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vol.4 少しひねった物件取得方法

vol.3で、一般的な不動産取得方法を紹介した上で、「エリア相場に対し安く買う」方法の工夫を紹介しました。新築マンション、中古マンションにおいては、住まいサーフィンなどの有用サイトの活用や、中古は築古物件をボロボロのまま購入してリノベーションする方法に触れましたが、一般に広く出回っている手法のため、劇的にお得に物件を取得することは難しいものです。

今回は、あまり知られていない少しひねった物件取得方法を紹介します。少数派であまりなじみがないため不安がある方法なのですが、妥当性は高く、しっかり検討して勇気を持って踏み出すと、得られるメリットの多い方法です。私自身は現在(2022年7月)2つの不動産を保有、さらに1つを建築中ですが、全て以下のいずれかの方法で不動産を取得しています。マニアックなだけに相談できる専門家が少なく、実行には一定の勇気がいりますが、幸せな不動産購入をする上では必ず見ておきたいものなので、是非読んでいただけたらと思います。

①コーポラティブハウス

この方法は、複数人で共同で土地を購入して、そこに集合住宅を共同で建築し、それぞれが自分の住戸を取得する方法です。とは言っても、全てゼロから自分達でデベロッパーのようなことをするのは一般層には難しいため、コーディネーターという役割の会社がいて、旗振りをしてくれます。

コーディネーターは、取得予定の土地をもとに、設計士やゼネコンと協議して、建物の全体の設計と、ベースとなる面積表・価格表まで作った状態で、メール会員やWEB上で募集をかけます。その時点で「○○プロジェクト」という形で、全体のコンセプトや、模型写真、イメージパース、参考間取りなどが分かるので、希望に合うものである場合は、自分の取得する部屋を決めてプロジェクトへの参加を表明します。
参加者がある程度集まると、プロジェクトがスタートし、自分の部屋の中については設計士と一緒に、全ての内装を丁寧に決めていくことができます。

この方法のメリットは、通常デベロッパーが取っている20%程度の利益分がかからないため、相対的に安く物件を取得できることです。コーディネーターへのフィーはかかりますが、デベロッパーの利益ほどではありません。また、プロジェクトにかかった全ての費用が開示されるので、とても透明性があります。標準から変更して、自分好みの内装にした場合は、標準との差額をもとに精算します。

一点注意点としては、内装の素材にこだわりすぎてしまうと、内装費が上がってしまい、結果的に周辺相場並みの金額になってしまう点です。間取りも、自分の好みを極端に反映しすぎると、売りづらく貸しづらい物件になってしまうので、シンプルで好みの分かれない内装に仕上げるのがコツです。

私は自宅と、現在建築中のもう1件をコーポラティブハウスで取得していますがとても良い方法です。また後日別の記事でコーポラティブハウスについても深掘りしていきたいと思います。

■コーポラティブハウスを提供している代表的なコーディネート会社
アーキネット
トライクコンサルティング
NENGO
コプラス
Style-Labo
タウンクリエイション
ゼロワンオフィス

②借地権の物件

続いて、借地権の物件です。

借地権とは、その物件の建っている土地を所有せず、賃借して、地主さんにお金を毎月支払いながらその上の建物を使う、というものです。

SUUMOやHOME'S等で購入物件を検索していると、時々エリア相場に対して不自然に安い物件が見つかることがあります。気になって詳細に入ると「旧法借地権(残存期間○年)」や「定期借地権(残存期間○年)」といった表示がされており、その物件が借地権のものであることがわかります。
毎月地主さんに支払うお金を「地代」といい、マンションの場合は「管理費・修繕積立金」と別に「地代」の記載があるかと思います。

割安であるものの、ローンの支払いと別に「地代」がかかるので、実際に毎月支払う金額は変わらないように見えることもあり、「なんだ、結局同じぐらいの支払いか」と思うこともあるのですが、毎年1回、固定資産税を支払う際に、土地を持っていない分、土地分の税金がかからず、意外と地代分は取り戻せてしまう感じもあります。地価の高いエリアほどそのメリットは大きいです。そのため、結果としては割安に物件を取得できる方法と私は捉えています。

借地権の物件は、都心の好立地にも結構出てきます。都心部に残るお寺の周りなどに多く、プライムエリアでも背の届きそうな価格で不動産が取得できる点はメリットです。

一方、売るときは借地権の物件として相場より割安にしか売れないので、あまりメリットはありません。ただし、借地権の物件が特に実力を発揮するのは、都合で転居が必要になり、賃貸として貸し出す時です。好立地で賃貸需要の強い地域に借地権物件を持っていると、物件価格を抑えて買っている分、賃貸にしたときにローン金額を上回る賃料で貸せる可能性が高くなります。vol.2で書いた「いつでも売れる・貸せる物件を買う」の、「いつでも貸せる」においてとても強みがあると思います。

借地権のデメリットは、借地権の更新時期が近づくストレスとローンの付きづさらです。
「旧法借地権」「普通借地権」においては、30-50年程度を目安に更新する契約となっていることが多く、比較的借りている側が強いので、そのまま更新していくケースが多いです。
「定期借地権」においては、はじめから終わりの時期を決めて、70年が経ったら建物を解体して返却 または 建物を建てたまま地主に返す など色々なパターンがあります。解体して返却するパターンの場合は、70年経過時に多額の解体費用がかかるので、「地代」と別に「解体準備金」という形で毎月お金を積み立てていくパターンが一般的です。
借地権の残りの期間が短くなってくると、更新についてのマンション内での協議が生まれたり、ローンが付きづらいので売却がしづらくなるなど不安要素が多くなります。ひとまずは、借地権の残存期間が20年程度は残っている物件を検討していくのが安心かもしれません。

私は、神奈川県の葉山にある築古戸建を借地権で購入しました。海徒歩3分でありながら数百万円で購入できたのは借地権ならではです。(周辺相場では2,000万円ぐらいはかかる立地です)

③賃貸併用住宅

ひねった住宅取得方法の最後は「賃貸併用住宅」です。vol.4の文字数が増えてきてしまったので、賃貸併用住宅は次回また書きたいと思います。

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