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インハウスデザイン組織の実際のところを語り合う

LegalOn Technologiesはスタートアップですが、その創業当初からデザインを大切にしている企業です。
そんなLegalOnのデザイン組織はどのようなもので、どのような働き方ができるのか?
今回、そんなことを各グループのリーダーに語り合ってもらう座談会を実施しました。
インハウスのデザイン組織の実際がわかる座談会の模様を、どうぞご覧ください!

やの プロダクトデザイナー
美大卒業後、Webページの制作やアプリ開発のUI/UXデザイナーに。前職時にはスマホ日本語入力の先駆けとなるキーボードアプリ「Simeji」を開発運用。2021年11月LegalOn Technologies参画。デザイン組織のマネージャーを務める。詳しい紹介はこちら

すずき プロダクトデザイナー
ロボット工学で修士号を取得後、IT企業にデザイナーとして入社。WebアプリのUI/UXやマークアップを主に担当。半年の業務委託期間を経て、2019年2月に1人目の正社員デザイナーとしてLegalOnに参画。プロダクトデザインとデザインシステムの責任者。

otk グラフィックデザイナー
美大卒業後、デザイン事務所、制作会社を経て、グラフィックデザイナーとして、2020年1月LegalOn参画。マーケティング関連のデザインワークを担うグループのリーダーを務める。

まえかわ アートディレクター
美大卒業後、ウェブ制作会社、フリーランス、グラフィックデザイン事務所を経て、アートディレクターとして、2022年7月LegalOn参画。コーポレートブランディングのクリエイティブ責任者。

LegalOnのデザイン組織は2軸で編成されている

― デザイン組織の基本構造について教えてください。

やの LegalOnの組織は大きく分けて、達成すべき目標ごとに組成されるAG(アチーブメントグループ)と同じ職能のメンバーでまとまるPG(プラクティスグループ)の2軸で編成されています。
PG内で同職能のメンバー同士が情報共有をしながら、各AGに配属されてそれぞれの目標達成を目指すという建て付けですね。

※組織図を実態に即して便宜的に編集したものです。

すずき プロダクトごとに開発チームを組成して、そこにプロダクトデザイナーという職能集団から人が割り振られるという構成ですね。
プロダクトの場合、実際にはプロダクトをさらに細分化して、個々の機能群単位でまとまった開発チームを編成、そのチームにはデザイナーやプロダクトマネージャー(PdM)、エンジニアなどいろいろな職能の人が集まります。

otk マーケティングは組織上、AGが一つにまとまっているのですが、製品ごとに担当が分かれているので、実態を図にするとこのような感じになりますね。

まえかわ ブランドはAGが一つしかないのでPG=AGとなっていますね。

― 製品開発のAGごとの業務の流れを教えてください。

すずき 先ほど言ったような多職種が集まる開発チームで業務を進めます。
PdMとどのような機能作って行くのかを相談してUIをおこし、エンジニアの人と技術的可能性を相談しながら改善してリリース、そしてその機能をさらに改善していくことを繰り返します。

業務の進め方でLegalOn特有なのは、顧客ヒアリングに同行したり、社内の法務部や他の企業で法務を経験したことのある開発チームのメンバーに、直接課題感などの話を聞いてUIに落とし込むところですかね。

― 開発チームあたりのプロダクトデザイナーは一人なのですか?

やの そうですね。最近はプロダクトデザインも複雑になって、分業化が進んでいるのですが、LegalOnの場合は一人がだいたい全部やるんです。
まだまだ人数がそろっていないので、そのあたりはすごくスタートアップ的ですね。
だからあえて、「プロダクトデザイナー」という広い概念の職種を名乗っています。

― マーケティングとブランディングのほうはいかがでしょうか。

otk 各サービスのマーケティング担当者からの制作物の依頼が業務の起点です。
サービスごと担当デザイナーを決めて、ディレクションまで対応する、比較的フラットな組織構造です。
でもそれだけだとナレッジの共有が難しいので、デザイナー同士で集まって振り返り会も定期的に実施しています。

まえかわ 業務の流れはotkさんのところと近く、依頼仕事が多いですね。
依頼内容を踏まえて、僕が担当を振り分けています。
依頼の数が多いので、Notionなどの情報共有ツールを駆使して案件管理を仕組み化しています。
振り返りはあまりしないかも。でも逐一フィードバックしながら、デザインをブラッシュアップするようにしていますね。

― 組織図の中にある、デザインシステムとはなんでしょうか?

やの LegalOnにはプロダクト開発で統一的に使えるUIデザイン基盤があるのですが、その開発と保守・運用を行っています。

すずき プロダクトや機能ごとにUIのトーンを揃えること、より短時間で実装できるようにすることを目的に開発したUIコンポーネント集だと思っていただければ。

― デザイン組織の変遷について教えてください。最初期のメンバーはすずきさんだったと聞いていますが。

すずき 第一のプロダクトである「LegalForce」クローズドβ版を開発している頃、2018年8月に業務委託としてですが、私がプロダクト担当のデザイナー第1号として参画したのがデザイン組織の始まりです。
当時いた業務委託のエンジニア兼デザイナーさんからプロダクトまわりのデザインを引き取る形でした。
その後、私がプロダクトから製品サイト等の構築まで一手に対応していたのですが、さすがに厳しくなってきて。

otk それで2020年1月にグラフィックデザイナーの私がジョインしました。

すずき 私がグラフィックに強い人間ではなくて、製品サイトのデザインは業務委託のグラフィックデザイナーさんと協働していたんですけど、そこをデザインをできる人を正式採用しようと。

― 開発側と事業部側にうまく役割分担ができたということですね。
その後はどうなりましたか?

すずき それから「LegalForceキャビネ」という次のプロダクトもできて、私が「掛け持ちは無理だな」ってなったので、現デザイン組織マネージャーであるやのさんに来ていただいたのが、大きな変化ですかね。
2021年11月のことかな。

― その後2022年7月に3人目のリーダーであるまえかわさんが入られたと?

まえかわ 僕が参画する直前にコーポレートブランド部門が立ち上げられて。
背景には、急激に人が増えたためにビジョンが浸透していなかったり、組織がまとまりづらくなってきたりと、組織的な課題感があったからと聞いています。

otk それまでは広報などコーポレート関連のデザインワークも私のグループが担当していたのですが、当時の広報の人がすごい優秀で仕事をつくる人だったので、ちゃんと専門でやる人が必要だなと。

3種の職能グループで一つのデザイン組織。その良さと難しさ

― そうして三つのグループで構成されたデザイン組織となったわけですね。
その後、AG・PG体制が敷かれたわけですが、今の組織を振り返っていかがですか?

やの まだ1年経とうかという組織制度なので、難しい質問ですね。

PG観点で言うと、同じ職能で集まることで会社組織というエコシステムの中でデザイン組織の立ち位置が見えやすくなった
結果、各メンバーがどのような部分に関与し、どんな努力をしているのかを示しやすくなったのが良い点だと思います。

AGに関して言うと……。
我々デザイナーも、「デザインしたら終わり」ではなく、「事業に貢献する、価値を生み出す」というところにコミットしていく必要があります。
特に事業に沿った組織であるAGが、そういった意識に働きかけるような組織になることは、引き続き考えていかなければいけないなと、マネージャーとして思います。

― ブランドはいかがですか?

まえかわ 我々の場合、広報や人事など、他AGと関係することで初めて機能するので、AG・PGの2軸がすごく機能しているかというとまだ改善点はあるかなという気がします。
逆に少人数なので、他AGの目標達成にフレキシブルに貢献できるという良さはあるかもしれないですね。

― マーケティングのほうはいかがですか?

otk 僕たちの場合、急激に事業が拡大するなかで、AGがうまく機能してきたと思います。
新サービスが立ち上がってもそれに応じたAGを新設すれば対応できるので。
一方で、AGが増えていくと今度はAG間の取りまとめ、デザインのトンマナをそろえるとかが大変ですね。

そこを担保するのがPGの役割なんですが、それがまだうまく機能しているとは言い切れないところもあります。
事業ごとにやりたいことの方向性が違うと、デザイナーの立場でそれをコントロールするのも簡単ではなくて。
なるべくPG内で連携してトンマナをそろえることを目指しています。

すずき デザイナーは営業やエンジニアと違ってさまざまな組織に所属していて社内を横断的に見やすい立場にいるので、余計に統一感については気になりますよね。
「トーンをそろえましょう」といってもそれぞれデザインするものの役割が違うので難しい場合もある。
だから要素を分解して、「ここはそれぞれで良いものを選んで、でもここは共通して同じものを使いましょうよ」という話をしていくのが大切だなと思います。

― トーンの統一を図っているとのことですが、具体的にはどのようにしていますか?

otk AG内で定期的にミニカンファレンスを開催しています。
お互いの成果物を発表しあって、意見を言い合う会ですね。

すずき プロダクトも同様ですね。
まずはプロダクト内でバラバラのデザインにならないように、毎日プロダクトデザイナー同士で集まって情報共有や相談の場を設けています。

また、これはAG・PG制以前からやっていたんですが、全社のデザイナーで集まってこんなものを作ったよみたいな情報共有は隔週で行なっていて。
ただこの体制になる前は、正式な組織としてのつながりはなかったので、ある意味有志の集まりだったんですよね。
PGができて、全社のデザイナーが一つの組織に明示的に所属するようになって、そういう情報共有を行う建て付けが明確になったのはいいことだと思います。

― 目標達成を目指すAG制で動いている限りは、やはりトーンの統一などデザイナーの意思は優先されづらい?

やの 事業でやっていますからね。基本的にそれぞれが担当する目標達成にいちばん軸足を置いてほしいというのはあると思います。

すずき プロダクトデザインだと、機能開発がAGの最重要事項ですもんね。
そこに軸足を置きつつ、デザインシステムを運用して、最低限デザインの方針はぶれないように。
そのシステムを利用すれば、開発の目標達成に貢献できるから使ってもらえる、それによって私たちが守りたい部分が勝手に維持されるというところを目指しています。

― 事業目標の達成が求められるなかで、PGによってデザイントーンの統一を図るのは、バランスが難しそうですね。

まえかわ 統一も、それを押し付けるのではなく、際限なく方向性が広がってしまうのを防ぐため、「最低限ここは守りましょうよ」という振れ幅を大きくしないためのものだと思います。

otk それがブランディングですよね。

まえかわ そのために今、「デザイン三原則」というものも作っているんですよね。
AGも三つですが、原則も三つですね。偶然。

otk なんでも「三つある」というのが大事な気がします。
三権分立ではないですが、対立せずに客観的な役割分担ができる気がします。

すずき PGは人材育成の側面もあると思います。
お互いのスキルアップにつながるようなナレッジ共有や相互レビューなんかをもっともっとやっていく必要があるかなと。
実際、とあるメンバーに主導してもらって、デザイナー同士の相互理解のためのワークショップなんかもやっています。

― ブランディングの意図が、事業部や開発のやりたいことと衝突することはないのですか?

otk なくはないですかね。今のマーケティングって目の前の目標を追うことが重要なので、「長期的に育てていく」という感覚がもちづらいんだと思います。

やの 世の中、デザインやブランディングにコストをかけないスタートアップは少なくないです。
そのなかでもLegalOnは、経営トップの判断で「デザインをちゃんとしよう。ブランドも大切にしよう」と予算も人員も確保してもらっているので、がんばっているほうじゃないですかね。

すずき UIデザイナーなしでプロダクト開発しているスタートアップ企業もあるなかで、私は正式版リリース前から採用されていますしね(笑)。

LegalOnでデザイナーとして働くということ

― 先ほど「事業にコミットしたデザイナーに」という話がありましたが、それは人事評価の観点にも反映されている考え方ですか?

やの デザイン成果を直接売上の増加と結びつけて評価するのは難しいですが、その軸でもっと刻んだ指標を設定して目標と定める、というところはやろうとしています。
単にアウトプットの数を評価するのではなく、「こういう目標をもって、こういうアウトプットをする」と明確な意思をもって事業に貢献する姿勢を評価していきたいなと。

― そんななかで、LegalOnで働くことによってできる成長とはなんでしょうか?

まえかわ デザイナーにはデザインスキルと会社人としてのスキルの両方が必要だと思うんですけど、特に後者はかなり鍛えられると思います。
とにかくいろいろな関係者と、調整や折衝をしながら最適な提案をしていかないといけないので。

デザインスキルについては、中堅ぐらいのキャリアで既に引き出しのあるグラフィックデザイナーにとっては、自分のやってきたことが正しかったかどうか、答え合わせができるところな気がします。

otk 組織がゼロイチではなく1を10にするくらいの成長期なので、すでにあるモノを育てたり、プロセスを見直したりするような経験ができるかなと思います。

やの 新しく入っていただいた人には、「市場価値の高い、業界を牽引するような人材に成長してください」と伝えていますね。
実際、デザイナーとして事業を推進するような動き方ができるので、その素地は整っていると思います。

すずき プロダクト開発の頭から終わりまで、一通りかかわる経験はたくさんできますよね。

― ほかに、LegalOnだからこそできる経験はあるしょうか。

やの 顧客の声を直接聞ける、というのはあると思います。

すずき 法務というエンドユーザーが社内にもいるので、その声を直接聞いてプロダクトに活かすこともできますね。

otk 長期的に作り続ける、デザインシステムやテンプレートを構築するというのは、うちのような会社だからこそできる経験だと思います。

社内で制作したデザインテンプレートの例。幾何学的に表現された人物イラストで成果物同士の統一感を保つことを企図した。

まえかわ 依頼主が社内にいるということで、結構解像度が上がっていない段階で声をかけられることがあるんですよ。
だからこそ、そもそもの企画段階から提案できる、というのはLegalOnでできる経験じゃないかと思います。

― これを見てLegalOnに興味をもった方に、どんなことを伝えたいですか?

すずき リーガルテックというと堅い印象をもたれるかもしれませんが、中にいるメンバーはすごくラフな印象です。
法務の知識も後からキャッチアップできるので、安心してくださいとお伝えしたいですね。

やの できる人が多いので、大いに刺激になる会社です。
何かでいちばんになりたいとか、事業を自分の手で発展させたいとか本気で思っている人が多い会社ですよ、と。

まえかわ 発展途上な組織な分、それを育てる楽しみが味わえる会社です。

otk 変化を楽しめるとも言えますよね。

― なるほど、こうして伺ってみると、LegalOnだからこそ描けるキャリアや働き方というものがいろいろとありそうですね。本日はありがとうございました!


いかがだったでしょうか。

まだまだデザイン組織として発展途上であるなかで、今語れることをざっくばらんに語ってもらいました。
インハウスのデザイン組織というものがどういったものなのか、一つの姿として参考にしていただければ幸いです!

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