見出し画像

ドラフトを色で語っても1/3も伝わらない ~前編~

今回、イクサランドラフトで月末ミシック1200以内まで到達したので、そのなかで学んだことをまとめました。(現在安全圏で放置中)
ドラフトの基本的な考え方から、主要カード解説、イクサランでのピック方法解説まで行います。
結構なボリュームになるかと思いますがお付き合いいただければ幸いです。

ちなみにこの記事は基本を深堀りしてみるリミテッド入門 実践編になります。(過去記事読まなくても問題ないですが、読むとより理解が深まります)

part.1で記載のとおり、元々はなんとかプラチナランクに到達するくらいだったので、ダイヤを超えてミシック1200位到達というのはかなり成長できていると感じています。興味のある方はぜひ過去のものも読んでいただければ幸いです。
(有料設定のものも本文自体は無料です)

私がリミテッドでずっと苦戦していたこともあり、今回の記事には端々に私の怨嗟の声が入ってしまっていますがご容赦ください。
でははじめましょう。

1. アーキタイプは色ではなくメカニズムによって定義される

ドラフト記事の殆どがアーキタイプを色で説明することが多く、ユーザーの会話でも何色が強い、といった会話は非常に多いです。皆さんも目にしたことがあるでしょう。
はっきり言うと、非常に悪しき風習です。
この風習の最もタチが悪いことは、熟練者は色をアーキタイプに脳内変換している点です。

私のようなリミテッド弱者はその言葉通りに何色が強い、と受け取っては火傷していく一方で、熟練者は脳内で正しく変換して読み取って自らのスキルを高めていくという、世にも恐ろしき格差社会が出来上がっているのです。
今回この記事を読めば、きっとこの風習で搾取される側から搾取する側に回れるはずです。

では詳しく説明します。

今回のイクサランドラフトでメインとなるキーワードメカニズムは4つあります。作製、発見、落魄、探検ですね。
それぞれの色の分布はこんな感じです。

しかし、これではまだ不十分です。
すでに存在しているメカニズムやキーワード能力ではない能力もアーキタイプの重要なパーツです。
これらを踏まえて上の図を更新してさらに関連するメカニズムをつないでみます。

まったく見え方が異なりますね。
この図が基本的なアーキタイプの関連図になります。
ではこれらのアーキタイプの説明に入ります。
1点念頭に置いてほしいのは、多くの場合ドラフトのデッキはこれから紹介するアーキタイプを複数合わせたデッキになることが多いです。
アーキタイプというよりは”シナジー”くらいの感覚でいてもよいかもしれません。大体は2つくらいを選んでデッキを作るイメージで読んでいただければと思います。

1-1. 飛行ビート

文字通り飛行で殴りまくるアーキタイプです。
今回の環境では低マナの飛行クリーチャーが多くいるため、それらを軸にダメージレースを仕掛けていくアーキタイプです。ダメージレースを仕掛けるのでクリーチャーを強化する手段も重要になります。
これができる色は、青白、緑白が基本です。
ただし、図を見れば分かる通り、青と白は飛行もバフもそれぞれ存在しておりパーツが揃っているのでどちらかの色があれば実はどの色でもできます。実質単色アーキです。

1枚で飛行とバフを兼ねる化け物たち


ほらみたことか!世の中の2色ごとにアーキタイプが決まっているかのような記事に何度煮え湯をのまされたことか!

失礼、取り乱しましたが、世の中の記事が間違っているわけではなく、その色で一番強く組めるアーキタイプを紹介してくれているので、それに従ったほうが強いデッキを組みやすいのも事実です。

1-2. アーティファクト作製

作製能力によって、粘り強く戦えるミッドレンジからコントロールよりのアーキタイプですね。
作製を墓地のカードで起動できるなら2枚分の動きになります。とはいえ、その分マナもかかりますし、表面のカードは弱くデザインされていたりするので、そのあたりをうまくカバーしながら戦う必要があります。

これができるのは、赤青と青白になります。
はい、また青白ですね。青白のアーキタイプ2つ目です。青白が強いというのはよく言われていますが、その理由は青白が取れるアーキタイプ2つともが強く、しかも親和性が高くハイブリッドしやすい点にあります。
序盤は飛行ビートで押し込んで有利をつくって後半は作製でダメ押しみたいな動きが自然に取れるのです。
青白のカードを取りながら、どっちのアーキタイプがより多く流れてきているかを判断してピックの優先順位を変えていくことで安定して強いデッキができます。
まあ青と白が強いとしか教えてくれていなければ、そんなコツは知る由もないのですが

1-3. 横並べアーティファクト

アーティファクトトークンを横並べしていき、タップ能力などでアドバンテージを取っていくアーキタイプです。
クリーチャートークンも横並ぶので全体バフも強力です。


これができる色は赤白と青赤です。アーティファクトトークンは作製と相性がいいのでうまく作製ギミックと組み合わせるのも有効です。
なによりも赤白マルチは非常にこのアーキタイプで強力なので、積極的に取っていいと思います。

横並べ最強おじさん

ちなみに筆者の体感の最強アーキタイプはこのアーキタイプの青赤です。最もイージーウィンが発生しやすくパワーの高いデッキです。

1-4. ランプ

シンプルなアーキタイプで、序盤に土地を伸ばして強いカードを叩きつけます。ただ、リミテッドでは構築ほどフィニッシュ能力に長けたカードはいないため、あくまでテンポを取るためにランプすると考えると良いです。要するに、2ターン目にランプして3ターン目に4マナのカード、4ターン目にダブルアクションで5マナ分使ってボードアドを取るイメージです。

超優秀マナクリと強力な恐竜たち

これができるのは緑と赤です。
緑以外にも赤は宝物があるので一時的にランプが可能です。
また、叩きつける4マナ以上の強カードを取りやすいのもこの赤緑だと思います。

1-5. 恐竜ビート

恐竜クリーチャーがいることによるシナジーを活かすデッキです。
これらも赤緑にカードが存在しています。恐竜カードは一応各色にあるものの赤緑以外は数が少ない上に使い勝手もそこまでよくないので実質赤緑専用アーキになっています。ランプとも相性が良く、赤緑は取るカードが明確なのが特徴です。

恐竜がいると強くなる恐竜たち

1-6. 墓地利用落魄

落魄というキーワード能力の都合上、墓地を増やすキーワードと組み合わせる必要があります。
今回では探検や切削、生贄がそれに当たります。
切削は青黒緑にあり、探検は青緑、生贄は赤黒にあります。
いずれにしても黒=落魄というのが今回の特徴になります。
そして一番の特徴は、他のアーキタイプに比べて必要なカード枚数が多いという点です。
そのためパワーカードを入れにくく、難しいアーキタイプになっており、私は苦手で基本やらないようにしているので今回の記事ではあまり深く解説しません。
なんなら黒という色に憎しみをおぼえています。

落魄と切削の代表的な方々

1-7. 探検ビート

文字通り、探検とそのシナジーを生かしたデッキです。探検ができるカードは青緑にしかなく、実質専用アーキタイプになっています。
特に青緑マルチはかなり強力になっているので、そのあたりのカードから狙っていくアーキタイプという印象です。

何故か毎回2,3ターン目にこの動きされて殺意を覚える

これらのアーキタイプを踏まえて、続いてカードを評価する方法を説明します。

2. カードの評価はアーキタイプごとに定義される

この記事を見ている方の多くはドラフト点数表というものを見たことがあるかと思います。
私はその点数表を見て何度かピックしたことがありますが、まったく上手くいかなかったことをよく覚えています。

なぜ点数表どおりにピックしても上手くいかないのかというと、あの表は情報を表現するには軸が足りていないからです。
もしもあなたが初心者に「とりあえず点数表のとおりにやったらいい」といったアドバイスをしたことがあるならば、私のような才能の無い凡人がそれで何度も痛い目に合っていることを心に刻んで強く反省してください。

さて、話を戻して軸の話です。あの表は基本的に強いカードと弱いカードを点数で表したものであり、「カードパワー」という一つの軸しか持っていません。
本来はそこに「カードパワーを発揮できるアーキタイプ」という軸が加わっていなければいけないのです。
特定のアーキタイプでのみ強いカードは多く存在しており、実際それらのカードは点数表では高い値を示しますが、それを理解せずにピックしてもまったく力を発揮しません。

しかもさらにアーキタイプ自体の強さや取りやすさなども関連してきます。
それらをすべて図示しようとすると大変なので、後編の実際のピック方法を説明するときにイクサラン環境については説明します。

では私の独断と偏見で作成した青のカードの表を見てみましょう。

すべてのカードを乗せるのは面倒だったので、いくつか主要なカードをピックアップしています。
右上の3枚に注目してもらうと、すべてが飛行を持ち、アーティファクトを生成できるカードになっています。最初に出した図でいうところの「飛行」「トークン」「アーティファクト」に該当しており、「作製」「バフ」など主要アーキすべてとシナジーしており、探検を除く青のアーキタイプのほぼすべてと繋がれる文句なしのトップカードといえます。そのとなりの生命ある象形はセイレーンにつければ飛行クリーチャーのバフにもなるし、地図トークンにつけても恐ろしいことになり、勝利に最も直結するカードのひとつです。ボムボムくんです。このあたりは大体意見が一致するところなのでよいのですが、問題は左のほうにある「歯車式闘士」です。テキストに記載されている内容からすると私の感覚では異例の高さに配置されています。
この強さを担っているのは「アーティファクト」である点と「樫材のセイレーン」の存在です。
セイレーン自身がアーティファクト限定マナを出せるため、自分のターンにフルタップでアクションしたうえでバットリとして構えられるのがとても強い。そして残った1/2もアーティファクトなので色々な種になってくれる便利な代物ですが、それだけです。
それ以外のところではいうほど大して強くなく、総合的には右下の海賊と大差ない評価をしていますが、点数表では妙に高くなってしまいます。

これは私の体感の例であり、実は私は今回一切点数表も17Landsも見ていないので、歯車式闘士が本当に高得点になっているかはわかっていません。(調べろや!と言われそうだが、面倒なので仕方なし)
実際の点数がどうかは置いておいて、歯車式闘士はセイレーンがしっかりとれていないとそこまで強くないと私は感じており、他にもそういった特定条件で強いと感じるカードは多くあります。
つまり、ドラフトのピック点数は自らのピック状況によって変わっていくものであり、上の表を作成することでそれらを可視化することができます。

そして上の表を作るためには、それぞれのカードがどのアーキタイプのどのカードと組み合わさったときに力を発揮するのかを把握することがまず第一歩となります。(でなければ横軸の判断ができないので)

そしてそれらを頭に叩き込んでしまえば、当然ピックの序盤では右上側(いつでも強いカード)から取っていき、アーキタイプが決まってから左の強いカードを取っていくことが基本戦略になります。

また、今回の環境で私はアーキタイプ決定の基準として、4,5,6パック目のカードで右上にあるカードが流れてきた場合はその色自体が空いているとみなし、9巡目以降で左上のカードが流れてくればその色の特定のアーキタイプが空いていると2段階で判定するようにしました。

もしもこれまで、なんとなく後半にこの色が流れてくるから空いているからこの色にしよう、と思ってピックしている人がいれば、アーキタイプごとに空きをみるだけでデッキ完成度は大きく変わるはずなのでぜひ試してみてください。

3. 後編につづく

薄々感じてはいたのですが、恐ろしく長い記事になりそうなのでいったんここで切ってしまいます。
前編ではイクサラン環境を題材に環境に依らず基本的な考え方を説明してみました。次の環境ではカードリストが出た時点でこれらの表を自分で整理して挑んでみようかなと思っています。
後編では、各色の表を出して今回の私のピック優先順位を説明していけたらなと思っています。
新弾が出る前に、、なんとか、、終わらせたい・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?