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ライフリンク・メディア報道・2023-2024 年末年始②

2023年12月28日読売新聞は「『自殺未遂をした後の人生』の投稿に反響続々」と読者から寄せられた声を報じました。読者との双方向のやりとり、読者同士の対話の大切さを感じさせる記事でした。

読売新聞の運営する掲示板サイト「発言小町」には、「自殺未遂をした後の人生について」と題する投稿がありました。投稿者の性別も年代もわからないこのトピックに対し、同じように悩んだ人たちから反響が寄せられています。


トピ主「ぱぽこ」さんは、仕事関係の悩みで心を病んでしまい、自殺未遂を経験。重度のうつ病と診断され、精神科に「強制入院」になったといいます。その後、症状の改善が認められて退院したトピ主さんは、仕事を辞め、現在は実家に戻って暮らしています。
「一度、自分の人生を終わらせようとしていたので、自殺未遂をした後の人生をどうやって生きていいのかわかりません。いろいろな目標を見つけてみようとも思ったのですが、もう自分は人生を終わらせたという気持ちでいたので、その後どうやって生きていいのかわからず、若干放心状態で毎日を生きています。私と似たような状態の人、周囲に私のような人がいる方の意見を聞きたいです」。「ぱぽこ」さんは、発言小町でそう呼びかけました。

この投稿には、40件余りの反響(レス)があり、エールボタンも800回以上も押されたといいます。回復途上にあるトピ主さんを励ます書き込みが目立っています。

「空になったコップ」にゆっくりと栄養を蓄えてください。何もしなくていいです。今日は風にキンモクセイの香りが乗ってきたなとか、月がきれいだったなとか、そんなきれいなもので基礎を作ってください」(「イチゴ大福」さん)

夫の異変に気付き、精神科に連れていって入院させたという「n」さんは「3か月入院して、彼は大きく変わりました。無理をせずやりたいことをやる人生に変わり、今もたまに服薬しますが別人のようです。あなたはまだ退院するには早過ぎたように見えますよ」とつづります。

専門家も助言しています。

「ガソリン切れの状態でアクセルを踏んでしまうと、エンジンがダメージを受けてしまいます。まずはそういうイメージを持つこと。エネルギーが枯渇している時は抗わない勇気が必要です。空気を吸って、風を感じて、日光や雨や土の匂いをぜひ感じてほしいです。医師から処方された薬があるなら、指導通りに服用し、調子が悪いと思ったときに相談できる相手を持っておくことも大切です」
家族の接し方としては、「本人を叱ったり、安易に励ましたり、根性論を言ったりしてはいけません。一見回復したように見えていても、本人の心の奥底は焦燥感でいっぱいかもしれません。幻聴、幻覚や妄想を伴う場合もあります。家族だからといって問題を背負い込もうとせず、地域の関係行政機関や臨床心理士、ソーシャルワーカー、地域の保健師など専門家と必ず連携して、その力を借りましょう。本人が今、心の中で何を望んでいるのか、そっと耳を傾けてほしいです」

2023年11月28日読売新聞にはコラム「なるほど!医療」の最終回が掲載されました。コラムが始まったのは、2020年4月。約3年8か月、計82回続きました。その最終回の見出しは「若者よ! どうか死なないで!…今はつらくても、とにかく生き延びて」でした。

 生きていれば必ずいいことがある、などと言うつもりはありません。そんなことは誰にも保証できないのに、無責任なことは言えません。それでも、今はとてもつらくても、とにかく、生き延びてほしい。自殺を図ったが、救命されたり思いとどまったりして、「あの時死ななくてよかった」と語る人を、私は2人取材しています(妻を入れると、3人です)。自分の中にあるレジリエンスを、周りにあるレジリエンスを、どうか信じてほしい。心から、そう思います。
 最後に、コラム「広角多角」で紹介した精神科医、ビクトール・フランクルの言葉を、ここで改めて掲載します。
  「あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに絶望していない。あなたを待っている誰かや何かがある限り、あなたは生き延びることができるし、自己実現できる」

写真は、岩手県立美術館にて。


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