「還元率20%」という言葉のマーケティングがゲームチェンジを引き起こす

コード決済サービス各社が火をつけた還元率競争。

「20%」が限界かなと、暗黙の基準として利用者の中に根付いています。


これまで、共通ポイント業界では、楽天スーパーポイントやTポイントを代表として「ポイント10倍」という表現をよく使っていました。いや、今も使っています。
「基準となるポイントは何ポイント?」というのが、わかりにくい制度になっていて、なおかつ、「1ポイントいくらなの?」というのもわかりにくい制度になっています。自ら2重にわかりにくい構造を作りだし、ポイントをもらう側も理解不能な状況でした、いや、今もそうです(問い合わせセンターに問い合わせてもわからないことすらあります)。

今回、「Tポイント10倍」というキャンペーンが打たれていますが、これは還元率10%ではなく、還元率5%。つまり、元となるポイント還元率は0.5%。
あたかも0.5%が共通認識のように、共通ポイントサイドの打ち出しは「10倍」表記。

楽天のSPUも同じような状況で「+1倍」という表現が使われています。+1倍?と、なるのが、一般消費者。

という背景の中、「還元率20%キャンペーン」という、具体的な数字を出し、どれぐらいお得になるか計算しやすくした言葉のマーケティングは秀逸でした。
クレジットカード業界でも、SMBCやイオンカード、JCBは20%還元にいち早く注目をして20%還元キャンペーンを開始。

実際、発行にかかっているプロモーション費用と20%還元キャンペーンの費用を天秤にかけた時、「20%還元キャンペーンの方がユーザー獲得効率(CPA)いいよね」となり、その方向性にアクセルを踏んでいるのでしょう。「20%還元キャンペーン」には還元の付与に上限があります。つまり、上限ポイントまで使われても、その上限で「放出する金額」が止まれば、新規ユーザー獲得効率は上がるという試算です。
厳密に言えば、全員がポイント付与上限まで利用するとは限らず、さらに言えば付与されたポイントを利用できずに失効してしまう人もいるので、失効率も加味すれば付与上限額が許容獲得単価(CPA)とイコールにはならないと想定されますが。

「計算しやすい!」というのは、ずっと消費者は思っていたのに、そこをくつがえせず(景表法的な制限の認識もあったでしょう)、一気に言葉の表現を変えて利用者を広げたLINE PayとPayPayは、マーケティングで先行していますね。

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