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悪性確率7割の精密検査

2024年1月9日午前一番の検査だった。

朝イチで病院へ向かうことも、診察までの手順も全てが新鮮だった。

朝イチにも関わらず時間がかなり押して乳腺エコーとマンモグラフィの検査そして診察室へ通される。

主治医はマスク越しとはいえ戸田恵梨香に似た綺麗な方。大きい瞳をついじっと見てしまう。前回同様、私の胸の写真をみながら「ここの石灰化、数は多くないですが形がトゲトゲしていて…気になります。次回生検をしましょう」とマンモトーム生検の説明をしてくださった。

「えー!今日そのつもりできました…。マンモトームの結果良性なら検査終了ですね!」と軽い気持ちで聞いた。

「はい、もちろんその可能性はゼロではありませんが…高確率でこれは怪しいです」ハッキリ言いきった。

「え…じゃあ悪性の確率は?」と聞いた。聞いてしまった。

「7割方…悪性で見ています」

「は?とはいえ、石灰化の数が多くないならそこだけ取っていただいたら済む話ですよね」とわたし。

「今みる限りですがこの状態でもし悪性なら左の胸は全摘になると思います」

涙が溢れた。

涙が止まらなくなっている私をみて「失うのは辛いですよね。もちろん検査はこれからなのでわかりません。でもね何の症状もなくマンモグラフィだけで見つかったのは超初期ってことで、万が一全摘になったとしても取ってしまえば絶対死なない。ステージ0だとそれで完治。恐らくステージ0か1です。再建もできますしね!」と言ってくれた。精一杯前向きな言葉を投げてくれたと思う。

ただ私は「先生はステージ0-1だとか初期で取れば治るとか簡単に仰るけれど、胸を失うことは私にはとても辛いことです。最悪悪性でも今すぐ治療しないってのはアリですか?しこりも痛くもない胸をわざわざ切って長く患うことを考えるだけで苦しいです」と言っていた。

何の不調もなく元気なだけに、自分と病気が結び付かない。なんで?という気持ち。
不遜な発言だったとはおもう。

戸田恵梨香似のその主治医は「切れば完治することが分かっているだけに放置し続けることは反対です。手術をせずに居られる期間はこれから調べる中でお伝えしますね」……そしてもし悪性で、放置し続ける選択をしたら、数年前に亡くなった天使の様な元アナウンサーの最期を追うことになると諭してくれた。

もうこの流れに乗るしかないんだなと思った。

結果、腫瘍の広がり具合いをみておく意味で「MRI検査」(もし悪性だった場合に部分切除か全摘かの判断ができるとか…) そして今回のマンモグラフィで見つかった小さな別腫瘍を念のため「細胞診」で検査することになった。

乳がん再検査のほぼフルコースやん!
文献を読み漁っていた時に出てきたワードが続き、そう思った。

MRIが最短で2月16日
マンモトームと細胞診が2月27日
検査結果報告が3月13日
あっという間に予定が組まれた

そして今後の検査に向けて採血をして帰ることになった。今回も3回目でやっと針が通った。今日の急展開に採血中も、しくしく泣いていたので、採血が怖くて泣いていると思われ気を使われたみたいだったが、否定する元気もなくそのままやり過ごした。

お昼前には帰宅するつもりが
軽く14:00を越えていた。

ああ疲れた。
帰り道は薄く目の前に幕が下りていた。どうやって駅まで戻ったか思い出せない。

その薄い幕は今もまだ下りたまま…

ボヤっとした視界の中で見える世界が
その日から今も続いている。







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