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ライフリンク・メディア報道・コラムを読む①

新聞や雑誌にはコラムが掲載されます。テレビでも動画を使ったコラムがあります。そこには筆者の個性があり、感性が映し出されています。自殺対策やライフリンクの活動に言及したコラムを見ていきます。

2017年12月10日の山陰中央新報をはじめとする地方紙に、ジャーナリストの江川紹子さんのコラム「若者の自殺を防ぐために SOS発信できる力を育む」が掲載されました。

 「本当に死にたいと考えている人はいなかった」
神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件。自殺願望の若者を狙った連続殺人事件と見られているが、容疑者はそう語っているらしい。
 彼が利用したツイッターは、短いメッセージを通して人と出会い、つながるメディアだ。そこに書かれた「死にたい」というつぶやきの本意は、「死にたいほどつらくて寂しいので、誰かとつながりたい」だったのかもしれない。

 社会への信頼感が乏しく、自己肯定感が低く、将来への希望を持てない若者が増えているのではないか。そんな彼らが、大きな悩みに直面した時のことを考えておかなければならない。
 ライフリンクの清水康之代表いよれば、自殺のリスクは、生きることを困難にして人を死へと追い詰める「阻害要因」が、自己肯定感や社会への信頼感など生きる力となる「促進要因」を上回った時に高まる。

 自殺対策基本法は昨年の改正で、全ての都道府県と市区町村に、地域の実情に応じた自殺対策の計画作成を義務付けた。学校でのSOS教育も求めている。それぞれの地域で、若い命を守る取り組みを、真剣に行ってほしい。

2014年3月24日の毎日新聞コラム「悼む」には、2月7日に80歳で亡くなった、東京自殺防止センター創設者、西原由記子さんが取り上げられました。


 「一昨年、自殺者が15年ぶりに3万人を下回った。最大の功労者の一人が由記子さんです」。2月15日に東京都内で行われた葬儀で、ライフリンクの清水康之代表が弔辞に記した言葉が功績を物語る。

 1978年1月、の牧師の夫明さん(享年80)と「大阪自殺防止センター」を開設した。きっかけは信徒の自殺だった。「苦しみに寄り添えていなかった」。自責の念で教会に電話を引いたら、「死にたい」という少女の声が飛び込んできた。

 自殺防止センターは6都府県に広がった。「あなたはひとりぼっちじゃない。こうして電話がつながっているわ」。受話器の向こうに由記子さんが語りかけた言葉はいま、後輩たちに引き継がれている。

2020年7月2日の読売新聞「STOP自殺 #しんどい君へ 」には、元乃木坂46で女優の生駒里奈さんが登場しました。清水康之代表のコメントも掲載されました。

 秋田県の小学校に通っていた5年生の時、仲の良かった友人たちに突然、無視されるようになりました。昨日まで普通に話していたのに、朝「おはよう」と声を掛けたら、急にコソコソ話し出して。その日から、独りぼっちで過ごすようになりました。
 登校すると、私のロッカーの荷物が床に散乱し、クラスメートの横を通ると「何なの?」と言われ、「何も感じない、何も聞こえない」と考えて感情を消しました。他にもいじめはあったと思いますが、詳しいことは覚えていません。小学校時代の思い出を自分で抹消しているんだと思います。

高校では明るくて元気な子たちを中心にクラスの物事が進み、地味だった私は居づらさを感じ、授業が終わるとすぐに帰宅していました。
 高校1年の時、父の勧めで乃木坂46のオーディションを受けました。ダンスが好きで小3から習っていて、「合格すればこの学校に行かなくて済む」という気持ちもありました。

清水康之代表の話「学校では現在、コロナの影響で各種行事が延期や中止になり、『詰め込み型』の授業が行われている。親や学校、地域で、子供の様子に変化がないかを今まで以上に見守り、普段と様子が違う場合は声をかけてあげてほしい。学校は、いつ、どんな時、どのように助けを求めるべきなのかを教える『SOSの出し方教育』を進め、自ら発信できない子には、『助けを求めていいんだよ』と伝えてほしい。SNSは、いい意味でも悪い意味でも人間関係を固定化させてしまう。大人の責務として、SNSとのつきあい方だけでなく、適切な距離の取り方を子供と一緒に考えてあげてほしい」

写真は、東京・上野の国立西洋美術館にて。

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