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プレイが下手でもミシック上位勢と戦うためのデッキ構築術

今回の記事は、自ら「クソデッキビルダー」を名乗る私のデッキ構築についての紹介である。

まずはじめに、私はプレイングがあまりうまくない。どれくらいかというと、リミテッドでプラチナになんとかいけるぐらいのレベルだ。
それもリミテッドのデッキ構築がどうとかではなく、強いデッキが組めても勝てないのだ。たまにはそういうこともあるだろうが、毎環境そのざまなので基本的にコンバットをはじめとしたプレイングスキルについて、プラチナランク程度のスキルしかないことは間違いない。
そんな私でも構築ランクではある程度安定して毎月ミシック1200位に入ることができ、それなりの頻度で予選ウィークエンドに参加できている。
プレイング面ではミシックに遠く及ばない私がそういった順位に入ることができているのは、デッキ構築に拘っているからだと自分では理解している。今回の記事ではそんな私のデッキ構築について紹介しようと思う。

0.なぜコピーデッキを使わないのか?

多くの記事でこんな文言を目にしたことはないだろうか?
「勝ちたいなら強いデッキをコピーして使え」
これは正しいが正しくないと私は思う。この言葉の正しさについてはいくらでも記事があるので詳細は割愛するが、大きく以下の2点が理由だ。
①実績があり、高いデッキパワーが保証されている
②実際に回すことでそのデッキに対する知見が深まり、プレイングのコツがわかる

まったくもって反論の余地はない。
そう思って私もTier1デッキを握ってミシックを目指したのが、今年(2022年)の年初ごろのことである。
しかし勝てない。そもそもダイヤにも上がれやしない。一番強いデッキを使っているのになぜ勝てないのだろう、とその時は思ったが、考えてみれば当たり前のことである。自分がTier1を使うということは、ミラーの確率が高くなるということだ。デッキに差がないのであればプレイングと運でしか相手と差をつけられないので自分のプレイスキルで勝てないのは当然のことである。さらにほかのデッキも皆Tier1のデッキを目の敵にしており、対策カードを盛り込んでいる。それらの対策をすべて踏みつぶすだけのスキルが求められるのだ。私程度のプレイスキルでは勝てるはずもない。

実際にプレイしてみた私の体感はこうだ。
「(勝率50~60%くらい)勝ちたいなら強いデッキをコピーして使え」
これ以上の確率を求めるのであれば、プレイスキルを向上させるか、より勝率の高いデッキを作るしかない。

しかし、勝ちたいならTier上位のデッキを使え、というのはほとんどの人間の共通認識である。その証拠に「ガチデッキ」なんて表現もあるくらいだ。
一部のトッププロが構築したデッキ以外で独自に構築されたデッキは「ガチデッキ」と呼ばれることはあまりない。
私のようなプロに遠く及ばない人間がオリジナルで作ったものに至っては「ファンデッキ」とさえ呼ばれ、勝利を目的としていないかのような扱いを受ける。しかし、あくまで私は「勝つため」にデッキを作っているのだ。誰がなんと言おうとも私の作るデッキは私にとっては「ガチデッキ」である。
そして、勝利を目的にしているため結果的にはTier1と似通ったリストを使うことも当然あるが、その中でも差別化できるカードを必ずいれている。でなければミラーで勝てないからだ。

では、次の章からは具体的なデッキ構築手順について説明する。

1.「強い動き」を見つける

私はデッキ構築にあたり、まず環境に存在するカードを大きく4つに分けている。
①よく使われており、カードパワーが保証されているカード
②あまり使われていないが、高いカードパワーを持つと思われるカード
③特定のシナジーで大きな力を発揮するカード
④カードパワーが低く、シナジーのないカード

勘の良い読者の皆様であればお気づきと思うが、重要なのは②と③である。①も重要だが、これを集めるとTier1デッキになってしまうのでここでは一旦置いておく。
②と③を探すことがデッキのオリジナリティの源泉であり、そのデッキのアーキタイプとなる。以前、私が紹介した4C機体では以下のカードが②、もしくは③に当てはまっている。

2022年9月のラダー(9/26時点で700位前後)やJapan Openで利用したグリクシスサクリファイスでは以下のカードだ。

こういった②や③にあたるカードをプールから探すことがまず第一ステップになる。ここで、そういったカードの見分け方を紹介できればいいのだが、残念ながら私にはできない。強いと思ったカードが弱い、弱いと思ったカードが強いなどは日常茶飯事なのでとりあえず試してみることが重要だ。

また、「カード」と言ったが、あくまで「動き」を探してもらいたい。単体のカードで強さが決まることはほとんどないので、カード①を出してカード②を出したら強そう、という数ターンにわたる動きを探してみてほしい。
ここで勘違いしないでほしいのは、シナジーがあるカードを探すという意味ではない。たとえば3ターン目に墓地の侵入者を出して4ターン目にシェオルドレッド出せば強そう、といったものでも構わない。
基本的にはこの「動き」がゲーム上でのゴールになる。

さらに注意点だが、この「強い動き」では対戦相手のデッキを意識してはいけない。Tier1にだけ強い動きには用がないからだ。
誰が相手でも追い詰めることができる「押し付け力のある動き」を探してほしい。

2.強いと思ったカードを試してみる

え、もう試すの?と思った人も多いだろう。私はもう試す。とりあえず適当に①に該当する強そうなカードとシナジーがありそうなカードを入れて回してみるのだ。もはやサイドも作らない。Discordサーバ「流星街」の皆様はそんな私の姿に見慣れてしまって、サイドがあると逆に驚かれるようになってしまった。誠に遺憾である。私だってたまにはサイドを作る。
ちなみに回す際に、ひとつだけ注意点がある。
「なぜそのカードが強いと思ったか」を言語化しておくことが重要だ。
これを言語化しておくことで、とりあえず作った仮デッキを試したときに以下の分類に分かれる。
①まさかの適当デッキが強い(最高!!)
②期待していた動きは強いが安定感に欠ける
③期待していた動きが実は大して強くない
④期待していた動きの実現性が現実的ではない(5回に1回以下)

上記の①②であれば検討の余地ありだが、③④は基本的に勝率を上げることが困難なためデッキとしてこれ以上検討することはしない。

①②のいずれかであれば、次のステップに進む

3.デッキパワーを高める

オリジナルの「ガチデッキ」を作るうえで、デッキパワーは重要だ。ただTier1に勝てればよい、というデッキであればそこまで不要かもしれないが、ミシックを目指すのであればランク戦で60%以上の勝率は欲しいので、全体の2,3割程度しかいないTier1にしか勝てないようなデッキは論外である。
そして、ラダーにおいてはいわゆるメタ外のデッキは無視できない割合で存在しているため、それらのデッキに「わからん殺し」をされないためにデッキパワーは不可欠な要素である。

そこで、それぞれのカードを以下3つの観点のうちいくつ当てはまるかを検討する。
①単体のカードパワーが高い
②効果的なシナジーがある
③環境に対して有効である
これらのうち、2つ以上が当てはまるカードはデッキにおいて重要な役目を果たす。可能であればデッキに含まれるすべてのカードが2つ以上当てはまる状態であってほしい。

たとえば上で紹介した帳簿裂きは①と②に当てはまっていた。
下環境で利用されるほどのパワーがあるうえに謀議能力は脂牙と強力なシナジーを持っている。
ジャダーであれば②と③である。
トークンを出す能力は、犠牲などのサクリファイスと強いシナジーがあるうえに、リリアナや絶望招来といった生け贄を強制するカードへの解決策となる。

逆に1つしか当てはまらないカードは黄色信号だ。基本的に①にあてはまるもの以外はデッキパワーが下がるので入れたくはない。1つしか当てはまらないときは優先順位は①>③>②で考えてみてほしい。

ちなみにふたつ当てはまる場合の優先順位は①②>①③>②③だ。

つまり基本的にカードパワーは正義だ。特に期待している動きの実現率が低いときは脇を固めるカードのカードパワーが高くないと勝率は上がってこない。

4.ゲームプランを検討する

1~3の項目で実はすでに検討は始まっているのだが、改めてゲームプランを検討する。特に環境に有効なカードは環境の変化や相手によって大きく強さが変わるため、どういったデッキに対して何のカードをいつ出すのが有効なのかを考えることは重要だ。
つまり、デッキを構築することはゲームプランを構築することであり、プレイングを構築することである。

特に環境に対して有効である、という理由で入れているカードについては明確にプランを決める必要がある。
今回は、上で紹介したジャダーを例に取ってみる。

ジャダーの採用理由は、生け贄の元になることと、相手のリリアナと絶望招来のバリューを下げることだ。
相手が黒単であるならば、ジャダーは2ターン目に出したいカード1位になる。次のターンに出てくるリリアナを牽制できるし、3ターン目にオブニクシリスを出すことも可能になる。
対して、相手がエスパーでかき消しを持っている場合はどうだろう。
かき消しでカウンターされればジャダーは役目を果たすことができないが、負け犬であれば墓地から戻ってくることができるのでそこまで痛手ではない。
つまり、手札に負け犬とジャダーがある場合プレイ指針は以下の3つになる。
①相手が黒単の場合はジャダーを原則優先する
②相手が2マナを構えている場合は負け犬を優先する
③手札にオブニクシリスがある場合はジャダーを優先する

このように、すべてのカードに対して「何を期待しているのか」を言語化していればそれに合わせて各対戦相手に向けたゲームプランとプレイングはある程度定まってくるはずだ。

デッキ構築の最大の利点はここにあると私は考えている。
コピーデッキを使っているときに、そのカードは本当に期待された使い方ができているだろうか。作成者の意図に反して弱いプレイングになってしまってはいないだろうか。私は正直その質問には答えられない。
しかし、自分が作ったデッキであれば自分の意図に反するものは一つもなく、すべての用途が明確になっている。
デッキを構築し、プレイングを構築することはそのデッキを使う時だけプレイスキルを一時的に引き上げてくれる。

もちろんアドリブ力の無さは変わらないのでプレイミスは多いのだが、それでも他の人のデッキを使うよりもはるかに練度は高くなる。

5.デッキに見切りをつける

これまで、さも素晴らしいデッキを作ることができるかのように語ってきたが、実際は上記の手順で出来上がるデッキのほとんどは勝率50%にも満たない惨憺たる結果に終わる。

なので、えらそうなことを言ったものの、実際には1~4の手順でデッキを回しながら検討して少しでもダメそうならすぐに別のデッキを作り始めている。
私は平均して環境が変わるたびに10個以上のデッキを作っており、せいぜいヒットするのは多くて2つ程度だ。

今までの感覚として、プラチナ、ダイヤでサイドが不十分な状態でも勝率70%を超えていれば、サイドを整えればミシックで60%を超えるくらいの勝率で順位帯でも戦えるようになるのでそのあたりを基準としていて、満たないものは早々に切り上げてしまう。

そのため、私のワイルドカードは常に枯渇している。私のデッキはたくさんのワイルドカードの屍の上にあるのだ。
しかし、この過程でできたゴミのようなデッキたちにこそ私は愛着を持っている。だからこそ私は自分はクソデッキビルダーだと胸を張ることができる。皆もぜひ、なぜこんなカードにワイルドカードを使ってしまったのか、と後悔しながらデッキを作ってほしい。
そして、他の人から「何そのデッキ?」と言われたら「これが私の環境に対する回答です」とドヤ顔で答えてウザがられよう。
ウザがられても実際Tier1を使うより強いのだから仕方がない、ただの事実である。(ドヤ)

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