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きょう心にしみた言葉・2023年1月30日

我々の人生には、時として、どうしてもふり払えない大きな災難が立ちはだかることがあります。水俣病のような病であったり、災害であったり、あらゆる災難があります。
立ちはだかる災難の壁を、一人で壊すことはできない。

我々は、皆、ただの一片のホコリです。
我々は、同時に、小さな力なのです。
我々が窮地に立たされたとき、誰かが率先して、巨大な壁を壊すことを始めれば、大勢の人が後に続いてくれるはずです。

ジョニー・デップ 2020年ベルリン国際映画祭公式記者会見より
 映画「MINAMATA」劇場パンフレットから引用

映画「MINAMATA」は、水俣病を告発した米国の写真ジャーナリスト、ユージン・スミスの格闘を描いた作品です。ユージン・スミスの人生に感銘を受けた俳優ジョニー・デップの強い思いから制作されました。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで有名なジョニー・デップですが、社会派俳優、性格俳優としての実力には定評がありました。この作品では、その才能が見事に発揮されています。ジョニー・デップが指摘した「巨大な壁」。ユージン・スミスは、国や企業、多くの住民までが一体となってつくっていた「巨大な壁」に、カメラと写真を武器に立ち向かいました。
「巨大な壁」は、自殺対策の現場にも立ちはだかっていました。自殺は長く「個人の責任」とされ、自死遺族は言われなき偏見にもさらされてきました。しかし、自死遺児たちが勇気をもって声をあげ、「自殺は個人ではなく社会の問題」であることの理解を広げ、2006年に自殺対策基本法が成立しました。「我々は、皆、ただの一片のホコリです。我々は、同時に、小さな力なのです」。自死遺児たちひとりひとりの声が、政治を、社会を、人々を動かしたことを想起させる言葉です。

映画「MINAMATA」劇場用パンフレット

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