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議員の皆さんが言う「他市の成功事例」ってなんだろう

議員の皆さんとお話ししていると、
よく話題に上るのが「他市の成功事例」。

それを学びに政務活動費をつかって、
日本全国ご観光、いや、ご視察をされています。
視察で学んできた説明、事例を、
よその市でもやってる、我が市でもやってよ、
導入してよ、できるでしょ、
とおっしゃりたいみたいです。

1月というと例年、
議員の皆さんは全国の自治体に視察に出かけられます。

3月定例会前に「他市の成功事例」を見て、
一般質問の材料にする方は一定数います。

確かに、
他市でできたことは、できないわけじゃないと思います。
私が気になるのは、2点。

まず1点目。
それができた理由、人・モノ・カネの資源がどうなのか、
それは地域によって違うから、
同じアプローチは無理で、
模倣はできたところで、
うまくいくかどうかはわからないということです。

うちの場合、違うアプローチができるかもしれないし、
もしかしてそうじゃなくてもいいかもしれない。
だから、
同じコトをやって!というのは、ちょっと無謀。

でも、知識として知る、
感じることは悪くはないと思います。

議員の皆様が公費で視察に行かれるのなら、
そこにどんなキーパーソンがいて、
どんな動きをそれぞれがしたのか、
それを見てきて欲しいなあと私個人は思います。


次の2点目。
なぜか「成功事例」だと思って、信じて、
鼻息荒く、「見本」だ「素晴らしい」と
私たちに押しつけてくる議員のこの姿勢です。

確かに、
その時点では注目されるべきものなのでしょう。
だから目についたわけで、
受け入れる方も、受け入れた時点で、
まぁまぁ特徴的のあるものなのかなぁという自覚もあるでしょう。

自治体で「成功事例」って何でしょう。
「成功」って?

人口が増えること?
経済が潤うこと?
経済が循環すること?
税収が増えること?
子どもが増えること?
癌の死亡率が減ること?
交通事故が減ること?
犯罪が減ること?
自然災害が減ること?

そして、5年後もそうなの?
10年後はどうなの?


あくまでも、ひとつの「事例」であって、
そういうアプローチもあるよ、
という1つの事例だっていうことです。

大切なのは、住んでいる人が、
関わっている人が、
これがよいと自分で決めたこと、
自分たちでやってみた、ということが
あえていうなら「成功」なんじゃないかと思います。

先日、ある元市長のお話を聞いてきました。
約20年前、行政改革を行ったこと、
それをやったのは「私」ではない、「市民」だ
とおっしゃっていました。
高齢者の皆さんが我慢してくださった等々、
市民の選択だとおっしゃっていました。

私もそう思うんです。
行政のやることって、
結局、地域の皆さんが決めたことであり、
だからこそ、
一人でも多くの皆さんが関わって決めた、
ということが重要だと思います。

選択する、関わる幸せって確かにあると思う。


他市でやってたからやってよと、
議員が市役所職員に言ってやってもらう?

そんなのは、
基礎自治体が取り組む、
課題解決のアプローチとして間違ってると思うんです。

できれは、議員の皆様には、
どうやったら我が市でできるのか考えて、
議員ならそのムーブメントを多くの人と協力して、
興してみようかとか、思っていただきたい。


基礎自治体の職員の皆様、もうすぐ3月定例会ですね。

1月に全国に散らばって行ってきた
議員各位の視察が終わり、
鼻息荒く一般質問の原稿を書いている、
議員の皆さんの姿を想像すると、
なんだか政治家像としてどうなのか、
さみしくなります。

ひと昔前、行ってもない視察旅行費を、
政務活動費として経費計上した議員が
次から次から白日の元にさらされて
いたことを思い出せば、
まだ実際に行っただけでもいいと思います。
視察自体を否定するものではありません。
地域経済を回すことも、大切だと思います。

ただ、
見てきたことを紹介するだけの一般質問には、
答弁を考えるだけ、本当に無駄な時間じゃないかと
思ったりするわけです。

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