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僕の夢

あれは僕の見た最後のバスだったんだ。

僕は病院の窓からいつも見ている。
決まった時間に来て、お客さんを乗せて去っていくバスをね。
僕はこの風景が好きだ。
僕もあんな風にバスに乗って出かけてみたいな。

僕はママと一緒に よく バス会社の横を通っていたんだ。
大きなバスが沢山並んでいて、ワクワクが止まらないんだ。

数年前の凄く天気が良かったその日、
僕は柵の外からジーっと中を覗いていて、少しママを困らせていた。

そしたらね。。。

おじさんが来て、僕を柵の中に招き入れてくれた。
大きな手が僕の目の前に・・・
見上げると、優しい笑顔。
僕はママに許してもらって、おじさんの手を握った。
あったかい大きな分厚い手だ。
パパがいたらこんな感じなのかな。。。

おじさんは、バスの中を案内してくれた。
大きなバスの中は、椅子が沢山あって、一番後ろはベッドみたい。
釦を押すと、ピンポンて鳴ったんだよ。光ってさ。
何度も押しちゃった。
それから。。
運転席にも座らせてもらった。
おおきなハンドル。周りに釦やレバーが沢山ついている。
横には棒が出ていて。足元にはペダルがあった。
絵本で見る操縦席みたい。

今度はおじさんが運転席に座って色々と動かしてくれた。
面白かったなぁ。凄かったよ。
そして。。
おじさんは僕を一緒に運転席に座らせて。
バスを動かしてくれたんだ。
僕は、おじさんの真似をしてマイクでアナウンス。
会社の中をグルっと回ってさ。
楽しかったなぁ。
あの景色は今でも覚えているよ。
おじさんのワイシャツの石鹸の香りも、それから声もね。

あのおじさんは、運転士さんだよね。
だってあんなに詳しいしさ、バスも動かせるんだもん。

僕も運転士さんになりたかったな。

ふぅ~…

ちょっと疲れたな・・・・

いつもの風景にぼんやりと見える。
いつものバスじゃなくって。。

あの時のバスだ!

あの時、僕が乗ったバスだよ。
おじさんなのかな?

嬉しいなぁ・・

でもちょっと・・僕はもう休むよ。
ありがとう。。。。。

次は僕、絶対バスの運転士になるからね!