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【2023TOP10Movies】上半期振り返り回

地上で湿度に溺れそうになりながら、そろそろ夏も本番だなぁと感じている日々です。
つまり今年も半分が過ぎ去りました。
今年は(今年も)ドラマシリーズも楽しかったので、例年ほど映画を観れていない気もしますが、思い返せば好きな雰囲気の映画が多くて良い年だったような、年齢がマッチし出しただけなような。
これを読む人それぞれのTop10を聞いて、話して、いろいろ振り返ってみたいです、ね。

ということで2023年公開新作映画の中からベスト3と、それ以降順位なしでTop10をご紹介したいと思います。

2023年上半期ベスト3

#3  EO

これが前面にプリントされたTシャツを探し回って買いました。

イエジースコリモフスキ監督最新作“ロバの映画“。濱口竜介に「その人自身を映画と思えるのは彼だけになってしまった」と言わしめるスコリモフスキが撮ったロバのロードムービーは「バルタザールどこへ行く」から影響を受けて制作されたそう。
アート性の高い音響と映像がとても好み。一番好きなシーンはお皿を割るところ、次点で森の中でレーザーに包まれるところ。
Tシャツも買ってしまったし、今年はEOと一緒だなぁ。まともな感想を言うとすると、動物を主役にすることでより輪郭が鋭くなる感情の様相というものはまさしくこの映画の狙いであったが、最高だった。もっと観たい。あの映画もあの映画も、動物を主役に撮り直してくれないかな。

#2  コンパートメントNo.6

オリジナルのポスターもこのシーンなんだね

北欧映画の上半期ベスト。音楽・映像・役者の雰囲気・脚本全てが好み。北欧映画特有の大胆さと儚さを常に帯びつつ、物語は明るい方に進んでいく。
「オリマキの人生で最も幸せな日」で鮮烈なデビューを飾ったユホ監督の印象からは、いい意味で異なる新しいインパクトを得ることができたのも良かった点。リョーハがたまらなく愛おしいし、久々に聴いたDesirelessの「Voyage voyage」を鬼リピしてしまった。
次の一作も同立2位としているが、好き度で言えばこちらの方が上かなぁ。

#2  フェイブルマンズ

水平線を上か下に。

水平線が真ん中にある画は退屈らしい、ということを学びました。本当にそうな気がする。
そんな感じで、これまでの好きになる映像・画の理由が少し結びついたなぁ、というのはおまけの感想。
クリエイティブの元来もつ破壊性に、臆することなく言及した本作はこの時代において非常に意義のあるものになったと思う。スピルバーグの自伝作品であるということも、ノスタルジーに消費されることなく、むしろ映画としての強大さを支える部分に昇華されていた。
ちなみにこれを観てしばらくして、私はSNSをやめることにした。

#1  after sun / アフターサン

アフターサンはサンオイルのことだそう。

映画は撮るより観ていたいし、関わるとしても撮ることはないよな、と思っていたのにもかかわらず、(あぁ、この画を撮ってみたい)と胸が掻き立てられるようなシーンがたくさんあった。
映画は撮ることができないので、代わりに後日、写真をたくさん撮った。
父と過ごした幼少期の一夏を、今、父と同じ歳になった娘が振り返る。ビデオテープで繋がる過去と現在を背景に、描き出される『若くして父になること』の苦悩が、このところしばらく気になっていたことを表現していて刺さってしまった。
とはいえ1位の理由はやはり心地良すぎた画と、90sの音楽と、ポールメスカル。
なんでセクシーなんだろう。


ここから順位なしでTop10になります。今回は引き続き考察的な要素はいれません。なにがよかったか、好きだったか、それくらい。
そのあと最後のほうに配信、ドラマ、観れなかった期待作などなどカンタンに。

#5  ボーンズアンドオール

ルカグァダニーノの新作である今作はやっぱり外せない。カニバリズムとラブロマンスというヘビーなテーマをとても美しく、生々しい体温で描いていて印象的だった。ラスト、なんで暖かい部屋で、愛のある終わり方なんだろうと泣いてしまった。ティモシーは好みじゃないけど本当かっこいいよね。たしかに、そういえば父親役くらいしか好きな男性像がいなかったな。順位下げようかな。

#6  別れる決心

韓国作品、もう何年もエンタメ産業そのものがすごいクオリティと勢いで突き進んでいるけれど、今年の食らった1作がこの「別れる決心」。
もう早速Amazon primeで配信が開始されているところも流石。
映像の質感・流れ方、骨太な脚本、どれをとってもすごくウェルメイドな仕上がりで映画を観たなという感覚を得るには非常に向いている。特に好みではないので迷ったけれど、色々比較すると結局はしっかりランクイン。

#7  すべてうまくいきますように

フランソワオゾン監督新作、1本目。
『今年最も美しかった映画』とは、まさしくこの作品ではないだろうか。
安楽死をテーマに作成された本作は、近年のフランソワオゾンの作風を引き継ぎ(後述の「苦い涙」は全く逆)、非常に繊細な表現をあくまで共感しやすい生活の姿の中で描き出していた。
父と娘、母と娘、母と父、父、娘、母、、、家族という枠組みを中心に、いろいろな思索を巡らせてくれる一作だった。

#8 TAR

もはや説明不要。今年の上半期随一の超大作。
とてつもなくハイコンテクスト。作品の持つ質量が重く、鈍く、正直なところしんどさすら感じる。(すら、とは言ったものの1回目はしんどさが大半だった。)
キャンセルカルチャーの描き方は最近の世情を鑑みると、色々思わされるところがあったり、そもそもこのTARに対する世の中の消費の仕方も、全てが嫌になりそうになる。
私自身キャンセルカルチャーについてははっきり否定派なので、作品全体としてあまり肯定的な印象はないのだけれど、Top10を作ろうとなれば必然的に入ってきてしまった。良作は口にも脳にも苦い時がある。

#9  苦い涙

フランソワオゾン監督新作、2本目。
「すべてうまくいきますように」に比べ、以前のオゾンの作風に近く(よく言われているが「焼け石に水」的な要素が多い)、アート性やクィアカルチャーの側面が色濃く出ている。
音楽も表現も全部が好きだが、やっぱり決め手は主演のドゥニメノーシェ。
セクシーがすぎる。こんなんもう、たまりません。ありがとうございます。

#10  Rodeo

『今年の作品で一本勧めるなら?』と聞かれれば、この「Rodeo」を挙げたい。
公開期間もあまりなかったし、主演も監督も長編作品初挑戦。広告もほとんどなかったのではないか。
男性中心主義な世界の中で、最高にクールに生き抜くジュリアを通して得る興奮は唯一無二。新時代のアイコンムービーになる可能性すら感じる。


観れてない中でTop10に入りそうな作品

・To Leslie
・カードカウンター
・小説家の映画

Top10軸とは別で印象深い映画

・She Said (これTop 10と迷いました)
・エンパイアオブライト
・レッドロケット
・トリとロキタ
・Girl Picture
・帰れない山(これもTop 10と迷いました)
・それでも私は生きていく

配信で記憶に残った3つ

・TAKE CARE OF MAYA
・ビューティフルライフ
・Hunger

配信ドラマで記憶に残った3つ

・Sworm
・The IDOL
・ガンニバル


なんやだらだらの忙しくて、7月の観ておきたいズがあげられてないけれど、下半期も映画たくさん観ていきたいね。
おわり。

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