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[一般TCG理論]君たちのデッキはどう生きるか? ~ニッチ戦略によるデッキ構築~

さて、今回は茂里選手のハッシュタグ"一般TCG理論"に乗っかった記事を書きます。自分がデッキを組むときになんとなく意識しているデッキの"ニッチ"という考え方を紹介します。
お気に召したらぜひ試してみてください。

1. ニッチとは何か?

まずはニッチについての説明です。よく企業戦略などでも使われていますがもともとは生物学用語で、大きく「空間的ニッチ」と「時間的ニッチ」が存在しています。
ニッチとは平たく言うと「生存範囲を限定することで他の生物との競争を避けること」を指します。

空間的ニッチの例としては、サバンナで暮らしているライオンと樹上生活をしているチンパンジーなど、空間的に隔絶されることで敵との対立を回避していることを指します。
他にもキリンとシマウマなども同じ空間にいますが、食べる植物は異なっており、空間的ニッチによる棲み分けがなされています。

時間的ニッチの場合は、日中に獲物を探す鳥類とそれを避けて夜間に活動するネズミのように時間によって棲み分けを行っている例などが挙げられます。

私はこれらの考え方をデッキ構築のときに応用して考えています。

2. デッキにおける"ニッチ"

ここまでを聞いて、「わかった!強いデッキがいないところにいけばいいんだ!」と思った方もいるでしょう。それももちろん正解です。しかし、私は強いデッキに勝つためにデッキを作るのでフォーマットを変更することはしません。私の考えるニッチはもう少しミクロな視点でのニッチです。
それについて説明していきます。

2-1. デッキにおける空間的ニッチ

私の考える空間的ニッチとは、大きく二つあります。
①相手と異なるカードタイプを主軸にする
②相手の妨害の影響を受けにくいカードを主軸にする

なんとなく察した方もいるかと思いますが、詳細に説明します。
まず①についてですが、多くのカードゲームではカードタイプが存在すると思います。たとえばモンスターなどの生物、一回使い切りの呪文、場に設置する置物などなど。
今の環境で最も強いデッキが得意としているカードタイプと同じ土俵で戦うと、最強デッキとがっぷりよつで戦うことになります。しかし、異なるカードタイプであれば自分の土俵と相手の土俵は明確に分離され、お互いに干渉しにくくなります。もちろん全く干渉できないわけではないですが、最強デッキに対して自分のデッキが有利な場ができるという大きな利点があります。
単体のカードパワーで負けてしまいそうなときもこの空間的ニッチを活用することで相手に干渉されず自分の動きができる可能性が高くなります。

続いての②も同様です。
相手の妨害は多くの場合なんらかの条件があります。たとえばモンスターのコストがX以下、置物のみ破壊、などなど。
環境で最も多く採用されている妨害札に当たらないカードを主軸にすれば同じ場にいても除去されにくくなり、生存率が高まります。

こういった微妙な棲み分けによって自らの勝ち筋を通すことが環境デッキと戦えるデッキを作るうえで重要だと考えています。

2-2. デッキにおける時間的ニッチ

さて、続いて時間的ニッチです。
カードゲームにおける時間も二つあると考えています。
①自分のターンか相手のターンか
②経過ターン数

まず①ですが、いくつかのカードゲームでは相手のターンにも行動することができます。これは非常に有効で、例えば相手のデッキが相手自身のターンにしか動けないデッキなのであれば、こちらのターンに強いアクションができるカードは妨害を受ける可能性が低く強力です。逆に相手のデッキがこちらのターンに動くことを主軸にしているのであれば、こちらも相手のターンに動くことで比較的安全にカードをプレイすることができます。

とはいえ、相手のターンに動けるカードは弱くデザインされがちだったり、妨害できるだけだったりするのでバランスは必要なのですが、ここで②の考え方が重要になります。

②の経過ターンはわかりやすく、多くの人がアグロ、ミッドレンジ、コントロール、といった言葉で意識していると思います。
基本的にはその通りなのですが、より細かく相手のデッキが”最も強いターン”にフォーカスを当てます。要は相手が最も強い動きをしてくるターンとは別のターンに自分のデッキの一番強い動きができるようにするのです。
なぜそんなことをするかというと、これをすることによって、相手の最も強い動きに妨害札を当てる余裕が生まれるからです。

基本的にオリジナルデッキの宿命として、自分がやりたい動きよりも環境で流行っているデッキの動きのほうが強いことが多いです。多くのプレイヤーが、自分の強い動きをしたいけど相手を妨害しなければいけない・・というジレンマに悩まされていると思います。それを避けるためのテクニックとして、相手が最も強い動きをするときは妨害して、そうでないときに自分のやりたい動きをする、ということが重要です。
アグロであれば、相手がやりたいことをする前に自分のやりたい動きをやり切ってしまう、という考え方になります。

一方で、相手のデッキが妨害札を多く採用しているようなデッキであれば、逆に相手の強い動きに合わせて自分の最強の動きを持っていくような方法も考えられます。
「ニッチじゃないじゃん!」という突っ込みが出てきそうですが、これは自分のデッキにとって相手の強い動きよりも妨害が天敵であると判断すれば妨害に対してのニッチ戦略といえます。
要するに自分のデッキの天敵をゲームの中で避けることがデッキにおけるニッチ戦略ということです。

3. さいごに

以上が私がデッキを構築するときに考えているニッチ戦略の概要です。
ひとつ、この考え方で理解していただければと思っていることは、相手のデッキの対策カードをたくさん入れることが環境デッキと渡り合う術ではないということです。
対策カードを入れるということは自分のデッキのやりたいことを捨てて、対策を行っているということに他なりません。いうなれば、ライオンと同じ環境に暮らしているためにライオンの牙を折る練習をしているようなものです。
よしんば牙を折ることができても牙は複数ありますし、ライオンには爪もあります。
そうではなく空間的ニッチを活かして、木の上から一方的に石を投げつけたり、ライオンが寝ている間に毒針で一突きで殺してしまうというように自分がやりたいことをやりやすくするデッキ構築がデッキのニッチ戦略だと私は考えています。
この考え方が皆さまのデッキが環境のなかで生きていける手助けになることを願っています。

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