(五十)芭蕉の句「荒海や佐渡に横たう天の河」に下の句をつける

有名な芭蕉の句「荒海や佐渡に横たう天の河」は以前説明したように杜甫の句:
星垂平野闊  星が低く輝き平野は広い
月湧大江流  月が登り揚子江の水は流れる

に着想を借りて来て作った句である。作った場所は新潟県出雲崎町であり、ここから、大体北西45kmの位置にあるのが佐渡島である。この句は秋の夜に作ったのであるから、佐渡島が見えるはずもない。
荒海と天の河を対比させた雄大な景色を詠んだのであるが、実景を詠んだものではなく、想像で作った句なのである。
 当方としては、下の句は実景を詠んだ方が良いであろうと考える。虚景は雄大な景色であるので、実景は卑近な風景を取り合わせてみよう。さて、ここまで来て次の下の句を得た。上の句と共に書き出す。
  荒海や佐渡に横たう天の河
    里の火暗く酒盛りの声


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