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コロナ禍で売上が下がった乾物屋さんと売り上げが上がった乾物屋さん

 新型コロナウイルス感染症がまた拡大してきています。第一波の時はあれほど慌ただしく動いていた政府・行政も今回はほぼ無策状態。やはり第一波の際の休業要請に懲りてしまったのでしょうか。確かに経済へのダメージは大きかった。しかし、ダメージを受けたところもあればそうでないところもある。この差は一体どこにあるのか、先日考えさせられる出来事がありました。


乾物屋さんの売上減の理由

 仕事で、ある港町の乾物屋さんに立ち寄りました。何の気なしに、世間話の枕詞として僕は「コロナの影響どうですか?」と尋ねてみると、返ってきた答えは案の定「いやー厳しいね」というもの。そうでしょうねと思いながら詳しく話を聞いてみました。お店にはずらりと様々な乾物が並んでいて、香りだけでお酒が飲みたくなってきます。

 売上減の理由として、まず観光客が激減したことが挙げられる。それは確かにその通り。お店への来客者が減ったことによる売上減だ。しかし、店主が言うにはこれはそこまで大したことがないとのことでした。
「お店を開けていればそれなりの売上はある。前年比でもマイナス額はそこまで大きくない」

 じゃあ何が?それがもう一つの理由でした。2月以降、卸売先からのキャンセルが相次いだというのです。これまで取引のあった卸先との取引が事業の柱だったとのこと。原材料は次々と港から取れるので最低でも半年分は倉庫に眠っている。従業員もいるから生産を休むわけにもいかない。不良在庫だけが積み上がってく、そんな状況だと店主は開き直ったかのような軽い口調で教えてくれました。


売り上げが上がった乾物屋さんの戦略

 隣町に移動して、また乾物屋さんに入りました。特別乾物が好きなわけではなく、純粋に仕事として、です。そして、また「コロナの影響どうですか?」と尋ねてみました。この乾物屋から返ってきた答えは意外なものでした。

「実は、そんなに悪くないのよ」

 ええっ!?と僕は驚きを隠せませんでした。何せ、数時間前に同業者から「厳しい」と聞かされたばかりだったからです。
「ほら」
と言って見せてくれたのは注文書。
「春の仕入れ分で加工できなかった注文、秋の予約分としてこれだけある」
その謎を店の主人はこう教えてくれました。
「コロナだってね、家にいたって食うもんは食うし、飲むもんは飲む。ネット注文が止まらなくて」と。
 そうか、ネット販売の差か。先に訪れた乾物屋さんでは店頭販売と卸売販売だけでした。しかし後から訪れた乾物屋さんは店頭販売の他にネット販売に力を入れていたのでした。


変化の波に乗る

 この二つの乾物屋さんの話を聞いて、「生き残る」事業者の差は何か考えさせられました。確かにコロナウイルスの影響は大きいものです。事業を行う環境が大きく変化しました。オリンピックの中止など社会への影響も小さくありません。ウイルスではありますが、ある種災害のようなものです。災害をコントロールすることはできません。粛々と受け入れ、立ち直り前に向かって進んでいくしかないのです。
 この変化にうまく適応していくのかどうかが、今後生き残れるかどうかの分かれ道なのだと感じます。

「売り上げが下がるのは仕方ない」
「政府が何もしてくれない」

 そんなふうに拗ねていても誰も助けてくれません。ニュースを見てわかるように、政府の腰は非常に重い。もし支援策が打ち出されても届くまで生き残っていられるかどうか。息が止まるのをただ待つのではなく、自分たちで動くしかないのです。
 ネット販売に活路を見出した乾物屋さんのように、コロナが例え荒波だったとしても乗りこなしたもん勝ちです。最初の波に乗れなくても、次の波、また次の波を待って変化の波に適応して乗っていく、これが大切なのだと感じました。

ありがとうございます!これを励みに執筆活動頑張ります!