少し前に、私のメルマガ「週刊 Life is beautiful」にこんな質問が寄せられました。

ゴールドマンサックスがクラウド市場は将来的には1兆ドル市場になると予想しているようですが、まだシェア1位のAmazonですら、クラウドサービスからの売上は年間4兆円ほどです。

仮に、数年後に1兆ドル市場になればAmazonは0.4兆ドル（現在シェア約4割）ほどの売上をクラウド市場だけで獲得するのは可能なのでしょうか？

また、1兆ドル市場になるのにあとどれほどの時間がかかると予測しますか？

クラウド市場で急伸のマイクロソフト、アマゾンを撃破へ

とても興味深い質問なので、張り切って謎解きをしてみました。

記事中の、

「クラウド市場はまだ初期段階にあり、今後の巨大な成長余地が残されている。現在、クラウド上で処理されるIT業務の比率は約23％だが、この数値は3年後には43％に伸びるとされ、市場規模は1兆ドル規模に膨らむとゴールドマン・サックスは予測している。」

という部分だと思いますが、どうしても計算が合わないので、原文（Microsoft Is Winning The ‘Cloud War’ Against Amazon: Report）を読むと、以下のような表現になっています。

"The cloud computing wars are just getting started, with plenty of potential market share to still go around: Around 23% of IT workloads are now on public clouds, and that number will reach 43% in three years, according to the Goldman analysts. The booming cloud services market on the whole is likely to balloon to a valuation of up to $1 trillion."

そして、"up to $1 trillion" の部分には、「Inside Google And Microsoft's Race To Catch Amazon In The Trillion-Dollar Cloud」という２０１６年の記事があり、そこには、先に株価総額が $1 trillion になった Amazon を Google と Microsoft が追いかける様が描かれています。

つまりここの $1 trillion (１兆ドル）とは、クラウド・サービスを行なっている企業の株価総額の話であり、市場規模のことではないのです（つまり、日本語版フォーブズの記事の誤訳です）。

ちなみに、この質問は、私だけでなく高城剛氏、夏野剛氏、堀江貴文氏のメルマガにも投げかけられたそうです。