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ビンゴゲームの女神

私が隣に座って話すたびに、その人がビンゴになっていく。私はビンゴゲームの女神となった。

バーカウンターでお酒を受け渡す時に声をかけられた人と話していたら、その人もビンゴになった。

ビンゴゲームは、その今いる場所から大きい声でビンゴ!と言う。その度にビンゴになった人に注目が集まり、毎回ビンゴの人の隣に私がいる、という状態になった。

話していてもどんどんビンゴになってステージに出ていってしまうので、誰とも会話が長く続かなかった。

しかし私の手元のビンゴカードは、リーチにすらならない。私は私のビンゴゲームの女神にはなれないらしい。

そうと決まれば、話しかけられた人に「ビンゴになって、AirPodsだったら私にくれませんか?」とお願いしてみることにした。とんだ強欲だ。

でもお願いする人たちが皆すでにAirPodsを持っていて、「AirPodsが当たったらむしろハズレだからあげるよ。」という快諾を得ていた。完璧だ。どんどんみんなをビンゴにしていくことにした。よし積極的に話しかけていこう。

ビンゴにはなるけど、AirPodsは当たらなかった。ビンゴになったら、くじを引く権利がもらえて、くじで何かの景品が当たるかを決める。だから、ビンゴにはなっても、その先のくじ運まではコントロールできなかった。

そして何より、私がビンゴにならない。

全員何かがもらえるビンゴゲームだったので、最後には私のビンゴ待ちになった。え?何番が必要なの?と司会者がその番号を出さないといけない仕打ちみたいになっていた。

私はビンゴカードを隣の人に渡した。そしたらビンゴになった。

ちなみに、私が欲しかったAirPodsはすでに誰かの手に渡っており、景品にワクワクする気持ちもあまりなかった。しかも、とても凝った料理ができる調理器具が当たってしまい、そんな凝った料理を調理できる能力がないのに困ったものだ。
しかしここは社会人として、景品提供者には最大喜んだ表現をした。

そんな矢先、AirPodsが当たった人を見つけた。

しかし全く知らない、完全なるアウェーで乗り込んだ忘年会だから、流石に乗り込むのもちょっと気が引ける。急にAirPodsくださいとか気持ち悪いじゃん、恐喝じゃん。

いやでもね、私はAirPodsが確かに欲しいけど、わざわざ奪おうとしているんじゃない。この忘年会の主催会社の社員、関係者であればワイヤレスイヤフォンくらい持ってるんじゃないかって言う仮説の元行動していた。

で、ちょっとここで私がAirPodsを欲しがってる理由なんですが、私2個、AirPodsを飼い犬に噛まれてダメにしてるんです。1個目は洗濯機に入れて洗濯してたこともあって、ボロボロだったしいいタイミングで断捨離できたけど、買い直してすぐまた飼い犬に噛まれなてしまい。でももう流石にすぐは買えなくて。

そんな最中、めちゃくちゃ久しぶり!と声をかけてくださった方がいて。その方はその会社の役員の方で。これはチャンスだ!と思い、すみません、あのテーブルにご挨拶させてもらっていいですか?と行くことに。

結果的に、AirPodsを手に入れましたとさ!わーい。犬に噛まれないように頑張ります。

ビンゴで年忘れ

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