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マスクからのPFAS摂取リスクについて

どうもこんにちは。
マスクオタクです。

最近ツイッターことXでマスクからのPFASについて注意喚起されているのを見ましたので、元ネタの論文を確認してみました。

該当論文のレビュー記事を引用し所感を記したいと思います。


◆論文引用

対象の論文から要旨のみ引用します。あとのレビュー記事でざっくり説明されてるので飛ばしてOK。リンクは以下。

フェイスマスク中のパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS): 埋立地への廃棄が示唆するPFASへの人体暴露の可能性

Publication Date:March 30, 2022
https://doi.org/10.1021/acs.estlett.2c00019
Copyright © 2022 American Chemical Society

概要
フェイスマスクは、Covid-19およびその変種を含む疾病の蔓延と闘うための重要な道具であり、その一部は過フッ素およびポリフッ素アルキル物質(PFAS)で処理されている可能性がある。様々な価格の9種類のフェイスマスクについて、総フッ素とPFASの分析を行った。その後、マスクのPFAS組成を用いて、暴露量と埋立浸出水中に排出されたPFASの質量を推定した。PFAS由来のフッ素は、総フッ素のごく一部であった。直鎖パーフルオロアルキルカルボン酸塩と6:2フルオロテトラマーアルコールの同族系列は、フルオロテトラマー由来であることを示した。暴露経路は吸入が最も多く(40%-50%)、次いで偶発的摂取(15%-40%)、経皮(11%-20%)と推定された。曝露量とリスクの推定値は成人よりも小児の方が高く、運動量が多いと吸入曝露量が大幅に増加した。これらの予備的知見は、高濃度のPFASで処理されたマスクを長時間着用することが、顕著な曝露源となり、健康リスクをもたらす可能性があることを示している。年間約290億~910億枚のマスクの廃棄をモデル化し、個々のPFASが埋立浸出水に100%溶出すると仮定したにもかかわらず、マスクの廃棄は年間PFAS質量負荷のわずか6%しか寄与せず、米国の廃水に排出されるPFASは11kg未満である。

Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) in Facemasks_ Potential Source of Human Exposure to PFAS with Implications for Disposal to Landfills _ Environmental Science & Technology Letters.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.04.23 引用]
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.2c00019

◆レビュー記事引用

論文が解説された記事から一部引用します。リンクは以下。

PFASがマスクに入っている。心配すべきでしょうか?

By E.A. Crunden | 04/20/2022 01:13 PM EDT
E&E News by POLITICO

ノートルダム大学の物理学と生化学の教授で、PFASの研究に長年携わってきたグラハム・ピースリー氏は、「決定的な証拠は見つかりませんでした」と言う。

この研究の著者であるピースリー氏は、その意味では安心できる結果だと述べた。しかしピーズリー氏は、このテストは疑問を投げかけるものだとも語った。

ピースリー氏は、「非常に小規模な研究」であり、結果を正しく理解するためには大規模な調査を行う必要があるものの、マスクにPFASが一貫して含まれていることは注目に値すると述べた。これらのマスクは定期的に着用され、その後廃棄処分される。

研究者たちは質量分析法を用いて、9種類のフェイスマスクのPFASを検査した。テストされたのは、6種類の再利用可能な布製マスク、外科用マスク、N95マスク、消防士用の耐熱マスクなどである。

研究者たちは、慢性的な暴露に基づく健康上の問題を判断するための動物実験をもとに、ほとんどのマスクが安全と考えられる量を超えないことを発見した。ただし、消防士用のマスクは例外で、10時間着用しただけで 基準値を超えてしまった。

「マスクからの暴露は、飲料水など他の経路に比べればわずかです」と、カリニャンはパンデミック時のマスク着用の重要性を強調した。

PFAS are in face masks. Should you be concerned_ - E&E News by POLITICO.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.04.23 引用]
https://www.eenews.net/articles/pfas-are-in-face-masks-should-you-be-concerned/

◆所感

9種類のマスクとその結果が以下。

表中のマスクの種類については以下で良いかと思います。

・SUD:サージカルマスク
・N95:N95マスク
・RC:布マスク
・FF:消防士用マスク

リスクとしては以下のような感じか。

FF>RC>SUD>N95

FFは一般用途ではないので無視するとして、布マスクのリスクが結構高そう。ただ、レビュー記事では『ほとんどのマスクが安全と考えられる量を超えないことを発見した。』としています。

細かい部分で言えば布マスクの外層(outer)の数値が高い。一般的に撥水加工がされている布はフッ素系のコーティングがされてると思いますので、その影響か。マスクに限ったことでもなさそう。

とりあえず強く懸念されるほどではないようですが、気にする人は布マスクは注意したほうがよさそう。

◇◇◇

ちなみに、SUD,N95からは揮発性のPFASが検出されておらず不揮発性のものが微量みたいですが、それがどのような形態で存在したのかは不明。(ガスクロマトグラフィーでの検出なので。たぶん。)

たとえば、フィルター繊維の樹脂素材そのものに含まれていたのだとするとマスクを着けていて吸引する可能性は低い。また、粒子状の物質がマスクに付着していた場合、大きさや付着部位により吸引のリスクは変わる。

リスク評価は検出したPFASを吸うことを前提にしているっぽいが、厳密に考えるなら色々と雑な印象。

◇◇◇

まあ、『そもそもマスクを着けなければノーリスクじゃん』という可能性はある。ただ、個人的には空気自体にリスクがあると思うんですよね。
(PFASをそこまで気にするのであれば。)

今回の結果を見る限り布製品全般がちょっと怪しくなってくるわけで、そこから分離した繊維等が空気中のMP(マイクロプラスチック)の多くを占めている可能性はある。揮発したPFASも存在するだろうし(ゼロではないという意味で)。

であれば『マスクを着けたほうがPFASの摂取量は少ない』という可能性もあるが、今回の研究ではそのような比較は無し。厳密にはマスクを着けないほうが健康リスクが低いかどうかは不明です。


◆おわりに

PFASによる健康被害は比較的新しい懸念事項だと思いますので基準値が後々変わるかもしれませんが、とりあえずの結論としては『布マスクは注意かも』くらいで良いのではないでしょうかね。

私としては『マスクはノーリスクではない』という考えなので有害物質の影響は気になるところですが、通常環境との比較(ベネフィット評価)は重要でしょう。そのような研究を期待したいところ。

マスクはTPOで有効活用したいものですね。

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