やまのいはるえ

鎌倉在住のライター。得意分野はインタビュー、ライフスタイル、建築、インテリア、ワイン、…

やまのいはるえ

鎌倉在住のライター。得意分野はインタビュー、ライフスタイル、建築、インテリア、ワイン、フード、旅など。植物と器を少しずつ集めています。自由に旅ができる世界が戻ってきますように。https://www.instagram.com/harueyanoiwriterworks/

マガジン

  • おじさんみたいなおばさんの日々雑感。

    あなたが男性だったら付き合いたい。とおばさん友達に言われる私。おばさんを通り越してもはやおじさん。なのに女子力を高めようと悪あがき。運転と料理が得意で地図が読める、おじさんみたいなおばさんの日々雑感。フリーライター山野井春絵が超不定期にお届けします。

  • a beautiful green life

    きれいで愛らしいもの、生活を楽しくするヒント、おいしいもの、笑ってしまうこと。鎌倉暮らしで見つけた、ささやかなよろこびを綴ります。

最近の記事

失われたトキメキを求めて

トキメキとは何だったか 子どもの頃、いろんな空想を楽しんだ。 空想しすぎて、怖くなることすらあった。 いい空想をすると、ふと頭の中ので何かが弾けたような、光を見出したような、パーッと開けたような気持ちになることがあって、いや、こんな書き方ではまったく表現しきれていないのだけど、とにかく、ある意味キマったみたいな状態になることがたびたびあった。 麻薬って、そんな感じになるのかな、と思ったりする。パッといい気分になる。子どもの頃は、実に頻度高く天然でその状況に入ることができて

    • 島田由美子さんのハルマキ

      10年近く働いた銀座は、今でも大好きな街。 あちこち行きつけの店があったけど、もうずいぶんなくなってしまった。ひとりでもふらっと飲みに行ける店といえば、蕎麦屋と三州屋、そしてバーならもう、この店だけだ。新宿とか恵比寿とか、少し離れたエリアで仕事をしても、つい銀座まで行って、一杯飲んで帰りたいと思ってしまう。 銀座八丁目にある「ローゼンタール」。ワイン雑誌の編集者だった島田由美子さんがひとりで切り盛りする、ドイツワインと野菜料理のこぢんまりしたお店。 島田さんは、味のエッセン

      • 私的なイタメシヒストリー

        PR会社からプレスリリースがメールで届いた。「カプリチョーザ創業45周年」。ハロウィンにはこんなメニューが出るよ、というお知らせだった。久しぶりに行ってみたい!と思った。 チェーン店が嫌いではない。個人店とは違って、たくさんのセクションと関係者たちの思惑をくぐり抜けて店頭に出されるメニューには、「よく頑張って日の目を見たね」と哀愁すら感じてしまう。 カプリチョーザが最高にイケていたあの日 カプリチョーザとの出会いは、遡ること30年、私は大学生だった。 大人気で、いつも行

        • 本当の「一生モノ」とは何か。

          「一生モノ」とはよくいうけれど、本当の一生モノとは、実は意外と思いがけないものだったりする。 「一生モノだ、思いきって買おう」なんて大枚をはたいたモノに限って、簡単に手放したりする。 例えば、メゾンブランドのバッグ。 私はバブル崩壊直後に大学生だったので、まだまだ日本にはブランドものが溢れていた。シャネル、ヴィトン、プラダ、今にしてみれば、なぜ大学生があんなものを持っていたんだろうと思うけれど、バイト代をつぎ込んで色々買ったものだ。「一生モノだから」と言っては。 社会人にな

        失われたトキメキを求めて

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        記事

          桜咲く、いまだ人付き合いにモヤる春

          近所のお寺では毎月一度、骨董市が開かれている。愛犬を連れて久しぶりに顔を出したら、もはや桜が咲き始めていた。早すぎて、気持ちがついていかない。 今年の私のテーマは「ドライに生きる」なのだけど、なかなかうまくいかない。山羊座A型はちょっとやそっとではドライになれないのかもしれない。人付き合いに関してあれこれモヤっては、ああ、そういうことかと過去の自分に気づく。相変わらずそんなことをして、早すぎる春にもがいている。 もう20年以上前のことだけど、一人で行きつけの飲み屋に行った

          桜咲く、いまだ人付き合いにモヤる春

          大寒波と赤いダッフルコート

          ウチの柴犬(もうすぐ2歳)はコタツが大好きで、一日中コタツにもぐり込んでいる。コタツで丸くなるのは猫だけだと思っていたが、違うみたいだ。 不思議なのだけど、顔だけ突っ込んでいることが多い。こんなふうに、頭隠して尻隠さず状態でヘソ天している。かわいいなあ。 先日、「最強寒波がやってくる」とテレビやラジオのニュースに煽られて、ちょっとびくびくしながら外へ出てみると、お昼前には雨上がりの蒸し暑さすら感じた。 近所の小さな江ノ電の駅では、日向ぼっこができるほどの気温。分厚いダウンコ

          大寒波と赤いダッフルコート

          半世紀の記念日に

          今日私は、50歳になった。 丈夫に生んでくれた両親に感謝をする日だ。 なるほどこれが50歳かと思う。数年前にレーシックを受けて快調だったが、だいぶ視力は悪くなった。老眼も入りはじめている。ふいに写真に撮られた横顔に愕然とする。重力には逆らえない。肌は不自然に隆起した部分が増えてきた。くすみも、まあ、酷い。白髪もやばい。腰回りについたチューブ。他にも肉体的な面でいえば、衰えた部分はたくさんある。 さらに気持ちの問題だが、昨年の夏は本当によくなかった。酷暑と湿気にやられ、更年

          半世紀の記念日に

          London boy& little girl

          ロンドンに憧れていたはずなのに 先日、90年代から活躍しているロック歌手(女性)のインタビューをしながら、ふと思い出した。そういえば、私も、MTV でロックに夢中になり、イギリスに憧れた少女時代を過ごしていたなあ、と。 レベッカの「London boy」という曲が大好きで、本屋さんで「地球の歩き方 ロンドン」を買ってきて、行きたいところに蛍光ペンで印をつけたりしたっけ。 学校の日誌に「私は絶対にロンドンへ行きます」などと書いて、担任から「がんばれ!遊びに行くよ」と返事をもら

          London boy& little girl

          ヨコスカで猫を拾った土曜日のこと

          先日、ドライブ中に友達M子が、“子どもの頃捨て犬を拾ったが、お母さんに「元のところへ返してらっしゃい」と言われて悲しかった”という話をした。実家はペット不可のマンションだったそうで、私は「お母さんがそう言うのも無理はないな」と思いながら聞いていた。でも彼女は自分の母親に、じゃあどうしようかと、いったん保護して、誰かもらい手を探すとか、保護団体を調べるとか、そういうことを一緒にして欲しかった、と言った。それもなるほどな、と思った。私ならどうするだろう。犬なら、まあ、飼っちゃうか

          ヨコスカで猫を拾った土曜日のこと

          「変なおじさん♪」は、おまじないだったのか。

          海散歩が心地よい季節になった。 8ヶ月になるわが家の柴犬を連れて、海へ行くのが楽しい。砂を掘って、波を噛んで、大暴れする犬。その様子を眺めながら深呼吸すると、スッキリする。 最近、海散歩にも増して気分が上がる行為を発見した。 「変なおじさん♪」ダンスである。 ある晩、キッチンで夕食の用意をしていると、夫がふいに、 「変なおじさん♪ ってどうやって踊るんだっけ?」 と声をかけてきた。私は手を拭いて、掌を二度叩いてから片手を斜め上に突き上げて、「こうじゃない?」とやっ

          「変なおじさん♪」は、おまじないだったのか。

          おもいでの……後楽園ゆうえんち

          ドームでインタビュー取材があるので、本当に久しぶりに水道橋へやってきた。取材スタッフと落ち合う前に、後楽園ゆうえんちを見下ろしながらお一人さまランチ。あ、後楽園ゆうえんちなんていわないのか、東京ドームシティというのか。 人影もまばらな遊園地を眺めながら、ふと思い出した。 愛知県出身の私は、中学生の修学旅行先は東京だった。今もそうなのかな。国会議事堂などを見学して、きっとお楽しみはディズニーランドなんだろうけど、あの頃は東京ディズニーランドができたばかりで、修学旅行先として

          おもいでの……後楽園ゆうえんち

          母の日前の、プチ家出

          わかってる、KNKだということは。 KNK 、つまり更年期である。生理も乱れ、ふと胸苦しさを感じたり、わけのわからないタイミングでカーッと腹が立ったりする。GWに食べ過ぎ飲み過ぎが続いたせいもあって、不調がさらに増していたかと思う。 母の日の前日、土曜に私はプチ家出をした。 なんのことはない、些細な理由で夫に強烈に腹が立ち、行き先も告げずに午後から出かけ、夕飯作りを放棄した。友人宅で夕食をご馳走になり、結局、江ノ電の動いているうちに帰ったという、それだけのことだ。 い

          母の日前の、プチ家出

          尾張の郷土菓子“オコシモノ”を初めてつくった日

          大人になって初めてつくったオコシモノ立春をすぎ、地元では親戚のおばさんたちが「オコシモノ」をつくると言うので、私もトライしてみることにした。 オコシモノとは、おこしもんとも呼ばれる、尾張地方に伝わる桃の節句の米粉菓子である。米粉に熱湯を加えて練ったら型にはめて成形し、色付けをしたのち、蒸し上げる。最後に水をかけると、表面にツヤが出る。 色付けは、食紅を水で溶いたものを筆で行うこともあるが、あらかじめ練った団子に食紅を混ぜて細かな色団子にしておき、それを型に組み入れるという

          尾張の郷土菓子“オコシモノ”を初めてつくった日

          コザクラインコのクレソン、秋の脱走事件

          ふと目を離したスキに・・・わが家の二代目コザクラインコ「クレソン」齢6ヶ月。なかなか人に慣れず、手を差し伸べればガブ!と噛み付いていたこの鳥も、このところようやく私たちを家族と認識したようで、手乗りになり、甘えて頭を擦り付けてくるようになった。まだ間違って噛むことはあるが、なんとか我慢できる程度の痛み。が、小学生の息子はそれが怖いようで、あまり積極的に触ることはない。 週末、紅葉真っ盛りの山中湖へ遊びにいき、コテージで友人たちと少し早い忘年会をした。もちろんクレソンも連れて

          コザクラインコのクレソン、秋の脱走事件

          「月曜断食」と「犬種」のお話。

          「月曜断食」で9ヶ月かけて5キロ減コロナ禍もまだ他人事気分だった今年の2月。なんとなく思い立って、流行りの「月曜断食」をはじめて、11月の現在、細かなアップダウンを繰り返しながら、5キロ痩せた。 「月曜断食」とは、メソッド本もあるし、雑誌でもかなり取り上げられているのでご存知の方も多いと思うが、簡単に説明すると、 月:水のみ 火〜金:糖質オフ、夜は野菜のみ 土日:好きなもの食べてよし というもの。食べる量とか、細かなルールはあるが、大体こんな感じ。月曜以外は、糖質の低い

          「月曜断食」と「犬種」のお話。

          沢木耕太郎さんは、なぜいつまでも若々しいのか。

          先日、執筆した沢木耕太郎さんのインタビュー記事がYahoo!ニュースで公開になった。コロナ禍について、また、東京オリンピックについて。ともすれば過激になりかねないテーマだが、世界中を旅した作家の目線はとても穏やかで、とかく相互監視に傾きがちな昨今の人々の感情を、「まあまあ、落ち着いて」と慰撫してくれるような内容だったと思う。 こんな時期だからこそ、ぜひ、多くの人に読んでいただきたいです。 さて今回は、沢木さんのインタビューという僥倖に恵まれたことから、少し考えたことがあっ

          沢木耕太郎さんは、なぜいつまでも若々しいのか。