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エッセイ『街の人の優しさにふれて』

以前、神戸に旅行に行った時の事。

私は、車いすの祖母を連れて神戸に出かけました。
今でこそ、少し慣れも出てきましたが車いすで出かけると、街中には色んな障害がある事や、一方でこんなにもバリアフリーが整備されているのか!と、日本や企業の環境整備の良さに気づかされることがあります。

時代が進むにつれ、毎日のニュースでは心が痛むような悲惨なニュースで心を痛めることがあります。私の幼少期、祖母の若いころの「昭和」の人付き合いから、人とのかかわりや距離感も時代と共に変わってゆくことを感じる事も日々の生活の中でたくさんあり、「昭和」のころの人との距離感の良さを振り返る事も多くあります。今の時代は ”人は人、自分は自分” という良いも悪いも「適度な距離」というモノを求められるように感じていました。

話は神戸へ戻りますが、そんな時代だから自分たちの事は周りの人の迷惑にならないように、という思いが第一で。自分たちの事は自分が介助しなければ!と思っていました。
でも、旅の中でふとした場所の階段やバスの乗り降りの際など何度も。
少しの距離なら祖母は歩けるため、一旦車いすを置いて祖母の手を引き移動させて、その場所で祖母を待機させて車いすを持ってくる。その予定だったはずが・・・




車いすを置いて祖母を椅子から立たせようとした瞬間に、後ろから「何か手伝いましょうか?」と声をかけてくれる方が現れた。それも一人ではないのです。旅の間に何人も。こんな事ってあるのでしょうか!
神戸という私にとっては大都会。
まさに「人は人、自分は自分」だと思っていた街で。
私が祖母の手を引き階段の下りを介助したり、バスに乗せる介助をする際に皆さんが「じゃあ、私は車いすを持ちますね。」と。男性の方も女性の方も、本当に色んな方が立ち止まり声をかけて下さいました。

そんな声をかけて下さるなんて、微々たりとも期待をしていなかった事。全くの想定外で。手伝わせてしまう事や、その分相手の方の足を止めさせて時間を頂いてしまう事への申し訳なさも沸いてきましたが、それと同時に思いがけない優しいご対応やお声かけがとても嬉しかったのです。
ただただ、感謝しかありません。
このような人の優しさに触れた事が、この旅の一番の思い出となりました。温かい記憶がずっと自分の胸の中に残ってゆくと思います。

”今の時代” という表現をされることがありますが、今の時代の日本もまだまだ捨てたものではない!という事を身をもって教わった様でした。
人からかけられる言葉や、行為などその姿勢から学ばせて頂く事って本当にたくさんありますね。今までの自分を反省したり、自分もあのような対応がスッとできる様になりたいと思う時、何歳になっても成長させて頂ける事に喜びを感じます。

いつも温かみのある人でいよう。
優しさを持ち、その気持ちを外に向かって出していこう。
「困っている人がいたら助けてあげましょう。」
小学校、もしくはもっと幼少期から教わっていた言葉。
年を重ねるごとに薄れてゆく言葉。

とても大切な言葉。

追伸
気づかせてくれた神戸の街の人へ感謝。
そして、このような学びがあるからこそ旅はやめられない!
思いがけない人との出会い、貴重な体験は旅の醍醐味でもあると思うのです。

Lemon




ご期待やお気持ちありがとうございます。