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引っ越し前日

赤羽徘徊

とうとう東京を出る日が迫ってきた。本当はいろいろ散策して、最後は銭湯で締めようと思っていたけど、こんなに雨が続いたらちょっと無理。でも、最後の用事を済ませるため、朝から懐かしき赤羽に行った。

最後の用事って言っても、そんなたいそうなものではなくて、前にも書いたハゲの薬をもらいに行くだけです。引っ越して、新しい皮膚科を探すとなると、また先生の問診を受けて、アタマ見られてというしゃあないとはいえ、屈辱的な儀式をしなければいけないので、このかかりつけで思い切って3カ月分をもらうことにした。

ずいぶんひどい雨だったこともあり、病院はとてもすいていた。薬をもらって例によって、前に住んでいたマンションに向かう。住んでいたときに「開店準備」と称してあれだけひどい騒音の工事をしていたのに、今日見てもやっぱり1階は何もオープンしていなかった。何だったんだろう。

ララガーデンを歩いてみる。昼飯をどこで食べるか悩みたくて。鰺家さんも捨てがたかったけど、まずは商店街突入。BAMバーグもよく行ったなと思いながら前を過ぎ、ダイエーが閉鎖して工事していることに驚き、次男が習っていた公文の前を通って、引っ越し直前にできそうで気がかりだった豚丼屋は残念ながらつぶれていた。

商店街を戻って、今度は駅へ向かう。駅下の中華屋も小学校のテスト終わった後に食べたなとか、高架下のケンタッキーは秋ごろに次男と2人で下見に来たときに遅い昼食を食べたなとか、いろいろ思い出しているとしんみり。結局、昼は駅下のパスタ店「DONA」に入った。ここも妻とランチによく行ったなと。日課の1万歩散歩をするためによく歩いたな。定番のミートソースを頼む。サラダとスープが出ているのに、フォークも水も出してこない新人っぽいバイト店員。パスタを持ってきた女性店員が、食器が何も届いていなかったことに驚いて詫びてきたが、いいよいいよ。前なら「どうやって食べろと言うのや」と切れていただろうけど、今日は許します。

おいしくいただき、また前に行き着けていたパン屋で、夜のパンと明日の朝のパン、おやつの生チョコを買って戻ってきた。ずっと雨。足もびしょ濡れ。それでも一回荷物を置いて、wifiのルーターをコンビニで返送し、外出の用事は全部済ませた。あとは早めに風呂に入って、最後の荷物を詰めるだけ。

退路

以前の記事を読み直してみると、当時の上司から「大阪に戻りたいか」と問われ、「戻るくらいなら東京に来ていない」というくだりがあった。その上で、よほどのことがない限り、戻ることはないだろうとも。でも、戻ることになった。よほどのこと。うーん。いろいろ考えるけど、仕事的にも自分がというより、組織としてはその頃、想定もしていなかったよほどのことは起こっている。この人事は巡り巡っての玉突きであるとも言える。そして、自分は仕事もそうだけど、子どもたちのことをちゃんとそばでやっぱり見ていたいという思いがもう抑えきれなくなっていて、そんな気持ちでこっちで仕事しながら、月2、3回、2、3日ずつ戻るだけの生活は、たぶん精神的にもう持たないだろうなとは予想がつく。だから、せっかくの申し出と受けることにしたのだ。

でも、まあ、一度はここでやっていく、と決めた地から去る直前は、いろいろ気持ちも揺れる。仕事の中身もだいぶ変わるし。それが向いているかどうかは分からないけど、今までの仕事はかなり好きでやってきたことだから。誰だって好きな仕事ばかりできるわけではないし、次の仕事がひょっとしたら新たな発見で好きになれるかもしれないから、今の時点では何とも言えない。なんだかんだ言っても、そういう新しいことにまた取り組めて、家族ともまた一緒にいられるようになった、というのは、きっと幸せなことなのだろうなと思う。

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