【今月の美術館散歩】特別展「本阿弥光悦の大宇宙」に行ってきました!
こんにちは、あーるぐれいです。
毎日の生活を「見直す」
違和感に「気づく」
ささいなことから「工夫する」
この3つのポイントから見つけた、自分の心を整えるための「チルタイム」を書き留めています。
私は先日、noteの記事で「月1回は美術館に行くこと」を「今年やりたい10のこと」としてあげました。
美術館巡りは好きなのですが、しっかり予定に組み込んでおかなかったために行けなくなるケースが昨年多かったので、今年はそうならないようにと思ったからです。
今月は、東京上野にある東京国立博物館で開催中の特別展「本阿弥光悦の大宇宙」に行ってきました。
特別展「本阿弥光悦の大宇宙」をざっくりご紹介
まず「国宝 舟橋蒔絵硯箱」が登場
受付を済ませ会場に入ると、目の前に「国宝 舟橋蒔絵硯箱」が展示されています。
何ともいえない丸みを帯びたフォルムが可愛らしいです。
フタ部分のふくらみもそうですが、4つの角も柔らかくカーブしていて、全体が優しい雰囲気になっているのが感じられました。
「刀」
今回の「本阿弥光悦の大宇宙」では、一般的な展覧会のように章構成があるのですが、章立てとは別に「刀」「信」「漆」「書」「陶」というキーワードが設定されていました。
最初の「刀」では、名剣の目利きとして活躍した光悦の実績が紹介されています。
私は全く日本刀の知識がないのですが、そんな私でもどこかで聞いたことがある「正宗」などの名刀が展示されていました。
また、短刀もいくつか展示されており、個人的には秀吉や家康が所持したという「短刀 銘 来国次(名物 鳥飼来国次)」が印象深かったです。
他の短刀に比べて、何となくおおらかさや大胆さを感じました。
「信」
光悦の人生に深く関わっているのが、法華信仰です。
写経や寺院の扁額など、多くの作品から彼の信仰心を知ることができます。
日蓮聖人の思想を解説した「立正安国論」の写しでは、楷書・行書・草書体が入り混じり、文章が生き生きとした印象を受けました。
寺院の看板とも言える扁額でも、光悦の力強く躍動感がある筆使いを感じることができます。
本来は文字が金色だったと推察されている扁額もあり、当時は寺院を訪れた人々に強いインパクトを与えていたんだろうなと想像するのも楽しかったです。
「漆」
「漆」では先ほどの「舟橋蒔絵硯箱」以外の蒔絵硯箱や棚などが展示されていました。
漆と金、螺鈿などの組み合わせの美しさはもとより、「書く」ということがとても大切にされていたことを感じます。
また、こちらでは「謡本」も紹介されていました。
「謡本」とは、「能」の言葉をうたうために流行した本で、雲母刷りなど豪華な装丁がされているのが特徴です。
雲母刷りは、雲母という鉱物を砕いて顔料に混ぜる刷り方で、現代感覚でいうと「ラメ」という感じでしょうか。
見る角度によって輝きの度合いが変わるのが、とても美しいです。
また、同じ内容の謡本でも、装丁によってイメージが変わって見えるのも、それぞれのセンスの見せ所という感じがしました。
「書」
「書」では、これまでのテーマと違って、光悦の変遷を垣間見ることができます。
「信」でご紹介しましたが、光悦の書の特徴は、「一文の中に、複数の書体を自由に織りまぜている」ところです。
書体に合わせて、太さや濃さも絶妙に変わっています。(「肥瘦」と書道で呼ぶことを、展示の中で初めて知りました)
俵屋宗達とのコラボ作品として名高い「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」では、光悦の自由で大胆な筆使いを味わうことができます。
この巻物は鶴の絵も書体も素敵なのですが、空白部分も魅力のひとつだと感じます。
紙面のすべてを描き込まず、ところどころに空白を残すことで、鶴の動きや書体の流れる様子を強く感じることができました。
光悦は50代に脳卒中をわずらい、中風による手の震えなどがあったそうです。
その頃に書いたとされる手紙なども展示されており、確かに「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」などとは全く違った筆跡で書かれていました。
そして、70歳をすぎてから書いた「漁夫辞」などでは、若い頃のような流れる軽やかさはないものの、文字のひとつひとつから落ち着きや穏やかさを感じることができます。
光悦がそれぞれの年代で書いたものを見ていて、人生の終わり方というか枯れていく美しさを感じました。
「陶」
最後は陶器です。
ほとんどが茶碗で、光悦が作ったものと陶磁器の家系である樂家が作ったものが対比できるように展示されています。
ここでは、偶然できる釉薬のたまり具合とか、非対称で少し緊張感を感じさせるフォルムとか、さまざまな美しさを感じることができました。
触ることができないのはわかっているのですが、できることなら手の中に茶碗を持ってその温度感や肌触りを試したいと、見ていて本当に思いました。
将来、デジタル技術が進んで、五感すべてで体感できるようになったらいいですね。
デジタル技術で思い出しましたが、NHKの8K技術で撮った作品を動画で見られるコーナーがありました。
代表的な4作品だけですが、肉眼ではなかなか見られない細かい部分まで見られたので良かったです。
途中休憩なしで、鑑賞にかかった時間は2時間30分。
本阿弥光悦の「大宇宙」というタイトル通り、ボリュームのある展覧会でした。
おまけ:おみやげ紹介
今回の私のお土産はこちら。
3月10日まで開催されていますので、上野方面に行く機会がありましたら、ぜひご覧になってみてください。
ここまでご覧くださりありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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