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30代以降の男性が無気力無行動に陥りやすい科学的な理由

最近よくみかけます。

・カフェで外をながめてぼーっとしているひと。
・電車でスマホゲームに熱中しているひと。
・スーパーで買い物をしている妻のあとを黙ってついて歩く金魚のフン男性。
・公園で遊ぶこどもと離れたところでスマホを眺めている父親。
・すぐ感情的になり周囲のひとを困らせてしまっているひと。
・仕事いがいに趣味がなく無意味に残業しているひと。

みなさんはこのどれかに当てはまる行動をしていますか。もしくはしたことはありますか。わたしはこのような行動をしているひとを批判しようとはしません。しかし、あることが心配でなりません。このままの生活を繰り返していけばどうなっていくか目に見えています。

その心配であるものの正体。それは「前頭葉の衰え」です。


30代男性の前頭葉が衰えはじめている

わたしのまわりであきらかに増えてきているひとびと。それが「前頭葉が衰えはじめているひとびと」です。

先ほど例であげたように、感情的で無趣味、無気力、無行動の30代男性があきらかに増えてきいるのです。おどろくことに20代ではあまり見かけないのですが、30代後半ぐらいからが顕著なのです。


面倒な雑用が減ってくる30代後半の男性

20代はやることがとても多い時期ですよね。仕事も上司から依頼される雑用も多い。しかも、既婚者であれば子育て、妻のフォローのための育児。何かと手や頭を必死にうごかさないとまえに進まない雑用が多いのです。

わたしも20代のときは、家庭と会社でやるべきことがあまりに多く、寝る時間が極端に少ないという日々がつづいていました。とくに出産後にかんしては家事育児のわりあいが増えるため、超多忙をきわめましたね。

しかし、30代も後半になると子育てもひと段落、もしくは手がかからないようになる。そして、会社では部下をつかう立場になる。ようするに雑用といわれる作業がとても少なるなるのです。

会社では中間管理職という要職につくので、ストレスもプレッシャーも増すばかりで大変ですよね。しかし、細かい作業などの雑用は部下がやります。そして、子供にてがかからなくなれば、家庭での家事育児の割合は減っていく一方になります。

実は、その「雑用」が減るということがおそるべきことを招いているのです。それが女性ではなく「男性」に多いのです。


雑用が減るとおとろえる「前頭葉」

脳の一部に「前頭葉」があります。みなさん聞いたことがあると思います。しかし、この「前頭葉」がどんな役割をになっているかまで正確に答えられるひとはすくないのではないでしょうか。

この前頭葉とは、「ひとをひとたらしめ、思考や創造性をになう脳の最高中枢である」のです。どういうことかというと、「我慢する力」、「行動する力」、「こうありたいと自分の未来を想像する力」なのです。

例えていうと、「将来、自分で居酒屋を経営したい。そのために大好きな酒とたばこをひかえてお金を貯める。そして、経理と料理の勉強を仕事の合間で継続して努力をする」ということです。

これは動物にはできません。ひとが動物と違うところの大きなところがこの「前頭葉」なのです。

しかし、この前頭葉はあることをしないと機能がおとろえていくのです。それは「雑用」なのです。じつはちょっとした家事などの雑用をしているとき、この前頭葉は活性にはたらいているのです。

脳は使わなければ機能が衰えていきます。「廃用性委縮」ということばを聞いたことありますか。廃用性委縮とは、使わなくなったカラダの機能は衰えるということです。尾てい骨は「猿人だった頃にあったしっぽ」のなごりですよね。使われなくなったものは衰えていくのが生物なのです。

30代後半の男性は、この「前頭葉を活性化」させるためにとても重要な「雑用」の割合がおおきく減ってくるときなのです。20代では活発に働いていた「前頭葉」が30代に入り、徐々に使われなくなり衰えていくのです。

それに加えて、現代社会はただでさえ便利ですよね。食事はコンビニやスーパーで済ませる。洗濯も全自動。さらにはお掃除ロボット「ルンバ」まで。本来、手とカラダと頭をつかって当然のようにおこなってきた「雑用」がどんどん減ってきているのです。


「前頭葉」が衰えるとどのような悪影響がおきるのか

じつは前頭葉が衰えると大変なことがおきてしまいます。まわりの家族や友人はきづいているのに、本人だけが気づかずにいるのです。

①誘惑に弱くなる

酒やタバコの量が増える、スマホをみて時間がすぎてしまう、ラーメンやファストフードを良く食べるようになる、ゲームばかりしてしまう、休日はダラダラして家から出ない。このようにちょっとした誘惑さえ拒むことができないようになってしまいます。

本当はやらなければならないことも、横からスッとはいってきた誘惑が勝ってしまい、やるべきことがなかなか進まないという状況になります。家で家事を手伝わずに黙々とスマホでゲームしている既婚者の方は特に要注意ですよ。

②行動力が弱くなる

家族に期待されている家事、将来を考えたら今勉強をしておかなければならないこと、家族を旅行やイベントなどに連れていくこと、交友関係を広める深めるためのコミュニケーション、資産運用。

前頭葉がおとろえると、こういった理性的な行為にたいする行動力が弱くなります。前頭葉はインプットされた情報とすでに記憶されている情報をとりまとめ、思考や行動の組み立てをおこない、運動野へ指令をだすのです。

したがって、おおくの知識をもっている人でも、前頭葉が衰えていれば、行動の計画が立てられず行動することができないのです。逆に言えば、あまり知識がなくてもこの前頭葉の体力があれば、たやすく行動へうつすことができるのです。

③将来こうなりたいと描くチカラが弱くなる


「前頭葉」がおとろえることで、将来こうなりたいと「望むチカラ」が弱くなってしまうのです。若いころは「将来、田舎に移住して会社を立ち上げ、地方を活性化させるためのソーシャルビジネスをやろう」とおもっていたのに、30代後半になり前頭葉が衰えてくると、その将来を自分の理想をえがくことが出来なくなってしまうのです。

じつは「前頭葉」がおとろえることで一番危険なのがこの「望むチカラが弱まる」ことなのです。

目標があることで、我慢して努力することができるのです。しかし、その目標すら描くことができなくなると「ヒト」として創造的に生きることがもう出来なくなってしまうのです。

そうなったひとをわたしはあえて「オヤジ化」と呼びます。女性の場合は「ババア化」ですね。

目標もない、我慢して努力することもない。ただただこころに沸き起こった誘惑という感情にしたがっていきる「動物」になってしまいます。本来の「ヒト」としての機能が損なわれてしまうのです。

「前頭葉」をおとろえさせない3つの雑用

ここまで前頭葉がおとろえることでの影響を紹介してきました。しかし、これらにあてはまる方でも、「オヤジ化・ババア化」を脱する方法があります。まだ間に合います。

そもそも、前頭葉の基本的な機能は「選択」、「判断」、「系列化」です。複数の選択肢のなかから最適なものを選びだす「選択」。その選択したことをどう処理するかの「判断」。そして「選択」、「判断」をならべていき、思考や行動を組み立てる「系列化」。

これをさまざまなレベルでおこない、前頭葉からの指令によってカラダを動かしていくというのがわたしたちの活動の大部分なのです。つぎに紹介する「雑用」は、その「選択」、「判断」、「系列化」がバランスよく含まれている活動のため、効率よく前頭葉を鍛えることができるのです。

料理

料理をする場合、まず「選択」からはじまります。なんの料理を作るのか。肉、魚、野菜など多くの食材から「選択」という行為からスタートします。そして、それらの食材をどのように調理するのかという「判断」をします。どのように切るのか、蒸す、煮る、焼く、揚げるなどの調理方法も様々です。そして、その選択と判断を効率よくならべていかなければ料理はできません。

さらには、盛り付けや後片付けも同時進行をしていかなければなりません。優秀な女性のかたがたは料理をしながら、掃除や洗濯などもされるそうです。こういうことをテキパキとできるということは「前頭葉」の機能がたかいということになります。

片付け

前頭葉が著しく衰えているひとは部屋の片づけができません。部屋の片付けも「選択・判断・系列化」の連続です。

散らかっている部屋のどこから、何から片づけていくかという「選択」。ひろったものをしまうか捨てるかという「判断」。そして、片づけるモノをどこにどのようにするかという「系列化」。

部屋の片づけは、前頭葉をフル回転させておこなう効果的な雑用なのです。

新しい雑用にチャレンジする

長年、料理や掃除などの家事をしていると、「選択・判断・系列化」をその都度おこなわず、反射的に行動できるようになるのです。そうなると、前頭葉もあまり使われなくなってきてしまいます。

脳にはあたらしい刺激が重要です。したがって、週に1回は新しい料理をつくってみる、部屋のプチ模様替えをしてみるなど、新たな取り組みも行っていくと前頭葉の活性化につながります。

さいごに:「オヤジ化」は自分じゃ気づきません。言われるまえに「脱オヤジ化」しましょう

ざんねんなことに、「オヤジ化」してしまっているひとは自分が「オヤジ化」していることにあまり気づいていないのです。なので、「オヤジ」と言われて顔を真っ赤にして怒るひとも多いでしょう。

しかし、30代の男性より「オヤジ化」がものすごいスピードで始まっているのです。脳の衰えは決して待ってくれません。とにかく鍛えるしかないのです。とにかく「前頭葉」の衰えはとめましょう。


実体験:わたしの衰え過ぎていた前頭葉(当時34歳)

じつはわたしも30代前半のとき、この「前頭葉の衰え」を体感しました。会社では30名近い人員のチーフマネージャーをしており、多くのやりがいある仕事をこなしていました。

しかし、家ではまったくやる気もなく、ダラダラ過ごす日々が続きました。将来の目標も「出世する」という漠然としてものしかなく、そのために努力しているということもない無味乾燥な生活をおくっていました。

そんな前頭葉衰えの日々の終止符をうった出来事があったのです。ずっと前から妻から頼まれていた簡単な雑務を1ヵ月近くも放置していました。忘れていたのではなく「やる気」になれなかったのです。

毎日妻からお願いされていたのにも関わらず「忙しい」と言い訳をしてやらなかったのです。結果として、本来もらえるはずの福利厚生手当をもらうことができなかったのです。

妻からはめちゃくちゃ怒られました。でも怒られるだろうというのは分かっていました。でも全くやる気になれなかったのです。その時のわたしは前頭葉の衰えた「オヤジ」でした。

そのときに「このままではだめだ」と奮起して、多くの書籍を読み、どうすればこの状況を抜け出すことができるのだろうかと考えました。おそらく鬱病も患っていたことでしょう。

しかし、たどり着いたこたえは「前頭葉の衰え」でした。その日から「前頭葉に効果がある」とされている行動をとるようにしました。部屋の片づけ、洗濯、料理、買い物など、前頭葉がもっとも活発にはたらくことを積極的にこなしました。

最初はメンドクサすぎて毎日「ラクしたい」とおもっていました。ですが、続けていくうちにすこしずつ前頭葉が鍛えられてきたことがわかってきました。そして、「将来こんなことがしたい」という思いが芽生えるようになってきたのです。自分の未来にわくわくするようになりました。

その時に描いた未来というのが「高知へ移住すること、ブログを書くこと、トレランで大会に出ること」です。そして、雑用で前頭葉を訓練したからこそ、そのわくわくした未来を実現しようと忍耐と努力を続けられるようになったのです。

今、こうしてこの記事を書いていると、あの時に気づけてよかったと心底おもっています。気づけて行動して自分の生活スタイルを変えることができたからこそ今の自分があります。

生意気にも脳の仕組みについて語ってしまいましたが、多くの書籍を読んで研究した実体験なのです。ぜひ皆さんにもこの変化を実感していただき、「脱オヤジ化」してほしいと思います。


参考文献リスト
・『子育ては心理学でラクになる』Daigo(主婦と生活社)
・『脳が冴える15の習慣』築山 節(生活人新書)

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