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演劇的人生のススメ

人生は演劇、人生は即興
シェイクスピアからはじまり多くのクリエイターから学ぶ言葉

数年前、懇意だった取引先の人から聞いた話が今でも忘れがたい
彼の会社の経営陣が変わった時の話
これまでの体制が大きく変わり
顔見知りだった人も次々と辞めていった

話を聞く限り、相当なワンマン体制で
外部から見てもカラーが一新されていた

彼もまた「もう、辞める」と何度も口ずさんでいた
「もう無理、体がもたない」と弱気を出していた

彼のライフワークは芝居だった
もともと小さな劇団を主宰していたが、
結婚したり子供ができたりで
劇団とバイトだけでは養えず環境を変えたわけだが、
「辞めて、もう一度、芝居に力を注ぎたい」
そんなことも言っていた。

一年が経ち、以前からいた人たちの離職はさらに増えていた
しかし、彼はまだそこにいた

「あんなに辞める辞めるといたのに・・笑」と、
彼との酒の席で茶化したことがある。

その時に彼から出た言葉

周りが辛いといって辞めていく姿を見ながら思ったんだ。
彼らは自分が置かれた身に疲弊した、自分もそうだった。
なんでこんな目に遭うのだろうと。
でも、自分は芝居をやっていたから、そこで考えを変えた。
それまでは自分ごとで考えていた。
だから辛かったし耐え難かった。
だったら、役者モードでやったろう、と。
自分に置き換えたら腹立つことがいっぱいある。
だけど、これも役のひとつと思えたら、どうってことないやと思って。

ちょっと尖って、近寄りがたい面を持つ男だったが、
役者モードに徹した彼はあらゆる要求に応え、
経営側も手放すには惜しい存在に映ったと思う。
その証拠に彼はどんどん立場を上げていった。

そういえばある有名女優も、何かのインタビューで面白いことを言っていた。

もともと私自身には自己肯定感のカケラもない。
いつも自信がなく、夢もなく、コンプレックスの塊で過ごしていた。
だから女優に向いているのかもしれない。
自己肯定感たっぷりの役、夢を追いかける役、私とは違うタイプを演じる仕事は、その人になりきり別の思考が働くことに気付かされた、と。

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