最強のフリーシンセ Vitalを使ってみる

ごきげんよう、LLSY music ch レーシーです。

DTMって何かとお金がかかりますよね。

特にプラグインやソフト音源は物理的なスペースを取らないので、ある時自分の持ってるソフト資産の計算してみたらとんでもない値段に、、とか

諸先輩方にどんな音源を使っていますか?って聴いて回ってリストアップしたら、到底買いきれないよ!って値段になっちゃったり、、

フリーで使えるものをと探してみたら、これまたたくさん出てきてどれを使ってみればいいか分からなかったり、、
そんな中、DTM先輩方に「おすすめのフリーソフトシンセありますか!?」ときいて8割位の確率で返ってくるのがVital audio - Vitalです。

Vitalはウェーブテーブルという複数の波形をひとまとめにしたwavファイルをオシレーターとして使うPCMシンセです。

音を生成するオシレーターは3つ+1つのサンプラーエンジン、時間変化をつけるEG(エンベロープ・ジェネレーター)は6つ、パラメータを周期的に変化させるLFOは7つ、フィルターは2つ搭載されています。
更には他のモジュレーターも色々あるのですが、とにかく機能が多くてなかなか難しいという方や、シンセはプリセットを選ぶものという方も多いようです。

簡単なデモとプリセットから、具体的にどういうふうに音を作っていくのかを紹介してみたいと思います。

前提としてフリーバージョンのVital、それから追加ウェーブテーブルとして
SNFK Vital Essential 2
SNFK Vital Essential 3
SNFK Vital Essential 4
BLA - Designer Wavetables Vol.1
を追加しています。
ウェーブテーブルはwavファイルなので、SerumやPigmentsなど他のシンセからも簡単に持ってこれるのですが、今回は無料で手に入る物に限定して制作しています。

まずこちらのデモ曲

※リンク切れの場合はご連絡ください

ドラムだけ別の音源使っていますが、それ以外はVitalのみで作ってみました。
9トラックだけのシンプルで簡単なものです。
曲的なクオリティにはあまり言及しないでください、、

今回作ったプリセット等はこちら

まず印象的なコードのSuper Sawサウンド
まずVitalを立ち上げたらデフォルトで鳴っているSaw波をそのまま使います。

すーぱーシンプル

波形の右側にあるUnisonというところを8まで上げると、同じ波形が8つ生成されて少しずつずれて鳴ることでコーラスエフェクターを掛けたような音になるのがわかります。
これがSaw波を重ねたSuper Sawと呼ばれる音で、現代のEDMやベースミュージックには欠かせないものです。
右側の%はどのくらいずらすかを表すもので、デフォルトだと少し広すぎる気がしたので2%程度に抑えてまとまりを出します。
Vitalデフォルトで搭載するSaw波は倍音整ったいかにもデジタル波形で、アナログのオシレータ(VCO)でデチューンさせるときより粒の揃ったきれいな音になります。
ただこれだと単体で使うには音に厚みが足りない気がするので、他のオシレーターを使って音を足していきます。

低音を足して厚みを出したいけれど、あまりトゲトゲしい音だと折角のきれいなS.Sawを邪魔してしまいそうだったので、1オクターブ下にサイン波系の音をたそうと思います。

ちょっと歪なSin波を変調して更に歪に

まず波形の左側にあるPitchを-12にして1オクターブ下にしましょう。
純粋なサイン波だと混ざりが悪かったので、Vital Sine 2という波形を使ってみます。
Unisonを4音、3%にして控えめに広げたら、今回は波形の変調を試してみます。
波形の右側に2つあるつまみはオシレーターの変調のためのもので、何か別の要素でもって波形を変形させていくことができます。
少し込み入った話になってしまいますが、普通波形を変調するというのは元になる波を別の波に乗せることで行うので元の波形より周波数が高く(音が高く)なります。
なので高くなりすぎた音をどうしていくかというのは各シンセでアプローチ分かれるところなのですが、Vitalには変調ノブにマイナス方向というのがあります。
実際にVCO等で波形を生成しているわけじゃなく、デジタルで計算してやっているからこそできる技なのかもしれません。

少し音にエッジが欲しかったので3つ目のオシレーターでGrouchyという波形を追加しています。

ぎざぎざ感

そのまま足すだけだと少し浮いてしまう感じがあったのでオシレーター2からFM変調をしています。

フィルターはアナログの4ポール(24db/Oct)

左のMod Wheelからフィルターの下にある横のバーにドラッグしてくることで、MIDIキーボードのモジュレーションホイールを回すとフィルターが動くようになっています。フィルターの右にある縦方向のバーがレゾナンスなのですが、ここにもモジュレーションホイールを割り当てて「フィルターを開いていくとレゾナンスが小さくなって、閉じると大きくなっていく」動きを作っています。
これでフィルターを閉じていくときのレゾナンスが動いていく感しっかり出しながら、フィルターが開いていったときの高音の出過ぎを防いでいます。

EGの1番はアンプに割り当てられているので、音の立ち上がりや減衰をここでコントロールします。

ほんのすこしだけアタックを遅らせて音の立ち上がりをスムーズに

サスティンを少し詰めて、リリースを伸ばすことで音がぶつ切りにならず、Kawaii Future bass感のあるふわっとした感じに近づきます。今回はフィルターエンベロープは控えめに、モジュレーションホイールでフィルターを動かしていくようにしたのでどちらかというと攻撃的な音色になっています。

さらにエフェクトではマルチバンドコンプを強くかけ、EQで音を整えています。

漢ならハードにマルチバンドコンプ

コードを鳴らした時そこにあるのはもはや音の壁です。

デモではモジュレーションホイールのオートメーションを書いて時間変化をつけています。

フィルターの開閉をモジュレーションホイールで行うことで、演奏しながらの操作性もよくなる。


デモの中でも印象的なリードサウンド


可愛さとパワーを同時に感じるサウンドはプリセットのLLSY cute lead使っています。

オシレーター1はベーシックな三角波ですが、Quantizeという回せば回すほどパルス波に近づいていく変調を使いました。少しだけ掛けることでビットクラッシャーを掛けたような荒々しさが出ます。オシレーター2はベーシックなパルス波。この2つだとチップチューン!な感じの音になるのですが、↑のQuantizeと3つ目に2オクターブ下に追加したビットレートの低そうな波形の組み合わせで少し汚らしい音になっています。

EGの2番を、、
カットオフにアサイン!

フィルターエンベロープはディケイのみのコントロールで、少しずつフィルターが閉まっていく動きを出すことで音色のリリースをコントロールしています。

アンプエンベロープは少しだけリリース伸ばして、雑に弾いても音が途切れにくくそれっぽくなるようにしています。


ベースはプリセットのLLSY Dirty long bass



オシレーターはSaw波に近いエッジのたった音に、Low High Foldというウェーブテーブルを重ねています。


このテーブルは動かすとSyncしたような音の上がり方をするのでEGを使って音を伸ばしていると少しずつ高くなるような動きを出しています。

高音はフィルターで削りますが、LFOを使ってBPMに合わせてゆっくり動くようにしてあり、先程のウェーブテーブルの動きと合わせてうねるような音になるようしてあります。

アンプエンベロープはアタックを少し潰したくらいであとはサスティン全開。鍵盤を押しっぱなしにすれば減衰なしで音が鳴り続けます。
エフェクトは漢のマルチバンドコンプ1発。
バチバチに潰して太くうねるベースで低域を塗りつぶします。

唸るうなるワブルベース

折角ウェーブテーブルシンセを使うならワブルベースも欲しいだろうと思い一つ入れてみました。
ダブステップ以降のベースミュージックには欠かせない音色ですが、扱いが難しい音色でもあります。
ワブルベースはウェーブテーブルの読み出し位置やフィルターのオンオフをLFO等で制御することで作ります。

今回選んだテーブルはこの2つです。

LFOはシンプルな三角波のまま2つのテーブルの読み出し位置、そしてフィルターのMIXに割り当てています。
そしてLFOのレートをモジュレーションホイールに割り当てることで、モジュレーションホイールを動かしてLFOの速度を変えることができました。

モジュレーションホイールでの演奏は若干慣れが必要なので、今回はオートメーションを描きました。

ウワモノはきれいできたない音に

左の方でなっているベルがありますが、まずノイズが欲しかったのでホワイトノイズを使っています。

ノイズを使うとベル、プラック系サウンドの幅がぐっと広がる

柔らかいサウンドにしたかったのでvital sine2を選択し、アンプエンベロープでサスティンを最小、音の長さはディケイで調節してリリースを伸ばしています。

サスティンを0にしてディケイでアタック感、リリースで余韻を調整するのは定番の方法

今回はこれで気に入る音になったのでフィルターなどは使っていません。
エフェクトでコーラスをかけたりディレイをかけたりリバーブを掛けたりしています。

かなりはっきりしたかかり方をするvitalのエフェクト群。お気に入りのプラグインで音を作るのも手

最近は安価でも高品質なリバーブを搭載するアナログシンセなども増えているので、Vitalのリバーブの質には若干不満はあります。

LLSY Digital cheep PAD


あまりパッドっぽくないパッド音なんですが、100均くらいチープな音が欲しくて作りました。
Saw波っぽい波形をSaw波っぽい波形で変調して金属感のある音を出しています。

Saw波をSaw波で、、

そのままだと耳障りだったので、トランジェントがなくなるくらいだけアタックを遅らせて、フィルターをEGとLFOで動かしています。

厳重な2段構え

ちょっと薄めのコーラスを掛けたりしてお茶を濁しています。

ノイズ


ホワイトノイズを鳴らしているだけです。

細かくオン・オフしたり、フィルターでスイープさせるなら便利

サンプル貼付けとかよりこっちのほうが手っ取り早いこともあるので、状況によって使い分けましょう。

リードサウンドその2

イントロで鳴ってるきちゃないリードです。
昔作ったLLSY Mod chというプリセットをそのまま持ってきました。

変調もりもり

インハーモニック、Sync、タイムスキュー、Quantizeといったオシレーター変調機能をフルに使い、それらをLFOで動かすことで過激な音色変化を起こしています。

かなり派手に動かしています

白玉で伸ばしているだけでなかなか存在感のあるサウンドです。

以上簡単なサウンドデモと作り方でした。
ここまで見て少し触ってみた方ならこれまでのプリセットが、vitalのほんの浅瀬の部分しか使っていないことに気づいたでしょう。
ハードウェアでは絶対にたどり着けない創造性の極地、人気のFuture Bassなどのジャンルはこういった最先端の音作りとともに発展してきました。
必ずしも複雑な音を作らねばならない、、ということはありませんが、vitalは割りと出音に特徴のあるシンセです。
自分にとってこれぞ!というサウンドを作ってみてはいかがでしょうか。

LLSY music


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