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会わないと心が通わない話

現在、コロナ感染症対策でほとんどの病院は面会を禁止、制限しています。
病院としてはそれがどのくらい患者さんにとって不利なことか、わかっていてやむを得ずと思っていました。

ところが、先日Twitterで面会に家族や友人が来ないから院内感染が減少して、手術がうまくいくという投稿を読みました。
急性期病院の医師はこういう考え方をしている、とショックを受けました。

手術がうまくいけば治療が全うしたことになる、それが成功と思っているんですね。それは人間を臓器としてみる考え方です。

そしておなじ方は、順調に回復して早く退院すればいいのに、なかなか帰らないことが問題だと。
確かに入院期間を短くすることは早い社会復帰につながります。
入院中、患者さんの行動を抑制して寝たきりに近い状態にして、さあ手術がうまく行ったから家に帰りなさい。
体力、筋力が低下して、傷口が痛い患者さんにあなたの臓器は大丈夫、さあ退院。
これでは受け入れられられないでしょう。

もしかすると、ここからは私の推測ですが、感染対策を口実に患者さんや家族の人との対話、説明が少なくなって、その医師の共感性が低下しているのではないでしょうか?
加えて、感染対策で例年のように手術をする患者さんが集まらない、手術室も十分に使わせてもらえない、そのことがこのような発言に結び付いたのかと考えています。

リハビリテーションを行う患者さんにとって、家族友人との面会が制限されることは、モチベーションの低下、孤立、家族との対話の喪失とマイナス面ばかり。

私はコロナ感染症が始まると同時に病院の勤務医を退職したのですが、勤めていたら、患者さんと家族が会えない状況に気持ちがついていかなかったと思っています。
今回母が急性期病院から地域包括ケア病棟に移り、約2か月半で退院しましたが、リモート面会をして、母が思ったより衰えている、病院で抑制されて怯えているような表情(周りに気を使っている)に気づいて、自宅退院を決めました。もちろん、病棟スタッフから言われた、「これ以上はよくなりません」の言葉にも強く促されました。

家族同士でも会えないと共感がなくなるのです。
よく話している、そして行動を共にしている家族とは共感、理解ができますが、会わない家族とは心が離れるのを感じています。

面会禁止は反対です。医療機関は面会禁止が患者さんにとって不利なことと理解してほしいし、ダラダラと継続するのではなく検証を続けて、いつでも面会が再開できるように準備していただきたいと思います。

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