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ヒストリー⑰願いかなった日・2007年6月

始まった全国キャラバン


 自殺対策基本法に定められた自殺総合対策大綱は、2007年6月8日に閣議決定されました。

ライフリンクは、これに合わせて内閣府や専門家とプロジェクトチームをつくり、全47都道府県でシンポジウムを開く「自死遺族支援全国キャラバン」を始めます。
週1,2回のペースですべての都道府県を回る精力的な取り組みです。

清水康之代表が以前、別の自殺防止シンポジウムに参加した際、自治体関係者から「法律はできたものの、何をすればいいのか分からない」との声を聞き、発案したのでした。
ライフリンクは2007年を「自殺総合対策元年」と位置づけ、活動を加速していきました。

 第1回目のシンポジウムは東京ビッグサイト(1000人収容)で開かれ、満席に近い状態でした。
遺族の話から対策を考えようと3年前に父親を自殺で亡くしていた福岡県の大学生(当時)、桂城舞さんが自分の体験を語りました。
この中で桂城さんは「父が弱い人間だと思われたくなくて、自殺だということを長い間誰にも話せませんでした。 しかし今では、普通の優しい父親だったことや、自殺は他人事ではなく身近にあることを 知ってもらいたいと思います」と訴えました。

続いてパネルディスカッションが行われ、ライフリンクで自殺の実態調査を担当していた山口和浩さんが「1000人(亡くなった人500人とそのご遺族500人の計1000人)調査を通じて、自殺を防ぐヒントを見つけ、遺族がどんな支援を求めているのかも把握していきたい」と話しました。
この内容は、NHKが特集を組んで詳しく伝え、大きな反響を呼びました。

 キャラバンはこの後、秋田、京都、長崎、新潟と回り、翌2008年3月30日の大阪開催で全国47都道府県を踏破しフィナーレを迎えました。
こうして自殺対策を考える取り組みが、少しずつ、しかし確実に、地域の中に根付き始めました。  
                                            =続く  次回は、⑱2007年9月編「自殺実態1000人調査に挑む」です。

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