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事業再生のこと−10

1960年代より続いていた核家族化は終焉を迎えようとしている。
かつてのように所得が増え、マイホームの夢を実現して家族ごとに生活をすることが難しくなってきている。
個人が稼げる所得は減り、物価が高騰し、大黒柱である夫が家計を守ことが難しくなり、夫婦共働きが主流となって、さらには夫婦で稼いでも子供を育て上げることが難しくなってきている。

家計が一家全体の食費や光熱費のことを表していた時代ではなくなり、一人で食事をし、一人で住む。核家族化ではなく核個人化が進んでいる。
ユーザーのニーズは家族への買い物ではなく、自分自身への買い物が主流になっている。

これからも核個人化が進んでいくのだろうか?
感染症の蔓延はこの核個人化に拍車をかけたが、今後もそのようなライフスタイルが続いてゆくのかというとそうではないのかもしれない。

二つの方向性が考えられる。
リモート化は遠方同士の人々を結びつける。
仕事であれ、趣味であれ、距離を問題としない交友関係を形作る。場所を超越したコミュニティーを出現させ、そのコミュニティーは同じ嗜好性や文化性を持った集まりになる。
つまりこのコミュニティには同じカルチャーの共通項を持ったマーケットが存在する。

もう一つは大家族は再生されないが、血縁を持たない共同生活者のコミュニティーが生まれる可能性がある。
やはり同じ嗜好性や文化性を持った集団になるが、前述のコミュニティーと違っているのは、このコミュニティーは地域性を持っているということである。

これからの販売戦略に欠かせないのは嗜好性、文化性を持ったコミュニティーに対してどうやって訴求するのか?という考え方と言える。
あるいは、事業体が自らそのコミュニティーを作るための要素を与え、コミュニティーを育てる必要がある。
コミュニティーに最初に必要なものは「場」である。
「場」は必ずしもどこかの場所や施設とは限らず、バーチャルなものやネット上でのSNSのようにコミュニケーションを取ることのできるツールを利用したプラットフォームがその役割を果たす場合もある。

それらのコミュニティーが持つ嗜好性と文化性に自分たちのブランドをシンクロさせることが、新しい時代の最も強い訴求方法になる。ハブとなる駅や空港、施設は人が交差し滞留する場として重要なマーケットとして位置づけされてきた。

しかし、分散化が進み、これまでのような大規模施設の集客力は低下し、これまでとは違った人の滞留場所が生まれ、マーケットもそこへ移動する。これまでの変化は主に人の移動方法の選択による変化が主体だったが、これからは電車、車、飛行機などの移動方法に囚われずに考えなくてはならない。

人はこれからどんな方法でコミュニティーを作ろうとするのか?デジタルを使ったコミュニティーはどういった方向に発展してゆくのか?人はリアルコミュニケーションをこれからも欲するのか?

新しいコミュニティーが集まる場所に新しい市場が生まれる。

多くの大企業は資本を投資してコミュニティーの囲い込みを図るだろう。中小事業者はその囲い込まれたコミュニティーに連携しようとするのか?全く別の方法でコミュニティーを育てマーケットを見出すのか?

資本を使わないコミュニティーの創出はどうやって行うのか?

現在、すでに自分たちだけのコミュニティーの創出に成功している事業者はある。

既存のコミュニティーを別の側面から切り取って、そこに新しいコミュニティーを育てて成功している。

競争過多な誰もが認知できるコミュニティーではなく、自らが作り上げるブルーオーシャンのコミュニティー。それをどのように構築出来るかに事業の成否がかかっている。

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