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『マスクは無意味』かもしれないが『網目がデカイから』という理由は違う。

先日、note内の記事で『マスクの網目が大きいから、それよりも明らかに小さいウイルスは濾過出来ない(と思っていた)』というような内容を見ました。

その記事を書いた人はコロナ騒動でそれなりに影響力の大きな方だと思っていますが、案外そのような認識の方も多いのかもしれません。

ということで、今回の記事では『マスクはウイルス程度の粒子を99%濾過出来る』(ただし、マスク着用に効果があるかは別)ということについて書いておきたいと思います。

これまでの私の記事の内容を細かく説明したようなものですので、既にご存知のかたは適当に読み飛ばしていただければと思います。


◆マスクイメージの誤解

マスクの無意味性について『サッカーゴールの網にピンポン玉を投げるようなもん』という例えを見たことがあります。

これは誤りで『網はもっと太く』『網は三次元的な厚みを持つ』という認識が必要です。

マスク繊維のイメージは以下が参考になります。
(不織布と他では倍率が異なるので注意)

マスクの流体力学(p.26) - 豊橋技術科学大学 [2022.05.18 引用]
https://www.hpci-office.jp/invite2/documents2/ws_cae_210312_iida.pdf

不織布の画像は黒い部分が貫通してるように見えますが、これは撮影条件によるもので、実際はもっと厚みがあり繊維で遮られていると推測します。

だとしても、ウイルスは上記の画像で1ドット未満でしょうからスカスカなのは間違いないです。
スカスカだとしても濾過できる理由について次に見ていきましょう。


◆粒子挙動の誤解

微粒子はピンポン玉のように真っすぐに飛んでいきません。
その挙動は自分たちが知っているような物理的な動きとは異なります。

ウイルスのようにナノレベルであれば正確に観測されているとは言えないのが実際のところかと思います。

マスクが粒子を捕捉する仕組みについては、以下のようなものが考えられています。

マスクの流体力学(p.25) - 豊橋技術科学大学 [2022.05.18 引用]
https://www.hpci-office.jp/invite2/documents2/ws_cae_210312_iida.pdf

なお、上記は理論ですが、実際のマスクの濾過性能については試験がされています。次にそのあたりを。


◆マスクフィルター性能(PFEについて)

私たちが普通に使うマスクの性能指標として『PFE』があります。
普通に売っている多くのマスクは『PFE99%』の条件をクリアしており、フィルター性能としては十分です。

以下、PFEについて試験機関である『カケン』のサイトから引用し説明します。

微小粒子捕集効率(PFE)試験(JIS T 9001・ ASTM F 2299)

概要
 マスクなどのフィルタ材が、微小な試験粒子を捕集(ろ過)する性能を試験します。従来から花粉粒子や細菌の捕集(ろ過)効率試験はありましたが、それらより小さい粒子に対応しているのが特徴です。英語では「Particle Filtration Efficiency (PFE)」と呼ばれます。

(中略)

補足
 ASTM F 2100「医療用フェイスマスクに使用される材料の性能仕様」に0.1μm 粒径の試験粒子を使用した場合の性能区分が記載されていることから、当センターでは通常、粒径0.1μm のポリスチレンラテックス粒子を試験粒子として使用しています。

微小粒子捕集効率(PFE)試験(JIS T 9001・ ASTM F 2299) | 一般財団法人カケンテストセンター
[2022.05.18 引用]
https://www.kaken.or.jp/test/search/detail/98

『PFE99%』のフィルターであれば、理論上、新型コロナウイルスと同等の『粒径0.1μm(100nm)』の粒子を99%濾過するということです。


◆しかし、マスクは隙間が出来る

これまで見た『99%濾過する』が正しいとしても、それは隙間無しで着用できている場合が前提であり、不可能です。

私が試した限りにおいて、そこそこ良いマスク(フィッティ7daysEX)でも50%程度は空気(呼気)がそのまま通過します。鼻脇とか頬から。
(以下の記事参考)

『マスク意味無し』についてよくデンマークのRCTが根拠にされますが、そこで使われたマスクはいわゆる『サージカルマスク』とされています。

サージカルマスクは規格(ASTM F 2100)に準拠されたものが該当しますが、それは特別なものではありません。

RCTで使われたのは、おそらく普通の四角形のマスクだと思いますが、非常に隙間が生じやすいです。これは推測するしかないですが、そのようなマスクであれば注意して装着しても70%程度は濾過できていないでしょう。

RCTによる『マスク意味無し』という結果は、そこで使われたマスク(隙間)を前提にしたものでしかありません。


◆おわりに

ということで『マスク意味無し』に関しては網目のサイズではなく『マスクの隙間』が1番の問題だと思っています。(他にもあると思いますが。)

つまり、呼吸の7割程度を濾過せずに吸っているのだとしたら、エアロゾル感染に関しては無力です。飛沫には効果があるかもしれませんが、感染の主経路はエアロゾルだと言われています。

『極力隙間なく着用可能で、それでも息がしやすいマスク』というものはあるので、それを使った場合どうなるのかというのは気になるところです。
(私はそれを試しています。)

なお、それをしたところで無意味、という可能性は捨てていません。
有力な情報をお持ちの方は、コメント欄にて教えていただけるとありがたいです。

◇◇◇

仮にマスクに効果があるとしても『全員が常にマスクを着用するのが奨励される』というのは異常だと思います。
とりあえず今の『屋外ノーマスク』の流れは定着してくれるといいですねー。

ちなみに、子供のマスク着用はリスクのほうが上回るでしょう。
子供に限らず多数の情報からそのように考えている人もノーマスクで良いと思っています。
どうせ熱中症以外のリスクが正式に評価されることなんて、当面期待できないでしょうからね。


[2022.07.18 追記]

私の今回の記事と時期も内容も同じようなものですが、専門家の方の記事を見つけましたのでリンクを載せておきます。
こちらのほうが説得力があるかもしれません。よろしければどうぞ。

なお、記事中で『N95やDS2マスクは、… 正しく着用できていると苦しいので、長時間の装着には向きません。』とありますが、息がしやすいN95などの高性能マスクはあります。蒸れますけどね。

興味のある方は以下をどうぞ。


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