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終止符は君が打った.



・・・安寧、将来、当たり前・・・

彼女と付き合って一年半、
別に好きだけどワザワザ言葉にはしない
そういうのは散々言ってきたし
多分言わなくても伝わってる。
そう思ってた。

大抵のデートスポットなら行ったし
特に行くところもないし
彼女も何も言ってこないから
二人で出かける頻度も減った。

それでも俺は彼女のことを愛していたし、
彼女以外との未来は想像していなかった。

なんだかんだ世の恋人達なんて
こんなもんだろう…
いつか君と結婚して
幸せな家庭なんか作ったりして…


・・・悪癖、最後の電話・・・

今日は些細な事から大喧嘩になった
そんなに言わなくたって良いのに…
俺も悪かったけど、
そっちだって悪かったのに。
まぁでも、いつも通りお互いに謝って
仲直りできるだろう。

君の好きな花を買った。
初めての花屋はなんだか緊張してしまったけど
君の好きなカスミソウを入れた綺麗な花束。
機嫌取りだと思われるかもしれないけど、
ちゃんと謝ろう。
最近言えてなかった、
「ありがとう」や「好き」も伝えよう。

---

家に帰ると、
俯きながら携帯を見る君。
なぜだろう、今日はいつもとは違う感じ

声をかけても返事はない。

君は
渡した花束を突き返し、
飛び出してしまった。


---


数時間後、
電話越しに俺は別れを告げられた。






・・・当たり前の崩れる音・・・

でも、なんで?
いつからそんなこと考えてたんだろう?

過去に一度だけ別れそうになった時は平気だった、

「 多分今回も。」

なんて思った俺が馬鹿だった。

今更だけど俺は、
喧嘩の度に言われる事を直そうと努力してた。
喧嘩の度に
君を悲しませてしまった事を反省していた。

数年後も君と居られるように、
なんて言ったって全部が水の泡
言葉にしなかった「好き」も、
直らない悪癖もなにもかも
君の気持ちに何も気付けてなかった。

一緒にいた時間が走馬灯のように頭を巡る
別れの言葉を君の口から言わせるなんて最低だ。
本当に、最低だ。



・・・ひとりのあとがき・・・

何度も、何度も思い返しても
自分の鈍感さが嫌になる。
いや、
気付かないふりをしていただけなのかもしれない。

家までの帰り道、部屋の中、二人で行った場所
俺の生活の真ん中に君がいた。

君の優しさに甘えて、
勝手に二人の幸せな未来を妄想して
君の思ってることとか、したい事
何も考えられていなかった。

あまつさえは喧嘩の度に
言い過ぎて傷付けた。

もう戻らない時間に思い耽って
寂しさと、君のいなくなった隣を
埋めるために中身のない恋人ごっこをする。
チラつくのは君の声、表情、温度。

何をしても思い返すのは君だけで
俺だけがあの日々に終止符を打てずにいる
二人の話はページをめくっても白紙のまま、

思い出が行間にならないように
俺は一人想いを綴る。


period。/ Lym

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