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『口元が楽なマスク』は要注意?

私は結構マスクについて調べているのですが、リスクは気になるものです。特に気になるのが以下のふたつです。

・表情が見えない
・呼気の再吸引

表情についてはどうしようもないのでTPOで外すことを考えますが、『呼気の再吸引』については気になるところ。

個人的には健康被害を自覚してはいないものの、マスクの種類や着け方によっては意識する必要があることだと思っています。

今回の記事ではそのあたりを。


◆死腔について

『死腔』をご存知でしょうか?
以下、コトバンクから引用します。

死腔(読み)シクウ

デジタル大辞泉「死腔」の解説

鼻腔から肺胞までの呼吸器系のうち、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出(ガス交換)が行われない領域。肺胞が存在せずガス交換が行われない領域(解剖学的死腔)と肺胞のうち、血流が途絶えてガス交換が行われていない部位(肺胞死腔)に分類され、これらを合わせて生理学的死腔という。デッドスペース。

世界大百科事典内の死腔の言及

[肺胞におけるガス交換]
 肺でのガス交換には肺胞換気が重要である。しかし呼吸系のうち肺胞までの空気の通過経路となる部分,すなわち口腔,鼻腔,咽喉頭腔,気管,気管支などはガス交換に関与しないので,これらの諸部分の空間容積(約150ml)を死腔または解剖学的死腔という。ところが種々の原因で一部の肺胞が機能的にガス交換に関与しないような場合,これも一種の死腔と考えられるので,この死腔を前記の解剖学的死腔に加えたものを機能的死腔(または生理学的死腔)といっている。

死腔とは - コトバンク
[2022.11.25 引用]
https://kotobank.jp/word/%E6%AD%BB%E8%85%94-1329806

◆マスク着用による死腔の増加

ヒトは鼻の穴から肺胞まで『死腔(デッドスペース)』があります。

その容量は引用部によると150ml程度とされていますが、マスク着用によりその容量が増加します。

タイトルを『口元が楽なマスクは要注意?』としたのは、マスク着用による『死腔』を比較的多く増やすことにつながるためです。

口元が楽なマスクは、口や肌がマスクに触れないように空間を多く取るような構造にしています。

喋りやすかったり、なんとなく息がしやすかったり、使ってみると良さそうな部分はあると思いますが、多少注意したほうがいいかもしれません。


◆死腔増加の影響

死腔が増加することでどのような影響が出るのか?

単純に二酸化炭素(CO2)の再吸引による健康被害が想像できるので、論文を確認してみました。以下に引用します。

Ann Am Thorac Soc. 2021 Mar; 18(3): 399-407.
doi: 10.1513/AnnalsATS.202008-990CME
PMCID: PMC7919154
PMID: 33196294

フェイスマスクと健康・疾病における身体活動への心肺反応について

動脈血ガス
マスクをしていない通常の状態では、吸入された新鮮な空気は解剖学的死腔に含まれる呼気と混合し、ガス交換が行われる肺胞に達する前に加温・加湿され、O2分圧を下げ、CO2分圧を上昇させます。

フェイスマスクのもう一つの潜在的な問題は、部分的にO2が枯渇しCO2に富んでいる以前に吐いた潮量の一部(すなわち、デッドスペースの増加)を吸引することである。

一般に海抜高度では、吸入酸素濃度の低下とそれに伴う PaO2 の低下は、PaO2 が 60mm Hg 未満になるまで末梢の化学受容器を介して換気の増加を刺激しない (25); この程度の低酸素血症はフェイスマスクでは期待できない(下記を参照)。ある程度の高炭酸状態であれば、低酸素刺激の閾値はより高い PaO2 へと移動する。それでも、フェイスマスクで呼吸しているときに換気量を増加させる原動力となるのは、CO2の再吸収である。正常酸素濃度下では、PaCO2 が 1mm Hg 上昇するだけでも換気が促進される (26)。重要なことは、運動によって代謝率が上昇すると CO2 と O2 に対する換気応答性が高まるため、換気の変化は労作によって大きくなることです (27, 28)。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7919154/#
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2022.11.25 引用]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7919154/

◆まとめと所感

『死腔の増加によりCO2の吸引量は増えるが、それがトリガーとなり、呼吸量や頻度が増える。結果的に大きな影響は無い。』と読めます。(ホントですかね。)

また、長くなるので引用はしませんが、マスク着用による皮膚温度の上昇も呼吸量や頻度に影響を与えているようです。

私は今まで初めて使うマスク(N95とかガチのやつ)の着用時には血中酸素濃度SpO2を測定してきましたが、ほとんど変化なしでした。誤差レベルです。

マスク着用時は無意識に呼吸が変化してるんですかね。


◆おわりに

なんとなく問題なさそうな感じではありますが、こういったことは個人差もありますし注意したほうがいいでしょう。

特に本気の感染対策としてN95等を使っている方は、意識したほうが良い事かと思います。

具体的には『頭痛』『集中力の低下』あたりは、わかりやすい影響として出ると思います。

そのような方は出来るだけ息のしやすいマスクに変えるか、マスク着用自体を見直してみるのも良いかもしれません。

正直、一般人が感染対策をするなら布マスクのほうが良いんじゃないかとか考えてますが、そのあたりはまたの機会に。

ではでは皆さま、マスク着用にはお気をつけて!

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