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青春18切符って魔法の小切手だな①

先週の一週間(3/11~17)、旅行に行っておりました。

第一目的地は島根県松江市!だったのですが、
移動手段は、航空機でも新幹線でもフェリーでも、
そして金なし大学生におなじみのやこバ(夜行バス)でもなく、

人生初めての青春18切符!!!オール鈍行列車!
Tokyo to Shimane ! 

ずっとやってみたかんたんですよ。
長期休暇は全国を飛びまわり3週間家を空けるという大学の友人が、
18切符ヘビーユーザーで。
彼女から切符のシステムを説明された時、
「これは自分もやるしか!!」と思い立ちました。

JR線であれば1日どこまでも使いたい放題、5日分で1万ちょいのお値段。そして販売期間は、大学の長期休暇時期(春・夏・冬の年3回)と
ぴったり重なる!!

「お金はないけど時間はいっぱいある」という大学生の特性に、
見事にフィットした制度ではないか!と。
※もちろん人によりますが。

大学入学直後から、「18切符大移動」は、私にとって、
大学生活でやりたいことリストでもベストエイト入りするタスクでした。(残り7つはまた今度触れます)

そして今回!
少し前にハタチの誕生日を迎えたのですが、
「ちょっと大人っぽいバースデープレゼントを自分に与えたいな」と思い、
18切符を購入いたしました!
久々に、コンフォートゾーンから出てみたくて。

旅行自体は友達と2人旅なのですが、現地集合!
旅行先までの移動は完全にソロ!

高校時代は「1人で飲食店に入る」ことさえも出来なかった私が、
自ら1人移動をするなんて、大人になったのかもな~という感慨にふけりました。

時計の針が動いて20歳を迎えた瞬間(自宅でカウントダウンしてました)
よりも、「18切符を買った」瞬間の方が、20代を迎えた実感がありました。

とはいえ、18切符を使うという選択には迷いも生じました。
経験者の声は、
「移動しか旅の記憶がないし、意外と疲れる」
or 「風景を楽しめる!普通列車しか勝たん!」という2パターンに
はっきりと分かれていたからです。

自分はどっち側なのだろうか?
長時間移動を満喫できるタイプなのか、否か。

それを一度実証してみたいという気持ちもあって、今回挑戦することにしました。

移動時間は、片道2日間。
初日は滋賀県大津がゴール。
2日目の夜に松江駅に到着すれば、大移動は無事成功です。
そう、旅行の最初の2日間を、ほぼほぼ移動に費やすのです!!

(飛行機を直前に取ろうとしたら高すぎてビビったから、ってのもあります。春休みシーズンの旅行は動き出し早いに越したことない泣)

駅の自動券売機で発券。
こんな大量のお金をぶっこんだことがなかったので新鮮。
1枚1枚、機械から飛び出してきます。
6枚ほどの券(=説明書とアンケート用紙)が出てきた後に、
満を持して主人公が登場。
5回分の押印欄とタイトルを見た瞬間の興奮は一押しでした。

キターーーー!これが噂の!!ついに!

PASMOしか使わない私は、そもそも
「切符を購入する」行為自体が久々で、
何とも言えない懐かしさを覚えました。

誕生日プレゼントでこれほど純粋に舞い上がったのはいつぶりだろうか。

もちろん、友達にもらった時も嬉しくていっぱいなのですが、
それはどっちかというと
「友達が、自分のためにプレゼントを選んで、買って、渡してくれた」
ことへの感動というか。

今回のように、純粋にプレゼントの「物自体」が嬉しすぎて飛び上がる経験は、当時喉から手が出るほど欲しかった「はじめてのシルバニアファミリー」(商品名)をトイザらスで買って貰えた時ぶりかもしれない、と。
15年前を思い出しました。

18切符の可能性が無限大だからこそ、

これでどこまでも行ける!なんでもできる!
この世界はもはや自分のものなのさyearrrrrrrrr!
HAHA★イェア It's a small world!!(こわすぎ)
いくぜネバーランド!

とか無双マインドになっていました。
銀河鉄道の乗車券を手に入れたような、魔法学校の入学許可証をゲットしたような。そんな気分。

(あ、ピーターパン症候群と決別するために
誕生日前にディズニーのピーターパン見ようと思ってたけど
忘れてた、ことを今思い出した)

ちなみに、新幹線乗った時のルーティーンで、夜が降りるやいなや
ゴダイゴの銀河鉄道999をSpotifyできく、というのがあります。
それも、「旅先から家に戻るタイミング」と決めていて。

旅行気分をリセットして、心理的に日常世界に戻ってこられるんです。
窓際の席で、星空まで見えたら最高。自分が乗っている電車が宙に浮いていると勝手に想像します。

ともかく、切符を手にして最強気分MAXの私は、
分かりやすいドヤ顔で改札窓口のお兄さんに切符を見せつけ、
無事スタンプを押して貰えました。

さあ、これで旅の準備は完了!本当の意味で支度が整った!
あとは移動するだけだ!(それがメイン)

東海道本線に乗り込み、Google Mapを起動させたままのスマホを片手に、重たいリュックサックを上に預け、大容量のサブバックを膝に抱えて
着席しました。


あれ。意外と混んでる…。平日だからかな。東京駅始発だからかな。
満員とまでは行かないまでも、席はぎっしり埋まり、立つ人がまばらにいました。

月曜朝10時の空は実に晴れやか。

品川を通り過ぎ、横浜に着くと一変。
一気に人気が無くなり、同じ車両の乗客は、手で数えるほどの人数に。

その間ずーーーっとGoogle Mapの現在地を目で追いかけ、
地図情報から目が離せませんでした。

あ、川崎に入ったな。去年行った藤子・F・不二雄先生のミュージアムってそういや川崎だったな。
おお~藤沢!大学同期で藤沢市出身の子いたよな、、、。
箱根きた~1年前に大涌谷行ったな~行けてない美術館あったし
今度また行くのアリだな…
あら、もう熱海来ちゃったのね。温泉街寄り道して食べ歩きたいけど絶対
時間食うよな~今降りたら食欲止まらないもん。

とかとか。ぼーーっと考えてました。

目の前のタスクを頭の外に追いやって、
ただそこにある景色だけに完全に意識を集中させる。
この時間たまんないな~~
「いま、私は、まじで純粋に自分のためだけに時間を使ってるんだ」
という実感がわいてきました。

もうこの時点で完全に鉄道旅の虜になってますね。チョロすぎ。

静岡に入ると、海沿いをなぞるような面白さがありました。
心の声@静岡は以下の通り。

「焼津港…小5の社会の教科書で大々的に取り上げられてたな,,,一度行ってみたいな」
「浜名湖…養殖が盛んなんだっけ?」
「沼津はアニメツーリズム盛んですごいな~次来たらきちんと観光したい!」
「さくらももこ先生作品大好きだし静岡市も行きたいんよな」
「長期休暇中にいっつも3回くらいはインスタのストーリーで
『さわやか』の写真見かけるけど、そういやまだ行ったことない。いこ。」
「てかお茶飲みたいよね?静岡いるもんね?今日いい感じにあったかいし
緑茶日和じゃん?」(沼津駅の売店でお茶ボトル買った)
「富士山はどっちのものか論争について、
静岡出身の友達と山梨出身の先輩がガチ討論してたなー」
「富士山をこんな真正面からバッチリ見れたのはじめてだな…」
「伊豆…伊豆の踊子?読んどけばよかったな~その土地に関連する文学読みたいけど毎度忘れるんだよな。去年も松山行くから坊ちゃん借りたのに読んでないし」
「小4で都道府県書き取りテストやった時、静岡の形が金魚って覚え方してたな。そういや高校の日本史の旧国名テストの東海エリア、駿河と遠江の位置ごっちゃになってたな。」
「大洋ってちょっと怖いんだよな。底がなくて果てが見えなくて胃の奥がきゅうっとなる。なんか切なくて勝手に寂しくなるんだよなあ。なんでだろ。内陸部育ちだから慣れないのかな?」(この感覚はあまり周りに理解されない)
「Eテレの『にほんごであそぼ』の東海道53次を覚える歌好きだったな、
覚えてないけど」

紺のブレザーにリュックの女子高生たちと学ランボーイズが途中で乗り込んできた。エモの大洪水だった。

制服×春の海×西日の強い午後の鈍行列車 って組み合わせ、
いくらなんでもエモすぎだろ、、、。
これで胸元に卒業おめでとうのコサージュ付いてたらもっとやばかったな。
え、私が郷愁に浸るために誰かがこの演出用意してくれたんすか?? 
衣装・レイアウト・キャスティング・ロケ地その他もろもろ含め
完璧でしょ…
監督と照明さん誰ですか?天才ですか?

青春映画から切り抜いたようなワンシーンを前に、
乾ききった心がスポンジのように水を吸収していくのを感じた。

イヤホンからは私なりの「海プレイリスト」が流れる。↓↓こんな感じ
(旅支度中に仕込んどいた)
私にとって「音楽」は旅の相棒、必須のお供です。

「老人と海」ヨルシカ
「手紙~背景十五の君へ~」アンジェラ・アキ
(主題歌として使われた映画「くちびるに歌を」が海の印象
(五島列島が舞台)強いので。)
「美しい鰭」スピッツ
「マーメイド」水曜日のカンパネラ
「ウミユリ海底譚」n-buna (ボカロ曲で一番好き)
「パート・オブ・ユア・ワールド」(リトルマーメイドより)
「少年時代」井上陽水
「海の幽霊」米津玄師
「渚のシンドバッド」ピンク・レディー
「渚のバルコニー」「青いサンゴ礁」
「赤いスイートピー」松田聖子
(出だしの歌詞「春色の汽車に乗って 海に連れて行ってよ」なんて、
まさにシチュエーションにぴったり。松田聖子さんの曲には「海デート」のイメージを勝手に持ってます)
「横須賀ストーリー」山口百恵
(横須賀を通過したあたりで聞きました)
「Dance The Night Away」TWICE
「水平線」back number
「渚にまつわるエトセトラ」PUFFY
「さよならクロール」「11月のアンクレット」AKB48
「僕らのユリイカ」NMB48
(真夏のギラギラ感抑えめで、ちょっぴり涼しげ・切なげのアイドル楽曲
たまらなく好き)
「逃げ水」乃木坂46(夏の終わりを連想させるメロディーで大好き)

…etc…

などなどなどなど。
「海通るなら聞きたい!」曲たち豪華メンバーを聞き流し、
電車が揺れるガタンゴトンの音すらも曲の一部に思えてきました。

自販機と駅舎という一風景すら、海をバックにした途端、
抱きしめたくなる愛おしさがあります。

景色自体はそこまで変わらない気がするのに、
はっきり別の街にきた
と分かるのが、面白い。
駅の看板も日めくりカレンダーのようなカウントダウンの楽しさがあり、
車内アナウンスの声もほっとする。
(駅員さん・車掌さんの固めの声質大好き)

あっという間に愛知へ突入。県境を越える瞬間も、
「お、こえるかこえるか,,,きたよ…いやまだ気が早いぜ,,,よおし、
5・4・3!2!1!越えたーーーーーーーーーーーー!(心の声)」と
勝手に盛り上がってしまう。
(ニヤニヤしてたの人に見られてなくて良かった)

乗り換えのための僅かな待ち時間、白線に並んでおにぎりをほおばるのも、
車窓を眺めながらアツアツのお茶を頂くのも、
全てが「楽しい」と思えてしまうのは
旅だからか。

さてさて、移動開始2時間ほどで、私は悟りました。

「あ、私たぶん、18切符楽しめる側の人間だ」

どちらかと言えば、
「楽しくない!」という消費者の意見をたくさん聞いていたので、
「ただただ暇な地獄の一日と化したらどうしよう」、
という不安も、正直、ありました。

いざ乗ってみれば、
自分はどうやら、「移動」のプロセスそのものに快感を見出しているのだ、と気付かされました。

夕陽に照らされた飴色の電車は、やわらかな空気に包まれていました。

点と点の移動では味わえない感動がそこにある。

鈍行列車だからこそ味わえる旨みがそこにある。


「今回の旅行は、きっと楽しい」

名古屋に到着する頃には、そんな謎の自信がみなぎっていました。

(つづく)






 


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