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骨髄ドナーになった話

こんにちは、つむさん(@Tsumutsumutsumy)です。
普段は仮想通貨が暴落する度にアーチーチーwww燃えてるんだロスカッwwwwするのが
仕事になっています。あ、積極的なアフィカスもやっています!
さて今回、骨髄ドナーに選定され、無事に役目を果たし日常生活に戻れましたので、振り返りも兼ねてnoteを書きました。10-15分で読めるので、ぜひお付き合いください。

2023年3月6日。それは突然だった。携帯電話にSMSが届いたのだ。LINE全盛期の今、SMSが個人スマホに届くことはまずない。まぁいつもの迷惑メールかなと思ったが、今回は少し違った。
【日本骨髄バンクからのお知らせ】

実際のSMS。

少しだけ身に覚えのある知らせだった。
時を遡ると…というほどでもない。2022年11月末。今働いている企業に転職する前に、気まぐれに献血した際に気まぐれに骨髄バンクに確かに登録したからだ。
いやしかし、登録してからこんな短期間で誰かと適合するとは。正直戸惑った。なぜって、骨髄バンクに登録するとき、説明してくれる人はこう説明していたからだ。
【骨髄は親族で25%で適合しますが、他人の適合確率はとても低いです】
【登録したまま、ずっと適合しない可能性も高いです】
だから、このメールには心底驚いた。こんなにも早く適合するものかと。ただ、この時点ではまだ骨髄提供について自分は懐疑的だった。
いやいや、実際これで本当に人は助かるのだろうか?
痛い思いをするだけで、実はそんなに効果も無くて、結局誰も幸せにならないなんてことはないのか?そんな考えがよぎった。

こういうのはWebで調べるより、実際に医師に聞くのが一番かな…と思い、Twitterで仲良くしてくれている本業が医師の仮想通貨トレーダー(百式とバクさん)がいるチャットルームで話題に出してみた。
つむ「骨髄バンクに登録してたら、まさか適合するとは」
バク「登録してたんですか。聖人すぎる」
百式「えらい」
えらいw聖人ww医師から見てもそんな感じなのかと思った。

続けて
つむ「実際これで人の命助かるんすか」
そうすると、百式が即答したのだ。
百式「助かる」

衝撃を受けた。彼のこの言葉は、本当に力強い言葉に感じた。
助かるんだ。すごいな、人の命が助かるんだな。
僕が少し痛い思いをするだけで、誰かの命が助かるんだな。
理由としては簡単だが、この瞬間に僕は骨髄提供することを決めた。

すぐにSMSで来ていたアドレスを開き、骨髄提供する意思を表明。記載されている問診票に回答をした。問診票と同時に、今後検診等を進めるにあたり通いやすい病院をリストからピックアップして、送信した。


大阪府在住者向けの希望病院一覧

そこから先の流れは早い。まず、骨髄バンク所属の専属コーディネーターが付く。彼(彼女)は、骨髄ドナーの今後の検診に向けたスケジュールの
段取りや、そもそも骨髄提供をすることにより起こりうるリスクの説明、病院への付き添いなどを担当していただく方になる。
なお、HLA型が一致してから骨髄提供までの平均的なスケジュール感は約5-6か月だそうだ。後から分かったことだが、僕の場合は3か月だったので、過去最速クラスに早いらしい。
さて、日付別のイベントと要約を書き出すと、下記の通りとなる。
◆2022年
・11月末 献血の際に骨髄バンクへ登録。

◆2023年
・3月6日  SMSで骨髄のHLA型 一致の連絡。同日、Webで問診票等提出。この際、今後の検診を行うにあたり自分に都合のいい病院をいくつかピックアップする。(※大阪府内だと30病院弱くらいある)

・3月10日 郵送+電話でコーディネーター着任 及び 検診日の件の連絡あり。

・3月23日 コーディネーター同行のもと、血液の再検査を行う医療機関へ。ここで、コーディネーターから骨髄提供のリスクを。医師からは骨髄採取の方法を説明いただいた。リスクと説明を聞いた上でも骨髄提供に同意するかという書類に「同意する」でサインした。

・3月30日 血液検査の結果が届く。ドナーとして問題なかったとのこと。ただし、1名に対して最大10名ドナーは選定※されているため、誰が次のステップに進むかどうかは年齢・性別・職場の理解等総合的に判断されるとのこと。
特に職場の理解については重要視される。通院や、特に入院に際し仕事を休めなければ骨髄提供は円滑には出来ないからだ。自分の場合は、今の会社はコアタイム無しのフレックスの会社で、出社義務もないので通院については自分でスケジュールの調整が可能であること。また、骨髄提供の場合は特別休暇が出るなどの条件があるため、他の候補と比較してもかなり好条件だったのは間違いないだろう。
(※1名に対して最大10名ドナーは選定…実際に何名が選定されているかは明らかにされない。人数が明らかにならないのは、もし適合したのが自分1名のみだったと分かった場合、提供する事に対する強制感をなくすためだと聞いた。
 骨髄提供は必ずドナーの安全が最優先とされるため、提供を断ることが出来るタイミングは何度もあるが、断ったとてそれは別に責められることはない。他にも、再検査の結果ドナーとして不適合になる人もいる。複数候補が上がるというのは、場合によって断る(または提供の意思はあるが不適合になる)ドナーへの配慮となり、実際に複数候補がいる場合は、患者へ提供できる可能性を最大限上げる為の施策となっている)

・4月28日 コーディネーターから着電。自分が第一骨髄ドナーとして選定されたとのことだった。改めて、本当にこのまま進めていいかの確認をされた。自分としては即okと返事をしたが、コーディネターから親族(妻+両親)の理解を得る必要があると説明があったため、すぐに確認・了承をとった。
妻は「どうせもう決めてんねんやろ」と半ば諦めており、両親は「素晴らしいことだから頑張ってこい」とのことだった。なかなか理解のある人たちに恵まれたな、と感謝した。
     
同意を得たことをコーディネーターに伝えると、今後のスケジュールについて連絡があった。順調にいけば最終同意や術前検査、自己血採血などのステップを経て、患者側の要望を鑑みて骨髄の提供は6月中になる見込みとのことだった。この日はもう4月末。きっと、その日まであっという間である。

・5月11日 妻同伴で再度病院へ。この日は最終同意をする日となる。今回はコーディネーター、医師に加えて骨髄バンクの立合い人がいた。どうやら、最終同意を行うにあたり、コーディネーターの説明内容に誤解を与えるようなものがないか確認する人らしい。

そして、妻に対し骨髄提供によるリスクの説明が始まった。リスクは1時間程度かけて説明される。脅しに近いくらいだ。それくらい、ドナーの安全が最優先だということだろう。コーディネーターが言う。
「今の説明を受けて、最終同意いただけますか?もし良ければ我々は退席しますので、ご夫婦二人で話し合ってください」
それを受けて、僕と妻はこう返した。
「いえ、特に反対する理由はありませんので最終同意します」
「…だそうです。もう本人は心に決めてると思いますし、本人の意見を尊重して、私も最終同意します」
     
この通り、最終同意※するかどうかの問いに対しては、即okで返答し、医師、コーディネーター、骨髄バンクの立ち合い人計3名とともに最終同意書にサインをした。
(最終同意…この同意をすると、患者が自らの骨髄を放射線等で完全に破壊して、ドナーの骨髄提供を受け入れいれる準備をすることになる。つまり、提供がなされない=患者の死を意味するため、引き返せなくなる最終ラインとなっている)

最終同意書。右側には全員のサイン・捺印がある。

・5月16日 骨髄提供前の術前検診の実施日だ。術前検診では、検尿や心電図、肺活量の測定など様々な検査を行った。即日結果が出て、主治医となる人から結果について説明を受けた。また、その日は時間に余裕があった為、そのまま1回目の自己血採血を行った。20分くらいかけて400mLを抜いた。

自己血採血とは、骨髄を採取する迄に合計2回行い、計800mLをあらかじめ抜いておく行為のことだ。骨髄採取当日は1200mLの血液と共に骨髄を採取する。通常、その量を抜くとドナーの命に危険が及ぶため、自らの血液800mLを輸血しながら採取する。分かる人には分かると思うが、イメージは完全に鷲巣麻雀に挑むアカギの気分だ。理屈は分かるが、医療は凄いと思った。

アカギ。名作麻雀マンガだ。ぜひ読んでほしい。鷲巣編長すぎやけど。

・6月5日   2回目の自己血採血400mLを行った。この日は続けて担当麻酔科医から全身麻酔の内容とリスクについて説明を頂き、麻酔同意書にサインを行った。また、看護師からオペ当日の段取りの説明があり、薬剤師からは術後の状況に最適な薬を用意すると説明をいただいた。
ところで全身麻酔は、薬で強制的に「眠る」のだと思っていた。でも「眠る」と「麻酔」は全く違うもので、全身麻酔をすると呼吸もすっかり止まってしまうらしい(!)。だから人工呼吸器を繋げるために、麻酔がかかったら喉にチューブを入れるそうだ。それが原因で喉が傷つき、声が掠れてしまうなどのリスクもあるらしい。とても勉強になった。

昔は部分麻酔だったらしいが、むしろ危ないらしく、今は全身麻酔に統一されている

・6月某日 入院初日。血液検査を行い、改めて問題がない事を確認。この日は病衣に着替えて、翌日に備えて寝るだけとなる。ところで部屋は個室だった。骨髄ドナーはボランティアのため、入院や検査にかかわる一切の費用は発生しない。いやしかし、病院の個室は安くはない(病院によるが1日10000円~15000円)。VIP待遇だな~とは思ったが、周りに気を遣わないで済むのdで正直本当に助かった。
オペに備える為、この日は21時から絶食となった。水分を摂ることは許可されたが、翌日7時からは絶飲食だと告げられた。

個室では22時の消灯時間も気にしなくていいので助かった。

2日目、朝9時。術前術後衣に着替え、看護師についてオペ室へ。オペ室では主治医、麻酔科医のほか、オペ着を着用された方が10名くらいいた。正直、想像より人数が多かったので驚いた。
骨髄採取は、臀部(つまり、お尻)の少し上左右2か所に穴を開け、計30~40回ほど専用の針を刺して採取する。全身麻酔をする時は仰向けだが、手術はうつ伏せにしてお尻を突き出すような形にしないとダメだから、たぶんここにいる皆さんで僕をうつ伏せの体制にさせるのかな、と思った。意識を失っている72kgの成人男性は重いだろうな。どうもすいません。これでも1年で15kgダイエットしたのでどうか許していただきたい。

術前術後衣。腕の部分がスナップボタンで取り外しが出来る。

さて、ストレッチャーと呼ばれる移動式寝台に仰向けに寝ると、左腕にまず点滴用の針を刺される。頭には脳波を測る装置を、両胸上部には心電図用のシールみたいなものを。両手にもシールのようなものを貼られた。皆さんテキパキとしている。
麻酔科医が言った。
「そろそろ眠くなりますからね~、意識があるかどうか確認するため、何度か名前を呼びます。聞こえたら返事してください。麻酔薬が入るタイミングで、少し針を刺した部分がピリピリするかもしれませんが問題ありませんので安心してくださいね。今、薬が入っていってますよ~」

…。

「終わりましたよ~」
看護師さんの声がした。
えっ。次に気がづいた時間は…もう13時半。病室に戻っていた。看護師が2名いる。左腕に点滴、右腕は血圧測定器、右手の人差し指には血中酸素を測るパルスオキシメーター。パンツは脱がされ、代わりにオムツを履いていた。いや本当に全身麻酔っていきなり意識が飛ぶんだな…と妙な感動を覚えた。ちなみに、喉は別に掠れておらず、しっかりと声を出すことが出来た。上手に喉にチューブを通してくださったのだろう。ありがたい。

気付いたらもう病室。全身麻酔中に全て終わっているので一瞬だ。

麻酔のせいか、ぼんやりとした時間が続く。数時間おきに医師が様子を見に来て、腰の傷口に消毒をしてくれた。夕方くらいに麻酔からはすっかりと覚醒し、晩ごはんを食べる元気も普通にある。腰は痛むが、めちゃくちゃ痛いかと言われるとそうでもない。じんじんと痛むような、いわゆる疼痛(とうつう)といわれるくらいの痛みだなと思った。なお、しばらくするとまた採血されたが、結果は良好だった。

ふと携帯を見ると、コーディネーターからメールが来ていた。自分の骨髄は、即日患者の担当医師が回収して、患者のもとへ運ばれたそうだ。骨髄は鮮度が命で、移植もすぐに行うらしい。自分は無事に役目を果たせたのだなと思って、少し安心した。自分も幸いしっかりと無事だし、携わってくださった関係者の皆さんに感謝の気持ちで一杯になった。

3日目。術後経過観察のために引き続き入院。朝起きると、痛み止めを処方してもらう程ではないが、明らかに痛みは昨日よりも増している。正直何をしてもけっこう痛い刺された痛みというより、傷が腫れている感覚に近い。また、傷のせいか日中は38度ほどの高熱も出た。この日は身体がだるかったので、寝て覚めてを何度も繰り返した。何度か医師が様子を見に来て、傷口の消毒をしていただいた。採血もされたが、検査結果としては問題はなかったようだ。血液で体調がわかるんだから、本当に医療は凄いなと思った。

4日目。入院最終日。熱は引き、痛みは少し軽くなっていた。いや正直言うとお辞儀のポーズなんて取るとけっこう痛いが、どうやら問題なさそうだ。主治医からは改めて経過が良好であることを伝えられ、10時から退院準備を始めた。すべての処理が終わった後、11時頃に退院した。あっという間の3泊4日だった。

コーディネーターも最後の挨拶に来てくれた。これで会うのは最後の機会になるらしい。教えてもらえる範囲で、僕の骨髄がどんな人に提供されたのか、性別・年代・居住地域を教えていただいた。情報はSNSで公表はできないので、明言は避けておく。
別れ際、大変お世話になりましたとお互いに挨拶をして、3か月に渡る協力関係も終わった。
     
休み中、いろいろと協力してくだった会社の上司と同僚にも昼前のショートミーティングで無事に終わった事を報告した。
「ちゃんと可愛い看護師に声かけました?」
この世の七不思議の一つに数えてもいいくらいだが、僕の扱いは転職しようがTwitterだろうがどこにいってもこんな感じである。

その後、迎えに来てくれた妻とランチにいき、家に帰ってから次男を保育園に迎えに行った。3日ぶりの再会に、飛び上がって喜んでくれた。実に可愛い。このまま成長しないで欲しい。
長男もじきに家に帰ってきて「おかえりなさい!あと、ごめんなさい、家のカギ無くしました」とのことだった。しばくぞ。

色々あったが、以上で自分の骨髄提供は終わった
骨髄バンクに登録してから、約3か月で適合、そこから更に3か月で提供したというのは多分前例がないくらいのスピード提供だったと思う。
期間中、Twitterで実況日記を更新していたことで、色んな人に応援頂いた。本当にありがとうございます。最後までやりきれたのは、皆さんが背中を押してくださったからです。この場を借りて御礼申し上げます。

さて、こうして骨髄移植は終了したわけだが、骨髄移植を行うにあたっては皆さん気になることが色々とある思う。誤解を恐れず言うならば骨髄提供を躊躇う理由だ。
自分が実際に体験した上で感じたことや、ここは気になるだろう、これは正直躊躇う理由だよなという点をかいつまんで説明していこうと思う。

◆骨髄提供のリスク
・再三説明されるリスクというのは、国内外を含めたオペに伴う症例のことだ。マジで脅しに近いくらいしっかりと説明される。
・主に紹介されるのは、術後の不調。例えば下肢などの麻痺が多い。ただ、ほとんどの場合は数日で解消されている。
・当然、死亡例についても説明される。日本では直接の死亡例は無い。
・過去の事例については全て原因が究明されていて、再発防止に向けた取り組みを行うことで、リスクを最小限にしている事も説明していただいた。(例:骨髄採取の針が長すぎた→骨髄までしか届かない長さに統一など)
・もしも仮に症例が長引いたり、最悪死亡した場合は、骨髄バンクから程度により300万~1億円の補償金が支払われることになっている。
手術である以上リスクは避けられないが、だとしても必要以上にリスクが目についてしまう。再発を防ぐために、色んな対策をされているのにな。説明を受け、そんな印象を受けた。

◆骨髄提供による"痛み"について
・骨髄提供を躊躇う理由のNo.1、それが提供に伴う"痛み"だと思う。実際、Twitterでも「痛いらしいのに偉いですね!」とリプを頂いた。
しかし、痛いかどうかはあくまで主観だ。だから、実際に提供した自分だから言える。正直、耐えれないほど痛いわけではない
・術後すぐはそこまで痛くない。2日目はまぁまぁ痛い。腫れてる感覚だ。3日目になるとマシになり、4日目以降になるとだいぶ痛みは引いている。
・痛みを理由に提供を躊躇う人がいるのであれば、ぜひ参考にしてほしい。「これくらいの痛みは、誰かの命と天秤にかける対象にすらならない」これが正直な僕の感想だ。あくまで主観だけど。
なお傷口は小さい針穴が2か所あるだけだ。じきに見えなくなるだろう。

◆骨髄提供におけるスケジュールについて
・HLA型が一致しながらも、コーディネーターから説明を受けて提供を躊躇う理由No.2、これは正直、スケジュールだと思う。
・提供に至るまで通院は計4~5回必要である。通院1回あたり、どうしても2時間~3時間くらいはかかってしまう。移動時間も考えると仕事をしている方は半休では足りず、有給を取る必要があると思う。
・入院については、骨髄採取の場合は3泊4日だ。これも会社から特別休暇が出ないのであれば、有給で対応する必要がある。
以上、働いている方は計8~9日間を有給で対応することになる。正直、営業職だったりすると結構キツいと思う。企業にっては特別休暇が出るところもあるので、就業規則を確認してほしい。さりとて、休み中に溜まる仕事や、少なからず周りにかけてしまう迷惑は避けれない。
・せめて通院の回数が半分になればと思うが、その辺は今後に期待したい。

◆骨髄提供による見返りについて
骨髄提供は完全なボランティアなので、見返りはほぼ無い
・最低限あるのは、通院・入院に関わる費用が全て無償であること。実費支払があるのは通院に関わる交通費と、入院準備金5000円だけだ。
・なお、条件はあるが自治体によっては通院・入院1回あたり1万~2万円が支給される。例えば大阪市なら1回あたり2万円で、最大14万円だ。骨髄バンクのHPから確認できるので、一度確認してみてほしい。
・僕の住んでいる自治体は…一切なかった。別に見返りを期待していたわけではなかったのだが、少なからず肩を落とした。税金の使い道としては、クリーンな使い道だと思うのだけれど。ご検討ください首長の皆様。
・この見返りが無いことについては、今回担当してもらった麻酔科医も憂いていた。曰く、「ボランティアといえど、行政主導でもっと報酬を用意するべきだ。ドナーのご厚意に頼るのにもさすがに限度がある」と。医療業界に携わっている人も憂うくらいなのだなと、正直驚いた。
・ところで、民間の医療保険に加入している場合、骨髄提供に伴う一時金が出る場合もある。自分も1つ該当していたので、一度確認してほしい。

◆そもそも骨髄提供で助かるのか
・骨髄提供による治療というのは本当に最終手段なのだそうだ。白血病等の理由で正常な血液を作れなくなった患者が、色んな治療を試した結果、藁にもすがる思いで選ぶ手段が骨髄移植らしい。
・骨髄移植を行うには、そもそも白血球のHLA型が一致する必要がある。HLA型が一致しないものが身体に入った場合、白血球は敵とみなして攻撃してしまうのだ。HLA型は両親から半分ずつ引き継ぐため、兄弟姉妹であれば25%の確率で一致する。その可能性に漏れた場合、数百~数万人に1名の可能性に賭けるしかなくなってしまう
・ドナーは最大10人候補が上がるというが、そもそも骨髄バンクに登録する人が増えなければ、提供できる確率は上がる事はない。
なお提供を受けた方のその後の生存率は約50~60%だ。この数字を見てどう思っただろうか。低かっただろうか、高かっただろうか。
個人的には、諦めることで確定する死という結末を、骨髄提供により患者の生存率を0%から50-60%に引き上げることが出来るという事実は、とてつもなく意味がある事ではないかと強く感じた。

◆その他
最終同意してからは、筋トレや過度な運動は基本的に禁止される。血液検査の結果に影響が出るからだそうだ。これ、提供を断られる理由としては意外と多いらしい。スポーツ選手があまりドナーにならない理由としては主にこの理由のせいだと思う。僕も1年続けてきた筋トレを中断した。しっかりリバウンド中だ。
骨髄ドナーとして選定されやすいのは、20-40代の健康的な男性らしい。女性は男性に比べると臀部に厚みがあったりで、手術が少しやりにくい前例があったそうな。

◆終わりに
色々あったが、骨髄提供には本当に色んな人が関わっている。コーディネーター、医師、麻酔科医、看護師、看護助手の皆様。会社の上司・同僚や、両親や妻の理解。そして私の場合はTwitterでずっと応援してくだった皆様。重ねて感謝申し上げます。

特に入院期間中、妻には大変な苦労を掛けたと思う。4日間、ワンオペ育児を頑張ってくれた妻には最大限の感謝をしたい。

前述の通り、骨髄提供という手段を選ぶ患者さんというのは、本当に最後の手段とのことだ。僕が提供した患者さんがその後どうなるかは知ることは出来ない。ただただ助かることを、切に祈る。

今回のnoteを読んでいただき、骨髄バンクに登録される方が増え、骨髄提供という手段を検討される方が少しでも増えれば、今回僕がしたことの意義はより大きくなると思っている。縁が巡りめぐって、いつか自分や家族を救う可能性だってある。ぜひ皆様、せめて献血だけでも。そして可能ならばその際に、骨髄バンクにご登録をしてくださいませ。

また、約10000文字の本記事にお付き合いいただき、有難うございました。今後ものらりくらりとTwitterと仮想通貨は末永く続けていこうと思うので、引き続き仲良くしてくださいませ。

最後に、仕方ねぇスイカバー代とコーヒー代くらいくれてやるか!って心優しい方がいらっしゃったら、以下の有料部分への課金をいただけたら幸いです。内容は感謝の言葉だけですが、飛んで喜びます。スイカバーとして食べきれない分は子どもにお菓子買ってあげますw
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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