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人生で初めて金縛りになった

ついさっき人生初めての金縛りにあった。びっくりした。

夜、就寝するために暗い寝室でベッドに横になっていた。眠気を感じてまぶたが落ちてくるままに目を閉じた。
目を閉じてから、「あれ?明日の朝のアラームはかけたんだっけ?」と思い、スマホをチェックしようとしたそのときだ。

体が動かない。
本当に一切動かない。
手足が動かないのはもちろんのこと、目を開けることすらできない。声を出すこともできない。
意識は相当にはっきりしていた。起きているのと同じくらいには意識が明瞭だったと思う。Apple Musicで流しているaiko「相思相愛」(今年2024年劇場版名探偵コナンの主題歌)の歌詞がはっきりと聴き取れるくらいには意識はあったし、頭も働いていた。

なのに体が文字通り一切動かない。指先も動かないし、目も開けられない。
「あれ!?もしかしてわたし死んだ!?」と思った。脳に何らかの異常が起きて、体が動かなくなったのかと思った。

手指は動かそうとしてもちっとも動きそうになかった。金縛りとはよくあの状態を言い得ていると思う。頑張れば動かせそう、とかではなく、本当に全く体が動かない。明瞭な意識はあるのに一切の動きを封じられる。

体は頑張っても動かせそうな気配がなかったので、何か声を出すことはできないかと試した。しかしやはり口が全く動かない。それでも口を動かそうと試みているうちに、「……ン!」と鼻から息が出た。寝ている人の寝言のような、気の抜けた音だった。そして金縛りから体が解き放れ、さきほどまでの金縛りが嘘のように体を自由に動かせるようになった。

すぐさま枕元のスマホを手に取って、「金縛り」と調べた。今さっき起きた現象が金縛りなのか気になったからだ。

金縛りとは、心霊的な文脈で語られることも多いが、実は科学的にすでに説明可能な現象であるらしい。
平たく言うと、「体は寝ているのに意識が覚醒する」状態がいわゆる金縛りだ。睡眠医学的文脈では「睡眠麻痺」と呼ばれるらしい。

睡眠には種類があり、そのうちのひとつがレム睡眠である。レム睡眠は、体は休んでいるが脳は起きている状態の睡眠である。このレム睡眠中に、何かのきっかけで意識が覚醒してしまうと、いわゆる金縛りとなる。意識はあるものの、寝ているか寝ていないかで言うと間違いなく寝ているので、体が動かないのは当たり前だ。寝ている間、人は体を意のままに動かすことはできない。寝ているからそれに気づかないだけだ。

ではなぜ睡眠麻痺が起こるのだが、原因は睡眠リズムの不規則化だ。本来ならレム睡眠とノンレム睡眠のリズムは一定程度守られる。が、不規則な生活やストレスなどの何らかの原因によって睡眠のリズムが崩れてしまうと、本来なら寝ているときに来るはずのノンレム睡眠が、なぜか起きているときにやってきてしまう。

かくいう私も、今日の睡眠リズムは不規則であった。仕事のために朝9時に起きたが、その後昼寝を2回、夜寝を1回している。土日旅行に行っていたため、疲れが溜まっているのだろう。この1日のうちに何度も寝たことが、睡眠のリズムをめちゃくちゃにしてしまったのだろう。

金縛りの最中、今やほとんど治りかけているパニック障害のと発作があるときに近い気持ちになった。このまま死んでしまうのではないか、という恐怖感があった。
しかし、冷静になる今考えると、金縛りは体の自由は封じられるものの、呼吸はできていた。金縛りの正体はノンレム睡眠であり、睡眠中も人は呼吸をするので、息だけは普通にできた。金縛りは睡眠のエラーであるだけで、睡眠であることには違いないのだ。

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