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アイのない恋人たち7話 感想


真和(福士蒼汰)が自分を本気で心配して応援してくれた二人の女性、今村絵里香(岡崎紗絵)と稲葉愛(佐々木希)を呼び出して、二人への気持ちを語ります。

真和「俺は40になろうが50になろうが絶対に諦めない。高校の時に誓ったように、どんなに辛くてもたくさんの人を感動させる物語を創る。二人のお陰で間違った道を行かなくてすんだからさ。これからも俺がめげそうになったらケツ叩いてほしい。」

「高校の時に誓ったように」

真和は高校の時に夢を叶えると誓った。

33才の真和は今もその夢を叶えようとしている。

高校時代に隣にいた稲葉愛は、真和にとって夢がどんなに大切なものか知っているので、就活しようとした真和を本気で止めたのでしょう。

一方、絵里香は真和の脚本を読み、感動して心が震えたので、就活しようとした真和の頬を叩いたのでしょう。

真和「絵里香さんは家族のこととか店とか不安だろうけど、あなたの強い意志と愛があれば乗り越えられると思う。」

真和「愛は子供のこととか仕事とか大変だろうけど、俺は信じてる。お前ならちゃんとした道を見つけられるって。稲葉愛は誰よりも賢くて誰よりも自由で美しい心の持ち主だから。」

二人の殴られたアザ(絵里香は罵倒した引きこもりの兄から。愛は婚約破棄した相手から。)を

真和「俺にはそのアザは自分の進む道が正しい証だと思う。俺は誇りに思う。何があっても幾つになっても今村絵里香と稲葉愛を応援するから。」

✨✨✨

人生の岐路に立った大切な告白を、二人並べて言ったのです。

真和がもう一度連ドラを書けたのは、稲葉愛の働きがあり、絵里香のあのお決まりの魔法の言葉があったからです。

愛は真和にもう一度連ドラを書いて欲しかった。

そのためには絵里香の励ましが必要だと思った。

だから愛は真和のバイト先へ行き、アザがあるので隠れながら、店が暇そうな時を見計らって(気遣って)電話しました。

真和を絵里香のところへ行かせようとして、絵里香が兄に殴られたことを喋ったのです。

絵里香のことを心配したのもあるが、絵里香の言葉によって、もう一度真和が書けるように突き動かしたかったのだと思います。

真和は絵里香の兄と向きあい、散歩へ連れ出して、不甲斐ない自分語りとともに共感しあえる関係性を持ち、絵里香の役に立とうとします。

そして、絵里香におねだりをするのです。

真和「もう一回言ってくれないかな。あなたなら書けるってやつ。」

絵里香「あなたなら書ける。絶対書ける。ていうか書け! 自分を信じてあなたが伝えたい物語を。」

絵里香という人物は言葉や表情に力強さがあり、
突然スイッチが入って本気の心を相手に放出するパワーと凄みがあります。

真和は絵里香に言われるとパブロフの犬のようにパソコンに向かって書けるのです。(笑)

さっそく飛んで帰って、次回の脚本と最終回までの流れも書いて、プロデューサーに頭を下げて渡します。

結果、また書けることになったのです。

真和にとって絵里香が特別に愛する人なら、

絵里香の言葉で脚本を書けたことを(稲葉愛抜きで)二人きりで伝えるはずです。

けれど真和はブックカフェで二人を並べて伝えたのです。

絵里香は脚本が書けるエネルギーの女神で大切な友達だけど、特別に愛する唯一の女性ではないのだと思います。

だいたい告白の時に二人を並べた場合、最初に名前を呼んで気持ちを伝える人は本命ではないです。

二人並べた場合、後から名前を呼んで気持ちを伝えた人が本命か、あるいは二人ともそうではないかのどちらかです。

真和にとって高校時代というのは夢を誓った時であり、初恋の時でもあり、人生の分岐点です。

このドラマで真和に恋があるなら相手は稲葉愛か、あるいは二人とも友達なのか、どちらかだと思います。

真和は夢を追う立場なのでこれからが正念場だし、稲葉愛の一番の願いは息子と暮らすことです。

母親に捨てられた真和と、息子を捨てた愛。

この設定がどう重なるのか、ねじれていくのか?

✨♥️✨♥️✨♥️✨


恋なんてしないと決めていた絵里香が、本気で恋に落ちてしまった。

視聴者としてはその恋が叶えばいいと思う気持ちもあるけど、
初めて本気で人を愛することができただけで
絵里香の何らかの尊い心のページが開かれたのだと思います。
それだけで素晴らしいです。

♥️✨♥️✨♥️✨♥️

7話のとびきり素敵な物語は、多聞(本郷奏多)と栞(成海璃子)の恋の成就です。

栞は父親の介護で長野へ帰らなければならないので、将来的にどうなるかはわからないけど、
現実じゃあるまいし、
結婚しました、めでたしめでたしばかりが恋の成就ではないので、
今この時この瞬間、栞が夜行バスを止めて降りて走ってきて多聞の胸に飛び込む素敵なシーンが切り取られて心が潤いました。

多聞「好きな人が相手じゃないと意味ないって真和が言ってたけど、その通りだった。好きな人
できるかな。富田さん以上に。」

多聞の素直な気持ちを聞いて、いったんはバスに乗る栞だけど、バスを止めて降りて走ってくるのです。


成海璃子の表情が切なくて豊かです。

多聞は好きな人と初めて結ばれて、栞と裸で並んで寝ながら嬉しさと高揚で溢れていました。

この後、多聞が長野へ追いかけていこうが、
別れてしまったとしても、それはそれで素敵な恋の成就だと思います。

✨✨✨

そして多聞が夜行バスで帰る栞のところへ駆けつけたのは、またあのエネルギー溢れる絵里香の言葉があったからです(笑)

俺たち付き合おうかと軽口を叩く多聞に、

絵里香「あんたに飲ませるコーヒーは無い! こんなところでくだらないこと言ってないで、早く栞さんのこと追いかけたら! あんたのこと真剣に好きになってくれた人が11年いた東京を一人で離れようとしてんのよ今!」

この言葉に突き動かされて多聞は追いかけるのです。

絵里香の言葉の魔力よ!

✨♥️✨♥️✨♥️✨

そしてこのお騒がせカップル

雄馬(前田公輝)と奈美(深川麻衣)


このドラマの手法なのですが、
二人が同時にそれぞれの交際相手(奈美は親がすすめた見合い相手、雄馬は結婚相談所で知り合った女性)に結婚を申し込まれた後、
「ごめんなさい」と謝り、

雄馬と奈美を画面上同時に並べて、雄馬の奈美への想い、奈美の雄馬への想いを熱く語るのです。

もはや完全なる当て馬である相手の顔はほぼ映さないし、こんな偶然あるかというのはこのドラマ上ありすぎるので、そんなことは気にせず、
ただただ雄馬と奈美の恋心を並列に見せられます。

すぐ会いに行かず、自分の成長を誓うところは良かったです。

雄馬の祖母(丘みつ子)が倒れてしまい、動揺する雄馬なのですが、
祖母を都合の良い駒として働かせるのはちょっとな、と思わざるを得ません。

やり直すなら奈美と雄馬、二人の気持ちと行動で恋の成就へと向かって欲しかったです。
さてどうなるか?

♥️✨♥️♥️✨♥️

奈美が三人の共通点を発見します。

友達がいないこと(笑)

友達が登場しないのは群像劇が必要以上にとっ散らかるからと思っていましたが、
友達はいなかったのです。

真和たち男性三人も稲葉愛もずっと付き合いが続いていたわけじゃなかったし、みんな孤独だったことがわかります。

不器用なのは恋愛に対してだけじゃなく、友情に対してもそうだったことがわかり、
孤独にひっそりと生きている人たちの物語だと改めて思います。

このドラマ好きです。

✨♥️✨♥️✨♥️✨


読んでくださり、ありがとうございました。

次回もまた楽しみに見て感想を書きたいと思います。

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