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カフェラテの擬音


いったい私はあのカフェラテが好きだ。

カフェオレよりもカフェラテ派。
ミルクよりもココアよりも、カフェラッテが飲みたい。

カフェインが効きすぎる私にも、カフェラテは優しい。

サディストなブラックコーヒーでもなく、優しすぎるミルクでもなく、カフェラテが飲みたい。

おととい、久々に1人でカフェに行ってきた。
久しぶりのおひとりさま休日だ。
寂しがり屋なのに体はソロ時間を求めているというのが実に不思議だ。

カフェの店内はほんのり肌寒い。思わずカーディガンを羽織る。

なのにわたしは、アイスカフェラテを頼んでしまった。無理な強がり。

黒の羽織りは、アイスカフェラテのために持参したようなものだ。

なぜ、アイスでないといけないのか?
ホットでは駄目なのか?

それは私が、アイスカフェラテの擬音を聴きたかったから。ストローと氷とエスプレッソとミルクが融解して境界がわからなくなるあの音に、ひたすらに耳を傾けしばし現実を忘れるためだ。

真冬の夜に縁側の風鈴が聴きたくなるように。真夏にクリスマスソングが聴きたくなるように。

アイスカフェラテがプラスチック製のストローとぶつかり、氷と衝突して軋む音が好きだ。
アイスカフェラテのオノマトペとでも言おうか。


あの擬音をどう表現しよう??

カランコロン?カラコルム?しゃらんしゃん?
コトンコットン?カシャ?かヒャ?
ヒャは確実に入る気がする

グラスの中の小さな風鈴が揺れる。
春の純喫茶と夏の風物詩。

ストローを無限に掻き回し、擬音を摂取して、
あとは一気に飲み干してしまう。

氷が溶けてビタビタになった水気カフェラテは
美味しくない。


1人のカフェラテも好きだが、
2人でのカフェラテも好きだ。

程よいカフェインは、コミュニケーションの
潤滑油になる。トーク術のドーピング。
 

私は2口分のカフェオレを飲む。

そうしてから、話し始める。
これが、自己開示が苦手なわたしなりの、
精一杯の努力。

ちょっと気まずくなったら、カフェラテを飲めばいい。
伏目がちにストローを使えばいい。

沈黙が怖い時はカフェラテを飲めばいい。

気まずさとカフェオレ。


真冬のディナーでも、なぜかアイスカフェラテを頼みたくなる。

凍えながら、透明な円筒形グラスの中で
夏の音を聴くために。


からんころん、かひゃんかしゃん




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