不思議な嬉しさ!
僕が21歳のとき。
大学ボクシング部の代表5人の1人として、団体戦に出場した。
他の選手との兼ね合いで、僕はライト級でリングに上がった。
会場は援助してくれるOBや、応援の学生で賑わっていた。
173cmの僕はライト級では体が小さい。
相手は180cmくらいのサウスポー、いざ手を合わせるとコンバーテッド(右利き)だった。
力のあるリードに遮られ、中に入れない。
2R、ロープに詰められ連打を浴びた。
相手の左に力が無いので、倒れるまでは効かない。
僕は手を出したが、逃げられなかった。
アマチュアとは思えないほど殴られ、レフェリーに止められた。
息を切らしてリングを降りると、見知らぬ男子学生が僕の手を握るなり、
「ナイスファイト!ありがとう」
と涙を流した。
不思議な感覚だった。
僕は自分とチームのためだけに戦ったのに、まるで関係の無い学生が泣いている。
なんだろう。
プレイヤーとしてピアノを弾いたときも、この感覚はなかった。
試合でもそう。
人のため、仕事のために何かをして感謝されることは、とても嬉しい。
けれど自分のために何かをしたにも関わらず、感謝されると不思議な嬉しさがある!
もう一度味わってみたい。
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