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【北米エンタメニュースまとめ】映画「BLUE GIANT」北米で配給へ、ミュージカル「テニスの王子様」のチケットが日本国外から購入可能に、コミコンでの公開声優オーディション開催

日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。


GKIDS、北米で映画「BLUE GIANT」を配給へ

昨今の日本アニメ人気を受けて、北米では相次ぎ日本アニメで配給されています。日本でヒットした映画「BLUE GIANT」もそのタイトルに仲間入りです。アヌシー国際アニメーション映画祭でも特別上映され、注目が集まっていた中での海外進出です。特にジャズの本場である米国でどう受け入れられるのか気になります。


ミュージカル「テニスの王子様」、日本国外からもチケット購入可能に

北米とはあまり縁がないのですが、日本の漫画・アニメ・ゲームコンテンツの海外展開という点では面白い動きなので。日本の2・5次元舞台をけん引する作品のひとつ、ミュージカル「テニスの王子様」が7月開幕の「ミュージカル テニスの王子様 青学VS六角」で、日本国外からもチケット購入が可能なシステムを用意しました。

販売サイトそのものは、2・5次元ミュージカル協会のサイトを活用しています。そこからイープラスのリンクに飛ぶかたちです。

実は海外で人気のアニメ・漫画・ゲームを原作にしているということから、2・5次元舞台は海外ファンの取り込みには前向きです。新型コロナウイルスの感染拡大で渡航が制限される前は、専用シアターでスマートグラスを使った字幕の表示を実験的に行っていました。もちろん圧倒的に国内向けのコンテンツではあるのですが、アニメや漫画・ゲームを目的に日本を訪れたいという潜在需要があることを踏まえると、2・5次元舞台の観劇もそのツアーに入ってもいいと思います。

もちろんストーリーが全く理解できない舞台を見たい需要がどこまであるかは疑問ですが、幸い2・5次元舞台の多くは原作の漫画やアニメがあるわけで、翻訳版で「予習」をしてもらえれば観客を取り込むことはまったくの絵空事とはいえないでしょう。


少女漫画的魅力を持つライトノベルたち

アニメや漫画と並び、日本のポップカルチャーで人気を集めているのがライトノベルです。「ソード・アート・オンライン」あたりからの伝統ですが、各出版社は漫画と並んでライトノベルの英訳出版に力を入れています。そのライトノベルはいろいろなジャンルがあるわけですが、こちらの記事はその中でも日本のジャンルでいう、いわゆる「少女漫画」的な「エネルギー」を持っている作品を紹介しています。典型的な少女漫画として紹介されているのは「暁のヨナ」や「赤髪の白雪姫」など。具体的なライトノベルのタイトルとしては「私の幸せな結婚」や「乙女ゲ-ムの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった・・・」が紹介されています。(というか、「私の幸せな結婚」は英語圏でもよく紹介をみるので、できのよかった実写映画をCrunchyrollとかで配信してほしい)


欧州で新たなアニメ配給会社立ち上げ、「The First Slam Dunk」を北欧などで配給

欧州での日本のアニメ人気を受け、欧州の映画館配給会社「Piece Of Magic」がアニメ専門の配給会社を立ち上げたというニュース。第一弾として、「The First Slam Dunk」を中央ヨーロッパなどに配給するそうです。CEOは「劇場版 鬼滅の刃」の配給などを手掛けた方だそうで日本のアニメが一段と広がることに寄与すると期待はしたいのですが、今回の配給地域に欧州の主要国(ドイツやフランスなど)が入っていないこと、ドイツやフランスはすでにCruncyrollの関連会社が劇場向けでもアニメの配給では強い力を持っていることを考えると、どこまでシェアをとれるのか疑問です。ただ、配給会社が増えることでこれまで以上にバラエティに富んだ日本のアニメ(アニメや漫画原作の実写作品も含む)が世界に配信されれば面白いなと思います。


TMS、AnimeExpoでアニメ「Undead Unluck」の吹き替え声優の公開オーディションを実施

すごい結果が気になるイベントです。週刊少年ジャンプで連載され、トムス・エンタテインメントによってアニメ化される「Undead Unluck」について、英語の吹き替え版の声優の公開オーディションを7月開催のAnimeExpoで実施するというもの。年齢や性別に問わず、オーディションには参加できるとのことです。参加には事前登録が必要。参考サイトはこちら。TMSとオーディションを主催するのはBang Zoom! Studiosという米国の音響制作会社です。

日本語話者でない人がアニメを吹き替えでみるか字幕で見るかというのは、日本人がハリウッド映画などを吹き替えで見るか字幕で見るかというのと同じぐらいの大きな問いですが、少なくとも吹き替え版が作られ、さらにその吹き替えのできがよければ、その言語圏の人気は跳ね上がります。特に英語圏ではその動きは顕著です。なぜなら韓国映画で広がったとはいえども、英語圏のコンテンツを楽しむ人は「映像を見ながら字幕を見る」という行為に慣れていない人もいるからです。(それだけ自分の母語=英語で作られるコンテンツが充実していたという背景があります)


鬼滅の刃、NYのタイムズスクエアに大型広告

https://twitter.com/kimetsu_off/status/1670239449022701568

以前「ONEPICE」が出したことで話題になったNYの中心地のひとつ、タイムズスクエアの大型広告。今回はアニメの最終回の放送にあわせて「鬼滅の刃」が出稿しました。収益をあげていることは知っていましたが、ここまで多くの広告を確保して出すのはアニメ作品(というかコンテンツ全般としても)はかなり異例だと思います。で、これを誰が見に来るのかと思ったら、そのときにタイムズスクエアにいた人だけでなく事前告知をしたことでファンが集まったであろう様子もみられました。この様子はツイッターはもちろんCrunchyrollのインスタグラムを通じてもライブ配信されました。キャラクターが登場するたびにあがる歓声を聞いていると、本当にグローバルに愛されるコンテンツになったのだなと思います。


グローバルな漫画レビューサイト「ComicAddict」オープン

漫画ファンはレビューサイトを通じてつながっていることもあり、国内ではブクログや読書メーターが知られています。グローバルでは日本のアニメについては MyAnimeList、漫画や小説ならGoodreadsなどがあります。ユーザーを集めるのが大変なので運営年数が長いほうが有利ですが、今回漫画に特化したグローバルなレビューサイトが立ち上がりました。

以下が実際のサイトです。

すでにいくつかレビューが投稿されており、どの言語で投稿されても、見ている人が設定した言語(日本語、英語、フランス語)で表示されます。投稿者は自分の母語が何かを表示できるため「日本語で読んだ人のレビューをそれぞれの言語で見る」というのが可能になっています。おそらく自動翻訳を使っていると思うのですが、日本語→英語、英語→日本語についてはあまり不自然なものはありませんでした。それよりもグローバルなファンが投稿したレビューをそれぞれの言語で知れるメリットのほうが大きい。日本を含め、各国のランキングも見ることができ、国ごとの人気の違いもわかるので、レビューが増えていけば楽しいことになりそうです。「Overal」の評価だけでなく「Picture」「Originality」「Charactor」「Story/Settng」で評価できるのも面白いです。

漫画やアニメに関する記事も掲載されています。


ジャンプ+の連載、海外でどのくらい売れているのか?

「少年ジャンプ+」副編集長、モミーさんのツイッター投稿が衝撃的でした。ジャンプ+の連載が海外でどのぐらい売れているのかについて、単行本1巻は8割以上の作品が海外で出版され、3割以上は海外の方が売れているとのこと。かなり衝撃でした。海外市場は伸びていくだろうなとぼんやり思っていましたが、想定以上にその伸びは速そうです。願わくば、翻訳コストとかもペイされていてほしい。
ちなみにこれ「ジャンプ+」の割合ということなので、例えば集英社全体とか「週刊少年ジャンプ」もいれるとどのぐらいになるのかすごく気になります。(というのも、週刊少年ジャンプで連載している「ブラッククローバー」は、国内のマンガ好きの間ではあまり話題にならないのですが、英語圏では連載の掲載ごとに話題になるし、アニメも人気なので)


追加
この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

気になったのは札幌市のマンガ博物館構想です。京都や北九州、東京の明治大とうまくいっている前例があるうえ、漫画関連の人材が育ってきているのでぜひうまく作ってほしいし、漫画のアーカイブの拠点のひとつになってほしいです。

今週はここまで。引き続きよろしくお願いします。

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