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【5分把握】「CureApp」話題の論文アブストをざっくり読んでいく!!

2020年12月に日本で初めて保険収載された治療用アプリ「CureApp SC」。
どのような治験が行われ、どのように保険収載されたのかについて迫っていきます。初回となる今回は、薬事認証をとることになった話題のRCT論文について、ザックリと読んでいきます。

「社名はよく聞くけど、実際どんなことをしている会社なの?」
「論文読んでみたいけど、英語が苦手、、、。」
「後で詳しく自分で調べるとして、概要を知っておきたい。」

というような方に、おすすめの記事です。

(※論文のポイントのみを掻い摘んで記載おりますことをご理解ください。全文ご覧になりたい方は、以下のリンクより論文をお読みください。)

CureAppについて

株式会社CureAppは2014年7月に創業。「アプリが病気を治療する効果を持つ」という新しい医療サービスを⽇本で初めて実現するために、病気を治療するアプリである「治療アプリ®」の開発に取り組む医療スタートアップです。

日本初!保険収載治療用アプリ!!
「CureApp Smoking Cessation(CASC)」システム

2017年10月にニコチン依存症の治療用アプリの治験を開始し、2018年12月に完了。2020年8月に厚労省からニコチン依存症の治療用アプリの薬事承認を取得、2020年12月保険適用されました。

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特徴として挙げられるのは、①外来間の治療空白にアプリによるフォローを行うことで、患者の継続意欲の持続につながる。また、②禁煙外来が終了となる12週以降も24週までアプリによるフォローを継続することで、適切な知識の浸透と行動変容を促すことです。


どのような研究が行われ、どれほどの効果が実証されたのか、早速見ていきましょう!(※原文をDeepLで翻訳したものを引用記載しています。)

「A randomized controlled trial of a smoking cessation smartphone application with a carbon monoxide checker」

一酸化炭素チェッカー付き禁煙スマートフォンアプリの無作為化比較試験

-Background/Object

スマートフォンアプリを含む禁煙のためのデジタル治療の長期的な有効性に関するエビデンスは限られている。この多施設無作為化比較試験では、CASCスマートフォンアプリ、主治医向けのWebベースの患者管理PCソフトウェア、モバイル呼気一酸化炭素(CO)チェッカーを含む「CureApp Smoking Cessation(CASC)」システムを用いて、禁煙のための新しいデジタル治療の有効性を検証した。

喫煙は世界的に"予防可能"な死因の第1位です。日本人成人の約20%が喫煙者であり、早期死亡を防ぐためにも喫煙率の低下は重要な課題です。

日本では2006年から保険適応で禁煙治療を受けることができるようになりました。その内容は、12週間の間に5回の通院を行い、医療従事者がカウンセリングとニコチンパッチやバレニクリンなどの薬物療法を行うものです。

しかし、外来の間には治療の空白期間が生じてしまい、途中離脱する禁煙患者様も少なくないです。9〜12週目までの継続禁煙率(CAR)は50~60%と低く、長期的なCARはより低値で満足のいかない現状です。

そのような状況で、スマートフォンアプリを含むデジタル治療は、禁煙を維持するために有望なツールと考えられています。しかし、これまで様々な研究が実施されてきましたが、いずれも標準的な禁煙支援よりも長期的な禁煙に効果的であるという結果は出ていません。

今回、CureAppが開発した「CureApp Smoking Cessation」(CASC)システムは、ニコチン依存症患者向けのCASCスマートフォンアプリ主治医向けのウェブベースの患者管理PCソフトウェア携帯型呼気COチェッカーで構成されています。パイロット研究ではCACSシステムの効果が示唆されており、本研究では、標準的な禁煙プログラムにCASCシステムを追加することで、ニコチン依存症患者の長期CARが改善されるかどうかの試験が行われました。

-Results/Outcome

2017年10月から2018年1月までにニコチン依存症の参加者計584人を募集し、CASC介入群または対照群に1対1で割り付けた。両群とも薬物療法とカウンセリングによる標準的な禁煙治療を12週間受けた。
一方、介入群はCASCシステムを、対照群は携帯型COチェッカーなしのコントロールアプリをそれぞれ24週間使用した。
主要アウトカムは、9週目から24週目までの生化学的に検証された継続的禁欲率(CAR)であった。主な副次的転帰は、9週目から52週目までの継続的断薬率(CAR)であった。アプリをダウンロードまたは使用しなかった12人を除き、285人が介入群、287人が対照群に割り付けられた。

平均年齢は46歳(範囲:23〜80)で、75%が男性。pack-year(1日のタバコの箱数×喫煙年数)中央値は20(範囲:10~120)。参加者の79%にバレニクリン、20%にニコチンパッチが処方されていました。


介入群の9~24週目までのCARは対照群よりも有意に高かった(63.9% vs. 50.5%;OR1、1.73;95%CI、1.24~2.42;P = 0.001)。
9~52週目までのCARも、介入群の方が対照群より高かった(52.3% vs. 41.5%;OR、1.55;95%CI、1.11~2.16;P=0.010)。
CASCシステムに起因する特定の有害事象は報告されなかった。

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アプリ使用期間中の24週までだけでなく、アプリ使用終了後の52週までで見ても、CASC介入群のほうが継続禁煙率が高いという結果になりました。

また、禁煙成功者は失敗者に比べて、より多くデジタル日記を記入し、教育チュートリアル動画の再生回数が多いことも分かりました。

-Discussion/Conclusion

標準的な対面カウンセリングと薬物療法を斬新なスマートフォンアプリで補強することで、CASCシステムは標準的な治療および最小限の支持性のコントロールアプリと比較して、長期的なCARを有意に改善した。

禁煙継続率は、対照群(50.5%)に比べてCASC群(63.9%)の方が有意に高いという結果に。この13.4%の改善効果は、過去の報告でプラセボと比較した場合、バレニクリンの効果と同等であり、それ以上の効果を示しましたとされています。

また、CASCスマートフォンアプリを24週目にアンインストールした後も52週目まで効果は継続しています。この長期的な効果は、CASCのスマートフォンアプリが提供するチュートリアルやカウンセリングに加えて、離脱症状や喫煙欲求に対処するための自己管理の実践によってもたらされた可能性があるとしています。

禁煙成功者は、デジタル日記、ビデオチュートリアル、チャットボットによる行動療法などのアプリ機能を日常的に利用する頻度が高いことが分かり、この結果は決定的なものではありませんが、これらのアプリ機能は高いアドヒアランス率を維持するために重要であると考えられます。

また、この研究のリミテーションとしては、「参加者の社会学歴データが不足していたこと」「コントロール群が、最低限の機能しかないためにコントロールアプリを提供されたことを推測し、アドヒアランスを阻害した可能性があること」等が挙げられていました。


【個人的感想】LtVインターン池内

・これまでの治療用アプリと比較して、CASCシステムの新規性は何だったのか。今回有意差が一番の要因は何だったのか。アプリ設計に大きな違いがあったのか。それとも「携帯呼気COチェッカー」の効果が大きかったのか。
・コントロール群に使用したアプリはどれほどのものだったのか。
・保険収載に関して。どのような過程でこの診療報酬が決定されたのか。

初回の診療時に2万5400円分の保険点数を算定できるようになる。
内訳は医療従事者が治療用アプリとCOチェッカーの適正使用を促す管理料として1400円、治療用アプリとCOチェッカーそのものに対して2万4000円。


ということで、次回は、「薬事承認」の議事録を読んで内容を深めていければと思います!適用の併用薬物治療が「バレニクリン」のみになっていたりなど、気になるポイントが満載です。次回もよろしくおねがいします!!

CASC薬事承認の議事録はこちらから!


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