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陰キャイケメン

さて本稿はどちらかというと私の中では「与太話」にあたるカテゴリの記事で、要は娯楽的なものである。なのでほぼ全文無料で読むことができる。一応、投げ銭方式にはするので、読んでみて応援しようかなと思った方は200円で設定をしているので考慮していただければと思う。私自身は以前の記事にも繰り返し言及しているが、一介の分子生物学者にすぎないので、今回の領域は流石にかなりの専門外であろう。ただそれでも多くの人々の挙動を観察してきた限り、X(旧・ツイッター)でかなり見落としをされている男性の人種があることが見えてきたので、それについて紹介し、また議論していきたいと思う。


1. そもそもイケメンとは何か

イケメンというのは容姿が女性から見て魅力的な男性である。元々は90年代にゲイ雑誌でイケるメンズ、またはイケてるメンズという言葉が出てきたのが語源であったが、女性向けファッション雑誌「egg」において、編集者の矢野智子が魅力的な男性について特集する「クリクリ矢野のイケてるメンズ」というコーナーを開始するに至り、そして1999年に同コーナーの略称として「イケメン」が使用されたのである。そういう点ではイケメンという言葉が普通に使われるようになってから、30年も経っていないことが分かる。
 ちなみにハンサム(handsome)という言葉が以前はあり、元々は英単語で顔立ちの良いとか、整っているとかそういう意味で使われていたが今はイケメンという言葉にとってかわられている感じがある。

もちろん両性から魅力的と評価されることが望ましいが、基本的にはイケメンかどうかが大事なのは交際なり結婚相手にするか、または無難な友達の一人として値しうるかを精査する女性が判断している。つまりこの時点で、実は重要なことに気が付く必要もある。男性は男性がモテる外見かどうかを直感ではなかなか分からない。なぜなら判断するのは女性だからであり、また男性と女性の感覚は基本的には違う場合が多いからである。

とりあえずは男女両方からイケメンと見なされている方々の容姿をここでまず紹介する(一応、肖像権を考慮してあくまでリンクを貼るにとどめる)。

最初の3人は少し年齢を経ているところがあり、それは筆者である私が80年代生まれで古い人間であることに一因があるのでもうしわけないが、それでも少なくとも彼らが若い時に絶大な人気があったのは疑いなく、男性からもイケメンであるとみなされているのも確かである。

ただし私が配偶者も含む様々な女性に見解を聞くと、それなりに評価が分かれることもあり、例えば木村拓哉氏は若い頃に最も人気があったが、「カッコイイと思ったことはない」という印象を持つ女性もいるし、「彼なら触られてもセクハラにはならない」とすら絶賛する女性もいる。女性の好み自体がそもそもかなり多様性もあり、何とも明確に定義することがむずかしい。イケメンかどうかは女性が判断するが基本的には主観なので完全に判断が人によって分かれうるので、そもそも虚ろな危うさがあるのである。それを女性ではない男性が見極められるのだろうか。

2. 女性から評価されないタイプ男性 -チー牛

さて今のところ調べた限りで、女性から確実に人気がないカテゴリの男性陣が見つかっている。それがこちらの男性像である。

チー牛の定義の絵

ちなみにこの画像の由来は以下のリンク先にあるのだが、作製日は2008年らしい。つまり16年近く前ということになる。

実は、ラーメン発見伝(河合単 (著), 久部緑郎 (著))の2巻(2000年)において、類似した容姿のキャラクターが登場している。

つまり、この手の容姿の男性は昔から存在しており(当たり前か)、何の変哲もない人種に私からは見える。しかしながら、色々なフォロワーに話を聞くと、どうにもかれらチー牛と言われる人たちは生理的に受け付けないという女性の声もかなりあるらしい。自分は男性だからか全くそれが分からず、どういう特徴が嫌なのかというのを聞いたこともあった。

黒縁メガネでオタクをイメージする層がいたり、下膨れ気味の輪郭などアデノイド顔貌※らしい特徴、(あまり良い意味ではない)童顔、死んだ目などがしばしば取り上げられ、一部でバカにされていることが見受けられる。中には似ている犯罪者の顔写真が取り上げられ「犯罪者顔」と評したり、実在の犯罪者の顔をこのイラストに寄せた画風で描いたりという投稿も見られた。
※アデノイド顔貌…アデノイド(咽頭扁桃)が肥大することでできる顔の特徴のこと。アレルギー性鼻炎などが原因で口呼吸をすることによりアデノイドが肥大し、顔全体に歪み・たるみが起こることで顔立ちが変化するというもの。元となった画像では疲れたような目元、突出した唇、後退した下顎、猫背気味の姿勢など、アデノイド顔貌の特徴が強くみられる。

ピクシブ百科事典「チーズ牛丼」
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E7%89%9B%E4%B8%BC

こちらのオタクに見えるとか、アデノイド顔貌とか、死んだ目など多面的に女性はあまり受け付けないようなのだが、最近は、単純に陰キャ(後述)っぽい人や、オタクっぽい人、または気に入らない人をそのように男女ともに呼ぶような感じになっている。
 本章ではいわゆるイケメンの定義や例、そして最近、モテない男性(非モテ男性)の代表例の一つとしてチー牛があがったがその出典なども示した。次章では次に、男性が評価する男性、そしてイケメンについて言及する。

3. 男性コミュニティとカースト

正直に言うと、男性の世界とはそもそも美形とか元々評価する世界ではなかったように思える。特に力強くたくましい男前なんていうのは多くの男性から尊敬というか惹かれるところがあるが、中性的な美形男子というのは、何かしら男性の世界で評価されるようなスキル・能力がないと何も見られないというか、そもそも中性美形とかそういうのを男性が良いと判断しているのかどうかすら疑わしい。以下に示すのは有名なスクールカースト図である。

https://america-info.site/school-caste

実際にこのようなカーストがあるかというと諸説あるわけだが、確かに言えることは男性の世界だと、スポーツが出来てコミュ力が高い男子がとても人気がある。とにかくコミュ力と協調性などはとても重要で、男性ならではの気遣いとか、言語化はしにくいが、とにかくいわゆる快活な陽キャと言われるような人たちはカーストが高い。一方で、協調性が無かったり、運動が出来なかったり、コミュニケーションをとるのが苦手だったりする男子は、普通にカーストは下になりがち。その中には勉強が出来たり、数理系に優れた才能がある男子もいたりするが、コミュ力が低ければどうしても下になってしまう。そして、さきほど言及されてきたチー牛と言われる男子カテゴリは、多くの場合は下層カーストになりやすい。ここで女子達は男性カーストを見て、一般的にカースト上位で、自分達の指標で生理的にうけつける外見の男子と仲良くしたり、その中にさらに交際したくなる陽キャイケメンなどを選別したりするところになる。陽キャでも外見が女性基準で悪ければそこまではモテないし、また下層カーストでチー牛みたいな人たちはやはり女性の多くが生理的にあまり受け付けないこともあって、人気は無い。男性陣は、実際にはどういう容姿の男子が本当は女性が受け付けてモテるのか実は知らないために、男性陣としてはカースト上位が女性からモテるものと誤認していることが多い。そろそろ本題が近い。

こちらのmikan氏が作成された図が一か所除いて大体正解している図であり、多くの男女問わないツイッタラーには参考になる絵では無いかと思う。ただし、一か所だけ実際は異なる部分がある。それが次章、むしろ本稿の主役である「陰キャイケメン」の出番が来るのである。

4. 女性からモテる低カースト男性-陰キャイケメン

前章、前々章で述べてきたのは、イケメンかどうかを決めているのは女性であって、男性ではない。判断をしているのは全部女性なのである。なので、男性が同性をイケメンか否か判断することは実はかなり困難なのである。でもそれは当たり前で、本稿では申し訳ないがLGBTなどの性的少数者の議論は省略するが(というかこちらはこちらで大変興味深いが本稿の範囲を超えすぎてしまう)、女性には男性に対して性欲を持ちうるが、男性は男性に性欲をもたない。なので、男性は性欲無しで男性を評価するが、女性は性欲を背後に持ちつつ男性を評価する。でももちろん、タイプであれば交際、さらには結婚し、そして子供まで考えることはあるのだから、性欲的な視野というのはエッセンシャルなのである。ただ男性にはそれが基本的には無いために、女性の感覚や視野になって男性を評価するのが大変難しい。
 実は一般的には男性コミュニティでは下層カーストに属しており、いわゆるチー牛と同じようなカースト階級にいながら、女性からは大変な需要というか性的にも魅力的な対象になる男性陣がいる。そして他の男性からは良く見えず、実は本人すら自分がそういう存在だと気が付いていないことも多い。そんな陰キャイケメンたちがいるのである。
  陰キャイケメンという言葉自体は検索すれば私が使うより前も出てきたことがあるので、私が最初に造語したわけではもちろんないのだが、私の方で独自にそれなりの定義を用意してツイッターで大々的に昨年は発信してきた。

三つめのポストは本稿の続きの話を大体全部記述してしまっているので、このポストを見るともう本稿をこれ以上読む必要もなくなるような気もするが、改めて別の言葉で陰キャイケメンについて説明していこうと思う。
 陰キャイケメンとは、男性からは外見的に特にチー牛などと見分けがつかず、実際、コミュ力や運動などの活動力が乏しく、協調性もあまりないことからカーストがかなり低いのだが、女性から見ると中性的なかなりの美形に見えて(下手したら女性にすら見えるケースも)、特に肌や目などが綺麗だと大いに絶賛されるなどして、多くの女性から生理的に嫌がられないという強みを持つ男子集団である。
 つまり、陰キャイケメンは「男性から見えない」のである。男性から見えないとはすなわち、陰キャイケメン自身でも、自分が陰キャイケメンであり、女性からモテる存在であることを知らなかったりする。なので、女性からいきなり誘われたりして驚くなどの経験も普通にある。もちろん、カーストが低いために、それを踏まえて交際アプローチまでしてこない女性もいたりするが、それでも美形だと内心思っているので、邪険には扱ってこなかったりする。なので、割と女性の当たりが良いというか、女性の接し方が優しいので、知らず知らず得していることもそれなりにあったりする。また、他の男性と比べてあまり性加害などを警戒してこない女性もいれば、驚くべきことに触ってくる女性までいたりする(それはそれでもう気があるのかもしれないにしても)。そんな感じなので、カーストは低いが陰キャイケメンとして交際経験が豊富で、結婚も容易に出来てしまう男性陣がいるということである。

上のmikan氏の図の10%と60%男子くんをハイライトしたもの

実は実際に本当にモテるのは、もちろん陽キャの上位10%もそうなのであるが、あとは60%にいる陰キャイケメンなのである。女性から見えていないというのが誤りなのである。正直、10%の陽キャイケメンより、60%の方がタイプという女性も普通に存在している。
 ここで、具体的に陰キャイケメンとはどういう人物達なのかの例を紹介する。

分かりやすいのはこちらのお二人かなと思う。どちらも女性から見たら大変な美形で、特に水川かたまり氏は、私が女性フォロワーに写真を見せたら「え?女性ですか?」みたいに反応されたので、男性には理解できないくらい美形に見えるようである。もちろんそれで交際するとか好みかどうかはやはり別のようなのだが、水川氏は実際には結婚は二度目をなさっていて、お強い方である。ただ、栗原類氏も水川かたまり氏も、男性コミュニティでの評価はどうだろう。私の方からは明言はしないが、たとえば工場労働などをしていた際に、この二人が男衆のなかでどのくらいの層に位置することになるかは、言うまでもない。

5. 陰キャイケメンの生態

陰キャイケメンはなかなか男性には見えない。むしろ私もこの概念に気が付いてから、改めてどういう生態か、そしてどのように生きているのかを検証してみるところであった。
 陰キャイケメンとは言え性格の問題があるので皆が皆、モテると決まっているわけではないのだが、男性とあまり仲良くできていなかったり、カーストが下であっても女性からの外見評価がとても高いことをベースに、女性とはとても仲良く、幅広い交流関係を築いている例などがある。しかし特質すべきところは他の男性に実はモテることを隠していることである。
 何人かの陰キャイケメンと認定できそうな男性に取材をしてみたところ、他の男性に自分が異性に困っていないということは到底言えない。もしも言った場合にどんな目に合うか分からない、ということを懸念していた。つまり男性はカーストが高い人間がモテる、またはモテることを認めているので、カーストが低い陰キャイケメン(他の男性からはチー牛とほとんど見分けもつかない)が、実は一定層の女性からモテモテであって、下手したら複数の女性と関係すら持っているかもしれないみたいなことがバレてしまうと、その男性コミュニティから追い出されたり、または物理的に殴られたりする心配をするのである。また同性の友人に実は自分がモテていること、または彼女がいることなどを教えてしまうと、次の日から口もきいてもらえなくなったり扱われ方が露骨に冷たくなるなどが現実に起こりうる。陰キャイケメンは男性内で評価が低いし、外見が実は良いことも男性自体が実感できないためにモテるということに対して、男性コミュ内で納得が得られていないということで、モテるなんてことがあったら分をわきまえずに調子に乗っているイライラさせられる存在としてさらに厳しい境遇に追いつめられたり、場合によってはそのコミュニティから追放される懸念もある。そんなわけで、日ごろは一切、モテていることを男性に隠し、そして他のモテないチー牛などの群れの中で神妙に生活しているということになる。ただ男性陣がいないときに、彼らの知らないところで女性(たち)と遊び惚けているかもしれない。そんなこともあって、猶更男性には中々実態が分からない人達であった。外見がそもそも男性から見ると、チー牛と見分けがつかないし。
 一つ大きな誤解もあって、男性コミュニティではモテるとカーストが上がるという迷信があるのだが、とてつもなく大きな間違いである。女性と交際してカーストが上がれる男性は、あくまで男性コミュニティが認める手続きで努力をしたとみなされて、それから交際相手を得た場合である。つまり男性が想定するスポーツを頑張ったり、喧嘩が強くなったり(最近はこの指標が使われる場所は減っている)、組織で出世するという成果(accomplishment)が明示されることが条件である。男性が認める成果を出していないのに女性からモテるとしたら、それは不正な状況で女性と関わってるとみなされる。だからイライラして、モテると口にした陰キャイケメンに制裁を加える可能性があるのである。男性はそのような人種なのである。
 よって、実は男は女が分からず、女は男が分からないのが普通、すなわち異性は永遠の謎、みたいなこともよく言われるのだが、陰キャイケメンは、男性より女性の方が識別できるし、はるかに知っていることも多いのである。陰キャイケメンは男性には見えず分からない。でも女性はチー牛の群れを見た時、その中に美形の陰キャイケメンがいたら、すぐに見抜ける。「あれ、イケメンが混ざってる」と。女性は男性と全く物の見方が違う。見る指標も異なる。だからこそ、男性には見えないものが見えるのである。ただし逆もまた然りかもしれない。
 ここで本稿を読んでいる読者の中にはお気づきの人も出てくるかもしれないが、陰キャイケメンというのは、異様なほど男子にモテる女性コミュニティでは下位の地味女子・芋女子みたいなものに当たる。つまり、異性から見たら大変評価が高いが、同性からみると大変評価が低い人達というのがまさしくいるということである。まあ「なんであの子がイケメンの彼と」みたいな話は漫画やドラマのような創作物ではしばしばみられるシーンかもしれないが、実際には男性版のそれもありえることで、陰キャイケメンが実はこっそり女性とうまく付き合ったり楽しく遊んでいるということではある。ただ上に書いたように同性に明示すると制裁されてしまう。そんなわけで今でも隠れている陰キャイケメンは多く、議論されにくかった属性の人達ということであった。

6. 終わりに

実はイケメンのところで紹介した吉沢亮氏あたりも、よく見ると陰キャイケメンの方に近い存在かもしれない。彼は女性からは容姿を絶賛されているが、私を含む男性陣が彼を美形だと思えるのはもしかしたら女性が絶賛するという名声が可視化されているから「そうなんだ」と思うだけであり、自分で判断できていないところがある。そしてもう一つ重要なところがあって、吉沢亮氏は芸能人としてはやはり成功しており主演作品などもあり、仕事人として業績がある。男性は、あくまで業績がある人がモテるというのであれば差支えないので、イケメンであることをもはや疑いなく受け入れてしまっているのであろう。しかし、そもそも中性美形みたいな男性は、それだけは全然評価されない。実際にそれしかないならば男衆の中では確実に下位カーストであるということは重要な現実である。ただ陰キャイケメンの中にも、一生懸命働いて年数を経れば社会的に高い地位(例えば課長、部長やそれ以上の地位など)に就くこともあり、そうなってくると業績が出来るわけだから、ようやく男性カーストの中でも認められてきて、そして実は女性にモテていたとしても”不問”になるのである。まあ順番が逆だが「彼は部長で、よく見れば男前だもんな」みたいな話にやっとなるということである。
 陰キャイケメンがこれまであまり議題に上らなかった理由は男性から不可視化されている存在であることだけではない。おそらく女性にモテたいとかそういう探求をしている人達(ナンパ師とかホストとか?)は、ひょっとしたら陰キャイケメンの存在に実はとっくに気が付いていたかもしれないし、または彼ら自体にそういうタイプも混ざっているかもしれない。ただし、陰キャイケメンについて女性が褒める属性が「肌が綺麗」「目が綺麗」とか、先天的な外見の整いだったりすることもあり、美容整形という手もあるのかもしれないが(全身の肌が綺麗になるのも美容整形できるのかなどはあまり知らないが)、基本的には見習えないというか、努力しようにも伸ばせない属性で彼らはモテているのもある。なんとも先天的な属性で異性を惹きつけるとは、本当に男性でありながらあたかも女性の様な強みを持っている所があり、言い換えると男性のように努力して何かを達成するという過程から反しすぎている存在であることから、「キミも陰キャイケメンになれる」みたいに、陰キャイケメン的なことは商売に持っていくには不適なんだろうなと勝手に思っている(異論はあり得ると思うが)。
 まあ本稿は学術的な話ではなく、陰キャイケメンという概念を思いついたというか気が付いたので、既にこの言葉自体は存在していたかもしれないが、改めて発信するということで独自にこれまで男性・女性両方に取材したことなども元に、考えたことを書いてみたというところなので基本的には無料でここまで読むことができる。まあこういう与太話みたいなものをもし読者が今後も書くのを期待するなどの気持ちがあれば、下に投げ銭の欄をいれておくのでこの先もこういう与太話記事の執筆を期待するならお願いしたい。有料部分を見ると、投げ銭を入れた人へのお礼が書かれている。

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