル業界の環境汚染に関連する記事も過去に書きました

売れ残ったら焼却して廃棄するとしても、大量に作った方が利益がでる。
残念ながらそういう仕組みになってしまっているそう。

こちらの本ではバーバリーの41億円分にもなる大量廃棄が発覚したことについて触れていますが
ラグジュアリーブランドでは"ブランディング"や広告にかかる費用が膨大ですので、その分利益が上乗せされているので、原価(廃棄額)はそんなに痛くないのです。
そしてセールで安売りすると"ブランド"が廃るので、値下げはせず廃棄するというわけです。

このバーバリーの件が発覚してからは、透明化と改善が進められてはいるようです。

安い服の裏側には犠牲になっているひとがいる

ラナプラザの事故は予測されていた人災

みなさんラナプラザって聞いたことありますか?
エシカルに興味をお持ちの方はご存知の方も多いと思いますが
2013年にバングラディシュで起きたビル崩壊事故で、劣悪な方法で建築されたラナプラザというビルが崩壊し死者1,127人、行方不明者約500人、負傷者2,500人もの大規模な被害がありました。
そこではファストファッションなどの安価な服を製造していました。

これは事故ではなく人災であり、こうなることは予測できていたといいます。
違法増築で明らかに危険な状態であり、そこで働く女性たちは長時間、薄給で働いていました。

この事件については「トゥルーコスト」という映画でも知ることができます。

製造の川下で苦しむひとたち

ラナプラザの状態はまれなものでなく
バングラディシュは安い人件費を売りに国を挙げて縫製業を受注していました。
なのでこれが常態であり、ほかの国でも似たような状態があるそう。

悲しいことに、日本でも同様の労働環境があるとこの本を読んで知りました。

それは"技能実習制度"を利用してベトナムや中国、カンボジアなどから日本に働きにきている労働者です。

本の中には本当に信じがたい勤務時間と給料で縫製の仕事をしていた方々にインタビューをする場面があり、読んで本当に涙が出そうになりました。

国内製の洋服は輸送のCO2排出がカットできる点では海外製より環境負荷が小さいですし
もちろん伝統を守る職人の方々の手によってつくられているものもあり
エシカルな選択といえると思います。

でも工場によっては日本でもこんな劣悪な労働環境で洋服をつくっているひとがいる。それは日本人として知るべき事実です。

"メーカーも消費者もものづくりにどれだけのコストがかかるのか考えてみてほしい。服の値段が安くなる陰で、誰かが泣いているんです"
これは本に登場する、日本で縫製工場を営む方の言葉。

詳しくはぜひ読んでいただけたらと思います。

衣類のリサイクルの闇

リサイクル回収増えているけど・・

最近は本当に衣料品店の店頭で下取りしているのをよく見るようになりました。

もちろんちゃんとリサイクルや活用がされている衣類もあると思います。

でもなんだかすこし免罪符のような役割も果たしているのではないでしょうか。

「リサイクルされるしまだそんなに着てないけど処分しちゃおう」
「下取りが寄付されるって素敵な取り組み!処分して新しいのを買おう」

はたしてそれはエシカルな選択なのか・・
できるだけ長く持っている服を着るのが最もエコなのでは・・
と考えてみたいものです。

この本ではそういった回収された衣類の行く末まで追跡しています。

化繊の服はリサイクルが困難

アパレル業界から廃棄を回収するリユース業者や
処分された衣類をリサイクルする工場など、
回収された衣類の出口はあまり知る機会がないのでとても興味深いものでした。

現代は安価に服をつくるため、化学繊維を使われたものが非常に多いです。
洋服の素材についてあまり気にしない方はピンとこないかもしれませんが、
洋服の単価を下げたいなら自然素材ではなくポリエステルやポリウレタンでつくるのが手っ取り早いです。

長くリサイクル業を営む方のお話によると
最近は昔に比べまだ着られる綺麗な状態のものばかりで
化繊が混合されているものがとても多いそう。納得ですが。。

リサイクルの内容としては輸出したり(これもまた問題になっているのですが…)ウエスや雑巾としてリサイクルするそうです。
綿などはウエスとしてリサイクル可能ですが、
ポリは水や油を吸水しないのでそういったリサイクルができず"リサイクル不能品"としてまた"熱回収"してくれる業者に回されるそう。

"化繊の服は着るひとにとっては安くて快適かもしれないけど、リサイクルがとても難しいと知ってほしい。せめてすぐに処分しないでほしい"
そのリサイクル業を営む方の言葉ですが、本当にそうだと思います。

多くの問題を抱える業界の1つではあるけど・・

ざっとアパレル業界の問題点を並べていきましたが
ほかにもアパレル業界の闇をとてもわかりやすく解説してくれていて
本当に多くの人に読んでもらいたい1冊でした。

わたしも大学時代から数年前まで、なので10年近くファッションに関わる仕事をしてきました。
ですので、やっぱりこだわってつくられた洋服は多くの人を魅了すると考えていますし
ファッションを楽しむことが暮らしに彩りを与えてくれるとも思います。

だからこそ、ファッションとの付き合い方は慎重になりました。
素材は環境負荷が小さいものを選びたいですし
古着も好きなので積極的に利用します。
好きなデザイナーの服は欲しいと今も思います。

"不買"行為が服作りの川下で働いている彼女たちのためになるかというとそういうわけでもなく、難しいところではあるのですが

安いから!という理由で選ばない
その服が店頭に並ぶまでの背景を考えてみる

それだけでも洋服の消費の仕方は変わってくるのではないでしょうか。

購入するものの生産過程、そのお金がどこにつながっていくのか考えるのがエシカル消費ですが
洋服こそエシカル消費が求められていると思います。

本日も読んでいただきありがとうございました!

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Lemo オーナー プロフィール

Satoko

2020年頃から環境問題に興味を持ち始め、環境問題について発信をはじめる。
学生時代からファッションに関わる仕事をしていたが、甚大な環境汚染を引き起こしているアパレル産業に加担している自分と、美しい地球を守りたいという思いの不一致にジレンマを感じるようになり
2021年8月、環境にやさしい暮らしを広めるためサステナブルな日用品を集めたオンラインストアLemoをオープンさせる。
2022年1月エシカルコンシェルジュ修了。
2022年にはLemoが環境にやさしい暮らしを始めるきっかけになればという思いから、オリジナル商品の生産をスタート。
ゴミを減らし循環させる生活を広めるため、2023年よりLFCコンポストアンバサダーとなり、コンポストの普及にも努めている。


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