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問い

右山くんが一人で雑誌を作り上げた。その名も『問い』

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様々なバックグランドを持つ11人へのインタビューを通して、『生き方』や『人生』について各々の考え方が掘り下げられている。フリーペーパーでなおかつ無料で送られてきたけれど、コストは1冊あたり460円らしい。そして、それに右山くんの時間が加わっている。

製作者である右山くんが生きづらさを感じていた10代から20代はじめ。その後美容師として多くの人と出会い、様々な考え方、感じ方、そして生き方に触れたことで『生きやすくなった』と編集後記で述べられている。右山くん自身もそうだったように、若く生きづらさを抱えている人に向けて作られた雑誌だったが、インタビューされている人たちが魅力的だったのと、“人生を、考え方を知ろう。少し興味を持つだけで世界が広がる。あなたに向けた人間カタログ“というキャッチフレーズに惹かれて「読みたい!」と志願した。部数が限られているのにも関わらず、快く送ってくれて感謝している。

インタビューの内容や右山くんの文章を読んで、自分自身の10〜20代を振り返るとともに、答え合わせをさせてもらったような気がした。
若いころのわたしも、同じようなことを考えていた。好きなことで生きる・オリジナルな存在になりたい。誰かの人生にフォーカスされたメディアに触れると、『じゃあ、わたしは?』という現実を突きつけられているような気がしていた。唯一無二な存在。平凡なんて嫌だ。若ければ若いほど、そういった考えが前提にあった。やりたいことって何だろう。何が好きなのかわからない。自分、とは。

アイデンティティの確立が青年期の発達課題だけれども、どうやったら確立できるんだよ、とよく感じていた。何かで身を立てるには何かを切り捨てなければいけない。捨てることに勿体なさを感じていたし、楽なほう楽なほうに逃げている自分にも嫌気がさしていた。本当は、ただ何となくあきらめるのではなく、意思をもって断念し、別の新たな一つの道を選び取る作業が大切だと知っていたのに。

娘が生まれて親になった。親業は子どもだけでなく自分自身ととことん向き合う日々だ。こうでなければいけないと自分自身で首を絞めているような感覚もいくらかあった。娘のことを思えば思うほど、内省が続き、心のなかにじりじりとしたものが湧き上がってくる。優しくおっとりとした家事も得意で丁寧な暮らしをしているママに憧れていた時期だってあった。自分と違う気質の人を見比べてしまい、何で出来ないのだろうと落胆したことだってあった。親という役割に支配されて、社会で自己実現したいという気持ちが置いてけぼりになってしまうことだって。

でも、そんな考え方を打破したのは、多くの人の生き方や考え方に触れて思考を止めなかったからなのかもしれない。気質が違うんだもの。わたしはわたしでしかいられない、という半ば諦めのようなものと、『もっと自由でいいんだ』という心意気に触発されたからなのだろう。

インタビューでは多くの価値観が書かれていて、時に相反するものだってあった。でも、そのどれもを肯定できる自分がいて、この『もがき』は正しかったのかもしれないと何だかほっとしたのが正直な感想だ。おもいがけないところで答え合わせ地点を作ってもらえたような気がしている。
勿論、右山くんの想い通りに人生に迷っている・生きづらさを抱えている人に読んでほしいとおもう。30代の自分でさえ、自由な基準がたくさん散りばめられていて、包み込まれているような気分になったからだ。

貴重な雑誌をありがとう。
立ち止まって考える機会を作ってくれてありがとう。


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